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炉内のれんがを解体していた作業員が、れんがの下敷きになった日比共同製錬玉野製錬所。待機していた救急車の1台が出発すると白衣の人たちが手を合わせた=25日午後6時38分、岡山県玉野市で、本社ヘリから |
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25日午前10時半ごろ、岡山県玉野市日比6丁目、三井金属鉱業日比製煉所内、日比共同製錬玉野製錬所(丸山恒夫所長)の銅を精錬する「転炉」で炉壁のれんがが崩れ落ち、中で補修作業をしていた作業員7人が下敷きになった。補修作業を請け負っていた日新興業(本社・東京都)などの作業員。午後6時すぎまでに全員が炉の外へ運び出されたが、大阪府堺市高尾2丁の藤井克己さん(49)ら5人がまもなく死亡し、2人が足などに重傷を負った。玉野署は26日朝から、業務上過失致死傷容疑で玉野製錬所の現場検証をする。
亡くなった5人のうち3人は日新興業関西支店(神戸市)の作業員で、残る2人は大阪府内にある下請け会社の作業員だった。けがをした2人は日新興業千葉支社から応援に行っていた。
玉野署の調べでは、作業員7人は、午前中から転炉内の天井や壁面の耐火れんがを張り替える作業をしていた。午前10時半ごろ、古い耐火れんがをはがすための爆発物を仕掛ける穴を炉内に開けようとして、れんがが崩れ落ちたとみられる。午後2時半ごろ、別の作業員が交代のために行き、2人が崩れたれんがに下半身が埋まるように下敷きになっているのを発見。同製錬所から、同3時25分ごろに119番通報があった。
炉は直径約4メートル、長さ約13メートルの横向きの円筒形。上側のれんがが突然崩れて下敷きになったが、事故当時、7人全員が炉内にいたため事故を連絡できなかった。
事故があった日比共同製錬玉野製錬所は日比港に隣接しており、広さは約18万9000平方メートル。事故が起きた転炉は溶錬工場内にあり、瀬戸内海に面した敷地南端にある。
日比共同製錬は、三井金属鉱業など3社が出資する関連会社。工場は電線などに使われる銅を生産している。事故があった転炉は、高炉で溶かした金属に空気を送り込んで鋼をつくる製鋼炉の一種。空気を吹き込むことで不純物を取り除き、純度が高められる。つぼ状の炉体を360度回転できることから、この名が付いた。
同工場では通常、三つある転炉を二つずつ使って操業。一つは休ませて、この間に補修しており、今回事故の起きた内側の耐火れんがも、数カ月に1度、定期的に張り替えていた。
三井金属鉱業広報室によると、玉野製錬所は72年操業。約160人が働き、年間に約20万トンの銅を生産している。(22:14)
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