2001年6月の冒険
 

南京で冒険する

のうがき&ごたく


 

■旗に関する言い訳

のっけから言い訳をコイて申し訳ないのだが、現在南京という都市が「中華人民共和国」という国の中に存在しているのは、いくら地理と歴史に弱い私でもよぉーく知っている。
なのになぜ、「南京で冒険する」というこのコーナーのタイトルに、青天白日旗(中華民国の国旗)まであしらっちゃったかといえば……
1)台灣独立を煽動しているから
2)中華民国による中国統一を目指しているから
3)台灣なんて中華人民共和国に吸収されちゃえばいいと思っているから
4)どーも中華民国抜きでは、ハナシにオチがつかないことに気づいたから
のうちどれでしょう?
「南京で冒険する」を読み終わった人にはきっと分かってもらえるであろうと思うので、クイズ形式でお茶を濁しっぱなしにして逃げておこうと思う。


■国名の表記と政治に関するごたく

中国と書くと「華人民共和」なのだか「華民」なのだかがよくわからないので、今回にかぎり字数ばかりが増えるのは承知で、敢えて長ったらしく書きわけてみた。
さらに、私は台湾の独立・統一問題に関しては、終始「戦争さえなければ、なんでもいー」というアホ丸出しのノンポリぶりを露呈している。
私の住んでいるこの台湾という場所が、中華民国なのか中華人民共和国なのか、国交という観点からよく分からない場合は
「台湾省」
と呼べば、どちらにとっても問題がないと思う。
私にファンレターとかお恵みとか、落語関連の音源とかを郵送してくれる場合は(←誰が送るっていうんだよ!)、是非「台湾省……」からの住所を封筒の宛名を書いて欲しい。
ときどきここ台湾には日本から
「私は中華民国籍を捨ててないなのよ、ほらほら」
緑色の中華民国パスポートをふりかざす、中華民国の政府国策顧問のオバサマが時々やって来る。
そしてオバサマは
「私は中華民国を認めません!」
なぞとテレビの政治討論番組で感情的になって叫んでは、
「は?じゃ、アンタってどこの国の国策顧問なの?」
国民の脳味噌をまぜまぜしてくれるちゃうのである。
このオバサマが「認めているらしい国」の国名だけは、お願いだから私宛の封筒には間違っても書いたりしないで欲しい。
政権の変わった今はどうかだか知らないが、以前受取人にしかすぎない私は近所の郵便局に呼びつけられ
「差出人に以後、こういういたずらをしないように言いなさい」
とか、こっぴどく叱られて油を絞られた。
なんで私が怒られるんだよーー!書いたのは私じゃないんだから、関係ないじゃないかー!
こんな理不尽でつまらないいざこざは御免なので
「以後このテの記述のある手紙は、受け取り拒否します」
次回からは言い放つつもりでいる。


■歴史ってロールシャッハ・テスト?

 前にもどこかで宣言したことがあるが、私は日本の歴史といえば、「いい国作ろう鎌倉幕府=1192年」しか知らず
「義務教育的知識、見事に抜け落ちている!」
と、各方面で絶句されるほどの歴史オンチである。
「教科書××ページにある聖徳太子の写真、木べらみたいなのは向かってどちらの手に持っていたでしょう?」
という、まるでジョーダンのような問題が歴史の試験に出るエスカレーター式のステキな学校で、とても愉快な高校生活を送ってしまったため、生来の歴史オンチは矯正されないまま大学へ入り、そのまま皆様のお慈悲でもって卒業までしてしまったという、日本ではヤンバルクイナ級の筋金入りである。
つまりそういうヤンバルクイナが、必死になってあちこちの資料に今さらながらにあたってみて、ああでもないこうでもないと仮説を立てまくっては思考してみた結果が、この「南京で冒険する」なのである。

 なぜに、自分の無知さをこんなところで誇っているかといえば……その程度のヤツがヘリ出した涙ぐましい?努力の成果ではあるが、どーか丸のまま信じたりしないで「疑いの目で見て欲しい」ということなのだ。(もちろん、資料を捏造しているとか、改竄しているという意味ではない)
疑惑が生じたら、是非自分の目で資料を紐解いてみて欲しい。また、明らかな大ウソを書いていたら遠慮などせず……是非とも知らせて欲しい

 しかし、この場合の「大ウソ」というのは事実の誤認と限定したい。「原爆は東京・横浜に投下されました」とか「原爆は日本に落とされませんでした」というのは、それこそ大ウソである。
「原爆が広島・長崎に投下されました」
という事実に対し
1)無辜の市民に対する虐殺であった
2)戦争の早期終結のための戦略であった
二つの見解があったからといって、1)が2)を、2)が1)を「大ウソだ!」と言い合うことはあまり意味がない。
歴史というのはロールシャッハ・テストのようなものではないかと、時々私は思ったりする。
ロールシャッハ・テストとは、インクを紙にどぴゃっと垂らし
「これが何み見えますか?」
という……アレ。

私には「誰一人として同じ旅をしていやしない」という考え方がある。
同じ行程で一緒に旅をしても、見るもの聞くことから旅人が感じるモノはそれぞれ違うはず。
私が旅先で見たのはこうだった。だから、オマエが見たものは間違っている……などと、誰かを組み伏せるために、私は旅の話を書いているのではない。
旅人にとっての事実は、誰がなんといってもその人にとっての事実であるはずなのだ。ただし、事実がいつも真実とは限らないのも、また本当のこと。
今回の歴史話(ではないんだけど、なんかその占める割合が多くなっちゃってさぁ、ぶつぶつ)も、いつもの旅のような感覚で読んでみてもらえると、私としては本当に嬉しい。


なお、この「南京で冒険する」は
南京大虐殺についてうだうだうだうだ、試行錯誤をしてみる編=その1
南京にある「侵華日軍南京大虐殺遭難同胞記念館」について、ネチネチと突っかかる編=その2
その他、南京での旅話をだらだらと綴る編=その3
以上の三部により構成されている。
まぁ、好きなところから読んでくださいな。
 

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南京大虐殺から読んでやるか