転職失敗記その1

最初に…某大企業にて

某地方の中心、Z市の大学に進学した私は、Z市の居心地の良さが気に入って、そのまま 就職した。
私はずっと漫画家になるのが夢だった。大学時代にデビューはしたものの続かなかったのであきらめ、 普通に就職することにした。
少しだけ触ってみたパソコンに興味をもち、文系なのにシステムエンジニア(SE)を希望。 Z市にいることができる、という 条件で選んだ会社に入った。大手電機メーカーの系列会社、T社である。数百人の従業員、 親会社と同じ待遇、福利厚生。

はじめは夢中だった。社会人ということ、お金を稼ぐということ、すべてが初めてで、覚えることに精一杯。
なんとなく不満を感じ出したのは、3年目くらいからだろうか。 地域密着型ユーザーサポートメインの会社であるせいか、実験的なこと、新しいことはあまり受け入れられなかった。 したいことがあっても、管理職連中の脳みそが古いので認めてもらえない。

こんなことがあった。 各部署から一人が出て発表をする、コンベンションというものがあったのだが、 ある社員は開発中のJavaベースの新しい技術について発表した。
質疑応答の際、常務(のちに社長となった)がとんでもないことを言った。
「Javaってのは…COBOL85とどう違うのかねぇ?COBOL85なら私もわかるんだがねぇ」
その後の質疑応答は、常務にインターネットの基本から講議するという展開に なってしまった。
これで地域トップのSE会社だといえるのだろうか。

常務に限らず、管理職のレベルは似たような感じだった。 私のいた部署の上司はワープロしか使えなかった。E-mailなんて無理。Outlookは文字化けするとか、 そういう話の通じるレベルではなかった。(中には、ちゃんと自分でなんでもできる管理職も いた。そういう人こそ評価されるべきなのに…そうではないんだよね)

管理職は管理職でバカでも気にしなければいいのだが、そうもいかない。
T社の親会社で学歴や勤務年数にこだわらず賃金を決定するという能力給ともいうべき システムを採用した。(新聞とかでも大々的にとりあげられたっけ。) 当然子会社であるT社でも採用した。
どのように行うかというと、年に2回上司と面談を行い、自分がどれだけの仕事をしたかを 上司に評価してもらうのだ。
つまり、ワープロしか使えない管理職にボーナスをきめられてしまうわけだ。 年功序列にとらわれない、とは良い響きだが、こーゆう罠が待っている。 これこれこういう業績を挙げました、と説明しても上司はなんのことやらわかってない わけだから、上司の独断と偏見、評価基準がわからないから所詮勤務年数とかに 評価基準を頼ってしまう可能性もあるだろう。
のち、私は退社するのだが、そのときのボーナスのランク付けについて、このワープロしか知らない上司は「いろいろあったから、○○ランク」としか説明してくれなかった。ふざけるな、って思って辞めるとき総務に言ったのだが、たぶんなんにも措置はしてないだろう。

私はインターネットがやりたかった。 それに、漫画家を目指していた私にとって、CGも魅力的だったし、 マルチメディアも面白そうだった。
交流のあった、ある社員の人たちが、またインターネットがはやり出す前に、 実験的にインターネット・マルチメディアの研究開発の部署を作った。
私はずっとそこに入れて欲しいと上司に言っていた。が、願いはかなわなかった。

上に述べたような会社の体質では、そういった部署は邪魔ものだったし、 悪口の対象だった。 (部署の中心だった人は一時、酷いデマまで流されたものだ) 私と同期の若い人まで、「○○(その部署)ってなんの意味あるんだろうね。 社長に気に入られて遊んでるだけじゃん」なんて陰口をたたいていた。

なんか、だめだな、この会社。
私はそう、思いはじめた。

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