Fujiko Hemming piano recital

Tue. November 5, 2002, at 8:00,

Davies Hall, in San Francisco




Frederic Shopin

  Etude; F minor, A flat major "Aeolian Harp", A minor "Winter Wind"
  Nocturne; E flat major, op.9-2
  Ballade; G minor, op.23
  Barcarole; F sharp major, op.60

Claude Debussy

  Cequ'a vu le vent d'ouest (西風の見たもの) *Preludes I*
  L'lsle Joyeuse (喜びの島)


intermission



D. Scarlatti

  Sonata; E minor, C major

Franz List

  Un Sospiro (溜め息)
  Au bord d'une Source (泉のほとりで)
  Die Forelle (鱒)
  St.Francois d' Assiese,La Predicaion aux Oisaux
  (鳥に説教するアッシジの聖フランチェスコ) 
  La Campanella (鐘)





NHKで彼女の人生が紹介されるや否や一躍有名になり、コンサートは満員、CDも飛

ぶように売れているというピアニスト、フジコ・ヘミングのサンフランシスコでの

初めてのピアノリサイタルに出かけた。

日本語放送や日本語のコミュニティー誌などで紹介されていた。多分日本人への宣

伝しかしていなかったのだろう、Davies Hallを埋めたのはほとんど全部が日本

人。日本でかなり人気があることも、彼女のこれまでの人生が波乱万丈で苦難に満

ちたものだったということも、ちらっと知っていた。持っている2枚のCDは、余り

好きじゃなかったけど生ではどんなものだろうと興味もあった。結局は、「どうし

てそんなに評判がいいんだろう?」という感想しか残らなかったが。


第一部のショパンとドビュッシーは、音は抜けるしミスタッチもあるしの散々の演

奏だ。そんなことより何より、全く感情がなくて、タッチも荒くて、滑らかじゃな

くて、「???」とびっくりするような崩し方で…、全くショパンやドビュッシー

に聴こえてこない。個性的なピアニストには違いないけど、心に迫ってくるものが

ないのはいかがなものか。前宣伝でもプログラムでも、「世界中が絶賛!」「心に

迫る演奏!」などとあったが、どうしてそんなに人気があるのか、賞賛されるの

か、正直なところ私にはわからなかった。

第2部は、着物地の素敵な色合いの衣装で、ポシェットをかけて現れた。彼女によ

く似合う衣装だ。プログラムによればスカルラッティーのソナタから始まる予定だ

ったが、いきなりリストの「溜め息」が鳴ったのであれっと思っていたら、二曲目

の「泉のほとりで」を弾き終わったところで、「ごめんなさい。スカルラッティー

を忘れてました。」と言って、スカルラッティーのソナタを弾き始めた。これもご

愛嬌だけど、スカルラッティーも軽快さがなく、重くて荒々しい演奏だった。この

プログラムの中では、リストが一番彼女にあっているのだと思う。

三曲のアンコールの後、拍手喝采、ブラボーの声、スタンディングオベーションで

幕を閉じたが、私はどうしても納得出来ない。「どこがそんなにいいの?」


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