西日が窓から射し込み周りを朱色に染め抜く。校舎の中にさっきまで響いていた吹奏楽の練習の音も、居残りの生徒の嬌声も消え、ただ響いているのはわずかな耳鳴りだけだ。
玲子は今週の戸締まり当番として校舎内を点検していた。2階の教室を点検した後、階段を上り3階の点検にはいる。いつものように自分の顧問の美術部から点検をする。美術部は部員5人の弱小文系部として、長年活動してきた。コンスタントに少ないが、とぎれることはないので割と長い歴史を持つ。玲子自身もこの美術部に属していたことがあり、愛着がある。なぜか毎年女ばかりだが、決して窮屈ではない。むしろ少ないことで派閥が出来づらくみんな仲良しにやっている。
美術準備室に入り、一服をする。見回りはたいてい異常はなくつまらないものだ。ついでなので、ちょっとさぼってここで今度の研修の資料作りをしていこう、と玲子は資料を取り出した。おもむろに窓を開け放ち、煙草に火を付ける。この部屋でしか学校内では煙草を吸わないし、ここで煙草を吸うことが玲子の唯一のリラックスなのだ。
紫煙をくゆらせ、煙草の先がフィルターに届きつつあるそんなとき、パタパタと足音がした。足音は美術室に近づき、中へと入っていった。
−変ね、もうたいていの生徒は帰宅したはずなんだけど?−
煙草の先を灰皿に押しつけて、美術室へと入っていった。
ただ、帰宅を促すために入った美術室。
その時から、玲子は生まれ変わっていった…
「あなた達、早く……な、何してるの!」
最後まで言い終わらないうちに玲子は目の前で起こっている痴態に驚愕の悲鳴を上げた。そこでは、一人の女子生徒が机の上に立ち、一糸纏わぬ姿で自慰行為にふけっていた。それを数人の女子生徒が見上げ、あまつさえそれを補助していた。
「あ、あ、ああっ!あん、ああ!」
机上にいる女生徒は玲子の存在に気付かずにオナニーをやめようとはしない。机の上にはその女生徒からでてきたと思われる液体が水たまりのようになっていた。
「あ、センセー。センセーも見ていく?この子ったら、見られるのが大好きなのよねぇ。」
鑑賞していた一人が玲子の方を向いて何気なく言い放つ。その言いぐさはまるで大道芸でも見ているかのように淡々としていた。
「そんなことはいいから、早くやめさせなさい!」
玲子は少しヒステリックに叫んだ。下校時間を過ぎているだけならまだしも、こんな痴態を校内でやらせているわけにはいかない。
「はーい。わかりましたー!」
あっさりと玲子の言うことを聞くと、鑑賞していた女生徒が机上の女生徒−たしか綾子と言ったはず−の耳元で何かしらを囁く。そうすると、突然に綾子は自慰行為をやめ、何事もなかったかのように机から降りた。
綾子が服を着るのを待って、全員が美術室から出た。
ただ一人玲子だけが残った美術室には、淫蕩な体臭と体液だけがその存在を主張していた。美術室内の窓をすべて開け放ち、片づけをする。
−あんまりこの事には触れない方がいいのかな…−
ただですらどう扱って良いのかわからない思春期初期の女子生徒。下手に干渉すれば、ありもしないうわさを立てられるだけだ。ここは見なかった振りをして、おとなしくしていた方がいい。
そういう結論に達した玲子は、堅く絞った雑巾で机を拭こうとする。その時、一瞬その手が止まった。
−若い子の愛液ってどんな味なのだろう…−
劣情に駆られ、おそるおそる舌を伸ばして机の雌汁を舐める。その味はかつて味わったそれよりもどこか甘くてほろ苦かった。今度はすすってみる。郷愁にも似たような味が玲子の味蕾を刺激し雌芯が疼く。
ゴトッ
物音と人の気配を感じ、振り向くと、そこには誰もいなかった。
我に返った玲子は、雑巾で丁寧に、さっきまで劣情を抱いた机を拭いた。
次の日の昼休み、玲子が準備室で食後の一服をしていると、不意にノックの音がした。
そこには、昨日の淫劇を鑑賞していた女生徒達が立っていた。
先頭に立っていた彼女は美術部副部長の2-A水沼幸恵であった。
「おじゃまして良いですか?」
別に断る理由もなく、彼女たちを部屋に招き入れた。灰皿の煙草をもみ消し、机に座って彼女たちと向き合う。
「珍しいわね、この部屋に来るなんて。今日は何か用事でもあるの?」
玲子は極めて何事もなかったように冷静に対処した。
「センセーって、もしかしてロリコンレズなんですか?」
開口一声にそんな発言が幸恵から飛び出した。
「え?何を言っているの?」
「だって、センセーったら昨日、綾子の愛液舐めてたでしょ?」
その事を指摘されて、玲子は体中から冷や汗がでてきた。やはりあの時に感じた人の気配は彼女だったのだ。あまりに突然事実を指摘されて次の言葉に困っている玲子に対して、幸恵は矢継ぎ早に玲子を責め立てていく。
「しかし、どうりで美術部って女ばかりだと思っていたら、センセーが裏で糸を引いていたなんてねぇ…私たちもセンセーに処女を奪われてしまうんじゃないかって、みんな心配しているんですよ。センセーったら、もしかして私たちのことを狙ってるんじゃないんですか?」
事実から膨らんだ空想に対して、玲子は必死に反駁する。しかし、その反駁は彼女たちをはやし立てるだけにしか過ぎなかった。らちがあかない会話に辟易した玲子はもうどうして良いのかわからなかった。
「それじゃあ、わたしはどうすればいいの?学校を辞めた方がいいのかしら?」
そんなことを言い出した玲子に対して、幸恵は反論する。
「そんなこと言ってませんよ。私たち、こう見えても先生のことが結構好きなんですよ。私たちは先生のホントの気持ちが知りたいんですよ。」
「本当の気持ちって、どうすればいいのかしら?」
「簡単よ。私が先生を催眠術にかけて本当の気持ちを聞くの。それだけでいいのよ。」
催眠術、と言う言葉に玲子はちょっと違和感を覚えた。しかし玲子は彼女たちの信用を取り戻すために、その違和感は敢えて無視することにした。催眠術はちょっとだけ興味があり、どんなものか試しにかかって見たい、と言う気持ちもあった。
「いいわ、それであなた達が私のことを信用してくれるのなら、催眠術でも何でもかかっていいわよ。」
その直後に幸恵の後ろでくすくす笑いがしたが、聞こえないことにした。関わるとまたややこしくなってしまいそうだから。
「それじゃあ、決まりね。ちょっとあんた達は出ていって。センセーが集中できないからね。」
そういって、幸恵は他の女生徒を外に出した。昼休みで生徒は廊下で騒いでいたが、扉を閉めると、気にならない程度に静かになった。
「それじゃあセンセー、椅子に軽く座って… そう… そしたら深呼吸をして…」
玲子は幸恵の指示に従い、深呼吸をする。ちょっと興奮していた心が落ち着いてきた。
幸恵は小さなペンライトを私の視線の少し上にかざした。
「センセー、それじゃあこのライトをじーっと見て。ジーッとにらみつけるようにして… そう、ずーっと見ていてね…」
そういわれて、玲子は上目使いでライトを見ていた。上目遣いは結構疲れるので、まばたきが増えてきた。
「だんだんまばたきが多くなってきたね。疲れているんだね。だんだん瞼が閉じてくるよ… 瞼がおもーくなってきた… だんだんおもーくなって、目を開けるのがつらーくなってきた…」
幸恵にそういわれると、確かに目を開けるのがつらい。上目遣いをずっとしていたからだと思う。なんだか目を開けるのが嫌になって、ついに玲子は目を閉じた。
「さあ、目を閉じたらすごーく楽な気持ちになってくる… だんだん身体の力が抜けてくる…」
玲子は自分の身体が幸恵の言葉と同じように動いてしまうのを感じた。幸恵の言葉で自分の身体が動いている、そんな錯覚がしてきた。身体に力が入らなくなり、身体が前傾姿勢になってしまいそうになる。必死に耐えようとするが、もう身体のどこにも力が入らなくなっていた。
「もう、身体のどこにも力が入らない… 黙って寝ているととっても気持ちがいい… 何も考えなくて良い… とってもリラックスした気持ちになれて、心が解き放たれたような感じになる… さあ、このまま少し寝てしまいましょう… 何も考えなくて良いんですよ… 次に私が声をかけたら、とっても気持ちいいところにいて、私の声しか聞こえませんよ…」
玲子の意識はもうすでに遠い夢の彼方にあった。自分が教師であること。今は昼休みでこれからも仕事があること。そんなことをすべて忘れて、ただ心地よい夢の中に漂っている感じであった。
「みんな、いいよぉ!」
小声で幸恵は美術室にいた仲間達を呼び寄せた。身振りで物音を立てないように指示し、準備室に呼んできた。
「ホントにかかってるの?」
幸恵に小声で質問したのは部長の金子奈緒子であった。彼女と幸恵は部活で知り合ったが、お互いにウマが合い、今では姉妹同然の付き合いをしている。
「私の腕は知っているでしょ?綾子をあそこまでさせたのは私よ!」
この言葉にウソはない。綾子は幸恵と同じクラスの生徒で真面目一本槍の委員長だった。それが幸恵の術とテクニックで“人前でオナニーをして感じる淫乱”になったのだ。
「それじゃあ、早速この女を調教しましょうよ!」
少し興奮気味に幸恵に話しかけたのは美術部1年生の中村陽子だ。この子は元からレズっ気があり、そっちの方のテクニックは今のところ一番だ。
「興奮しないの!大丈夫。きちんとやるから。」
幸恵は陽子を諭し、全員静かになったところで玲子にささやきかける。
「それでは、私の質問に素直に答えて下さい。貴女はなぜ昨日机の上の愛液を舐めたのですか?」
玲子はたどたどしく、一言一言確かめるように話し始めた。
「若い子の…愛液…の味を知りたかっ…たからです…」
「それはおいしかったですか?」
「はい…おいしかったです…」
「貴女はレズビアンですか?」
「いいえ…バイセクシャルです…」
幸恵は奈緒子に聞いた。
「ねえ、バイセクシャルって何?」
「男でも女でもどっちでもオッケー!って人のこと。ようは節操がないんだわ!」
幸恵は次の質問を考えている。ふと妙案が浮かんだらしく、こんな質問をした。
「貴女は女生徒とエッチなことがしたいと思いますか?」
「はい…向こうから言ってくれば…したいと思います…でも…私はもうおばさんだし…きっとそんなことを言ってくれる人はいません…」
「そんなこと無いのにね…」
そう陽子はつぶやいた。確かに玲子は26才で、彼女たちから見ればおばさんだが、妙に艶のある肌と若々しい服装から、20才と言ってもおかしくはなかった。また玲子は可愛い感じのする童顔で、男子生徒や女子生徒にファンが多かった。
「服装をきちんとすれば同じぐらいに見えなくもないしね…」
奈緒子も陽子に合わせるようにつぶやいた。
「これからどうする?私に任せてもらっても良い?」
奈緒子は妙に嬉しそうな顔をしてみんなに聞いてみた。獲物を目の前にした狼のように、目を輝かせていた。
「いいわ、任せる。この計画を思いついたのも貴女だしね。」
「私もいいでーす。」
「それじゃあ、いいわね。」
奈緒子は不敵な笑いを浮かべて玲子の方を振り返る。少しの間考えた後、奈緒子は玲子に向かってこう囁いた。
「貴女はこれから目を開けます。開けて最初に目に入った人たちをご主人様と思います。ご主人様が言うことはどんなことをしてでも叶えたくなります。それでは目を開けて下さい。」
奈緒子がそう唱えると、玲子は擡げた首をゆっくりと上げて目を開けた。その網膜には奈緒子の姿がはっきりと映っていた。玲子の脳内では「奈緒子=ご主人」という方程式がゆっくりと、しかしはっきりとできあがっていた。
「私は、おまえのなんなのかしら?」
奈緒子が居丈高に聞いた。すると玲子は恭しく、はっきりとこう言った。
「はい。奈緒子様は私のご主人様です。」
その言葉に、相変わらずだがすごい、と言った感嘆の声が周りからした。
「それでは、おまえの汚い身体を私たちに見せてごらん。」
「はい、わかりました。私の汚い身体をどうぞ御覧になって下さい。」
玲子はおもむろに服を脱ぎだした。少し着古したスーツのボタンに手を掛け、あっと言う間に下着姿になっていた。白い肌を露わにし、それと対照的な黒の下着姿は男性でなくとも性的なものを感じずにはいられなかった。あまり大きくない、それでいて適度な大きさの胸の形は下着で矯正しているとは思えないほど、自然な張りを見せていた。脇腹や腹のラインは和紙のようなきめ細やかさを持ち、脂肪による横に走るラインは見えなかった。腰骨は微妙に浮き出ていて、そこにパンツのラインが微妙にわかる。太股は適度な太さと張りを保ち、針でつつくとはち切れんばかりになっている。
全員が驚嘆と嫉妬、憧れなどが入り交じった声を上げていた。まさか26才のおばさんがこのような魅力的な身体を持ち合わせているとは思えなかった。
「どんな風にしたらこんなになれるのかな?」
誰とも無く声を上げていた。全員がそのように思ったに違いない。
「後で聞いてみるね。」そう奈緒子が簡単に答えた。
「でも、こんなに綺麗な身体の持ち主を、メチャメチャにしてやれるなんて…」
そう考えると奈緒子は興奮を抑えることが出来なかった。
「玲子。みんなにオナニー姿を見せてご覧なさい。貴女はみんなに見られることが大好きだものね。」
「はい。私の恥ずかしいオナニーを見て下さい。」
そう言うか否か、玲子は椅子の肘掛けの部分に両足を乗せ、女芯を見えやすいようにしておもむろに右手を花弁にあてがった。ゆっくりともむように右手を動かし、次第に快感を高めている。玲子の顔は上気し、目をうっすらと閉じて、口は半開きになっている。
時折、開いた口の間から悩ましい吐息が聞こえてくる。舌で頻繁に唇を舐めているのは、興奮している証拠だ。
徐々に雌陰から淫液の音が聞こえてくる。それに合わせるようにして玲子の右手の動きも変わってきた。今までは中指を中心にして、はさみこむように陰弁をこねていた。それが中指を鋭角に折り曲げて、陰核を刺激しつつ女穴の入り口に他の指をあてがっている。
「なんか、はげしいね…」誰とも無く、声を出す。
見ている女生徒達は、玲子の独戯に心を奪われ、ただ興奮していた。
玲子の口から、快感の喘声が出始めようとしていたその矢先、無情にも昼休み終了の鐘が鳴った。
「あ〜あ、鐘が鳴っちゃった…」奈緒子は残念そうにしている。他の生徒は、興奮のあまりちょっともじもじしていた。
「しょうがないから、解くね。」幸恵がそう言うと、陽子が口を挟んできた。
「このまま、ずっとドレイにしちゃったらどうですか?私に良いアイディアがあるんですよ。」
「え?どんなの?」奈緒子が面白がって聞く。
「授業中に、ずっとバイブが入りっぱなし、と言う暗示を与えたら、おもしろくありませんか?」陽子がちょっと興奮気味に奈緒子に話しかける。
「それ、おもしろい!幸恵、そういうの出来ないの?」
「出来るよ。それだったら、特別な『呪文』を聞くと、そう言うことになる、と言う風にするね。なにがいい?」幸恵はみんなに聞いた。
「あんまりなさそうなのがいいんでしょ?そうね…そのまんま、『バイブレーター』でいいんじゃない?普通あんまり言わないし。」奈緒子がそうみんなに提案した。
「そうね。そのまんまでわかりやすいからいいかもね。それじゃあ、そうするね。」幸恵はそう言うと、いまだ快感に身を任せている玲子に向かってこういった。
「それでは、オナニーをやめて、まず服を着なさい… あそこもきちんと綺麗にするのよ… そしたら、目をつむりなさい… そう、気を落ち着けて… 貴女はこれから、『バイブレーター』と言う言葉を聞くと、あそこにバイブレーターが入ってきて、うねうねと動いているような感じがします… そのバイブレーターは今までに使ったことのあるどのバイブレーターよりも気持ちがよくて、思わず身体の力が抜けそうになってしまいます… 愛液は今までよりもとっても多くでて、声も漏らしてしまいます… もう一度聞くと、そのスイッチは止まり、何事もなかったようになります…」
そんな風に暗示をかけた後、催眠から覚めた玲子に対して、幸恵はこう話しかけた。
「どうでした、先生。催眠術にかかった感想は?」
「そうね、別に普通じゃないの?それよりも、もう満足でしょ?ほら、授業が始まるから、あなた達は早く教室に帰りなさい!」
「はーい。それじゃあ、先生。またね!」そう陽気に奈緒子は笑いかけて、準備室から出ていった。
「幸恵さん、ほんとにかかっているんですか?」陽子は不安そうに幸恵に聞いた。
「絶対かかっているから、大丈夫。それよりも、今度の授業が楽しみだな!
いい、みんな?先生に絶対一度はやってみるのよ!」幸恵がみんなに念を押した。
「あの子達、一体何をしたのかしら?」玲子はちょっと疑問だった。
催眠術の途中から記憶がない。催眠術から覚めたときにはなぜか知らないが、少し興奮状態にあった。たまにある、疼くような感じが残っていた。きっと何か話したときに興奮したのだろう、とそれほど気にしてはいなかった。