転職失敗記その12

実態が見えてきた(1)

正直言って、入って初めて知ったこと…それは、E社は映像制作会社であって、8割映像(CM、番組) 1割マルチメディアコンテンツ(CD-ROM制作、Webコンテンツ)、1割映像制作環境作成…であった。
わたしはマルチメディアコンテンツが5割くらいは占めているものと思っていたから、がっかりした。ホームページを見たらそういう印象を持ったからだ。会社のホームページの業務内容は信用できないことがよくわかった。
なんでもやる、という社長の言葉の意味がやっとわかった。手に負えないものは外注に回すのだ。

ところで、業務の割合の最後に書いた「映像制作環境作成」というのは、社長がほぼ一人でやっている、 専用パソコンを自作し売るというもの。
E社のPCはすべて社長の自作である。だがトラブル続出で、 困った社員に私が助けを求められ、調べると一見してソフトもハードもおかしい設定だったことも あった。(TCP-IPが二つだったり、IDEが意味もなくセカンダリだけ使っていたり、ゲートウェイが おかしかったり…)
それでも、社長はパソコンの調子が悪いと率先して分解して「俺の得意分野だから」と 嬉しそうだった。そして、「出来たから」と言って私に押し付けた。かならず一つ二つ、おかしいところがあった。
確かに、前の会社の上司よりはすごい。だが、本当に得意なのか??…

ある日、社長と一緒にパソコンを組んで、ぎょっとした。 IDEのコネクタさえ容易に入らない。プルプルプル…手が震えているのだ!!社長、そんなにおじいちゃんだったのか!? ねらいが定まらない まま無理やり押し込み、ピンを曲げてしまった。「よくあることだ」といって笑っている。
それを見てから、私は社長が触ったというパソコンは自分で一度明けて、見直すことにした。 だが、それは社内の作業用のものであって、「映像制作環境作成」で売っているものについては、 社長の手にゆだねられている。
「よく、あんなもの売るなぁ…」という思いは、社員全員がきっと持っていたに違いない。

パソコンの話が出たので、ついでに、「InternetにはProxy経由で接続しています」の意味も、 私が思っていたのと違っていた。
単なる、ISDNのダイヤルアップだったのだ。 proxy経由というのは、Proxy○○というソフトのことだった。「常時接続」という言葉の意味も、SEが使う意味とちがっていたのだ。
『やはり、自社ドメインを持っていないことをチェックすべきだったかも…』
そしてメールやWebを使っているのはごく限られた人だけだった。
社長が採用通知に HTMLメールを送り付けてきたのも、この会社のインターネットに関するレベルが その程度だったということの表れだったのだ。

だが、ここはインターネット会社ではない、たんなる地方の映像制作会社なのだ。 ダイヤルアップだけでも、すごいと思わなければならない。世間ではもっとすごい所でも、Webデザインをやっているのである。

<(2)へ続く>

前へ indexへ 次へ