Hexanon 40/1.8
Hexanon 40/1.8
Hexanon 85/1.8
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不純 な動機で始まる愛だってある。
Hexanon(ヘキサノン)との出会いは、そもそもコニカのボディーを、エキザクタマウントのレンズのために使おうと思ったのがきっかけだった。
コニカのARマウントはフランジバックが38mmと短いのが特徴。
つまり、マウントアダプターを利用し、異マウント「玉」との不純合体を試みるには、打ってつけなのだ。
父が押入の奥にしまい込み、カビていたFS−1。
電動ワインダーを初めて内蔵した35mmSLR。単三電池4本を駆動源とするモーターが、けたたましい音を奏でながら、優雅なテンポでフィルムを巻き上げる。
コンパクトなサイズ、大きめのシャッターダイアルをポイントにしたデザインは、現行Hexarにも共通するイメージを持ち、なかなかだと思う。
平均測光方式による、シャッター速度優先AEは、AEロックや露出補正機能を持たないが、実用的には信頼性も高く、ポジの使用にも不安はない。
シャッターはコパルの電子式、金属縦走りで最高1/1000秒、ボディ構造はもちろん金属ダイキャスト。
レンズ表面の半分ほどにカビがきていた銘玉Hexanon40mm/1.8を解体、マウント部分を取り出す。
マウントの座金部分の厚みを慎重に削り、エキザクタ用中間リング部品と合体させれば、エキザクタマウント用アダプタの完成。
こうして、我がFS−1はエキザクタの深い沼への水先案内人となった。
トプコン、クセノン、キノン、アンジェニュー、そしてテッサーの写りがそこに蘇った。
しかし、生け贄にしてしまった40mm/1.8への罪悪感が募り、気になる。
予備のボディーとともに、ネット上に安値で転がっていた個体を購入した。
続いて、50mmでは一番良いとあった金属鏡胴タイプの50mm/1.7。そして前玉の大きさがうれしくなる57mm/1.4。
そのうち、100mm/2.8、135mm/3.2も転がっているのを見つけて保護。
そうなればオネエサンをとるための一本が欲しくなるもので、85mm/1.8がEMSで届くことになるのは当然の成り行きだった。
さっそく、エキザクタと一緒に撮影会に持ち出した57mm/1.4と85mm/1.8のアガリを見て、思わずうなる結果となった。
「階調の表現の豊かさ」と「非常に繊細でシャープなピント面」が高い次元で調和している。
シャープだけど柔らかい表現をしてくれる。
僕は、ある種の気品を、そこに感じる。
ボケの美しさも特筆ものだ。
ピント面からなだらかにボケていき、バックに少々うるさい光源があっても、まるでソフトフォーカスレンズのように処理してしまう。
コンピュターを駆使し、収差を極限的に押さえ込んだ現代レンズとは異なり、f4まで絞ってもわずかにハロが残こるような、絶妙な収差補正がこの表現を生んでいるのだと思う。当時の技術者たちは、気の遠くなるような回数の実写テストをこなしていたに違いない。
コニカはニコン同様、軍用光学メーカーとしての履歴を持つ。Hexanonの一族には、そうした優秀な光学設計技術が脈々と保たれていたというべきだろう。
コニカSLRの生産総量のかなりの部分が北米向けに輸出されたのだと思う。インターネットでこまめに探せば21mm/2.8なども幻ではない。57mm/1.2もそうして手元に届くことになった。
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FS-1 with Hexanon 57/1.4
Hexanon 85/1.8
Hexanon 57/1.4
Hexanon 40/1.8
Hexanon 57/1.2 |