珪化木(silicified wood)



 からおよそ2億2000万年前のアメリカ、アリゾナ州の北東部に、裸子植物の大きな森がありました。森の木は、雨が降り洪水が起こるたびにたおされ、流されて、下流の低い湿地にたまりました。流されてきた木は水の中にしずみ、くさらずに泥に埋もれてしまいました。まわりにある火山からは、噴火のたびに火山灰がふき出し、湿地にふりつもります。火山灰にはたくさんのケイ酸がふくまれていて、水の中にそのケイ酸が溶け出しました。そして、水の中に溶けたケイ酸は底に沈んだ木の細胞やすき間にしみこみ、木全体がケイ酸を含む鉱物で置きかわってしまったのです。こうして、大きな木がそのままの形で化石になり、地上に出てきたのが珪化木です。珪化木というのは、「ケイ酸を含む鉱物になってしまった木」という意味です。

 生命は水がなければ生きていけません。乾いた陸地に動物たちが上陸するためには、まず植物が陸地をおおい、水気のある環境を作り出すことが必要でした。珪化木は、その巨大森林のなごりです。