グローバルブレインへの道


グローバルブレインのアイデアは、ピーター・ラッセルの「グローバルブレイン」という表題の書籍で、世に知られるようになった。エネルギーの微視的な揺らぎとして生まれたこの宇宙空間を構成する様々なレベルでの構成要素は、それぞれが自己組織機能を有している。この自己組織機能が、生物を生み、高い情報処理能力を持った人類を生んだ。この人類は、高度な情報通信ネットワークをこの地球上に構築した。地球規模のコンピュータネットワークのインターネットである。インターネットを通じて、地球上の様々な情報が簡単に多様に入手され、処理されている。インターネットで結ばれた人類はコンピュータとともに、地球サイズの脳における神経細胞やセンサやアクチュエータの役割を果たしている。地球や人間やコンピュータは実体を持った存在である。しかし、国や市や町などは人間が活動する上での仮想的なまとまりでしかない。情報通信や交通が発達した現在において、国という枠組みは崩れつつある。地球規模の課題である環境問題やエネルギー問題などの解決が求められているこの時代の要請に、国家の発生に伴って生じた官僚機構は対応できない。むしろ、官僚機構はこれらの課題の解決のための活動にとって、阻害要因となっている。官僚機構は、どのような国家体制の下でも、最終的には自己目的化した存在となり、情報の秘匿や制御によって権力を増大させてきた。共産主義国家体制は、官僚機構が最も権力を保持する体制であるため、その社会の活力の全てを吸い尽くした官僚機構とともに自壊した。民主主義体制のもとでも、官僚機構の「秘密主義」、「縄張り根性」、「前例踏襲主義」などが、官僚機構の自己肥大化の本能と結びついて、社会の劣化の原因となっている。このような様々な悪い特性のある官僚機構を、国家の神経系として我慢しながら利用してきたのが、これまでの人類の歴史であった。しかし、もう状況は変わりつつある。市民がインターネットによって情報を入手し、発信し、討議できる新しい神経系を獲得したのである。官僚主導の社会から地球市民による民主主義社会に移行することによって迫り来る大問題も解決できるし、グローバルブレインとしての新しい進化のレベルに人類が到達することもできる。

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