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1999年09月04日

今までにない感動を与えてくれたこの日。それだけでなく、私たちが、海とそこに棲むいきものたちとの出会いの日。私たちがこれから、何をしていけばいいのかを考えずにはいられないこの日。そしてその日は、私が毎年、日本と季節が逆のオーストラリアで「海開き」と名付け、毎年海と接触を始める日。海と私が新しい年を迎えるために出会う日。

それが今日、9月4日なのです。

オーストラリアが冬の終わりを告げ、そして日本では秋の空気があたりを満たす頃、南極近海を泳いでいるクジラたちが子育てのためにオーストラリアへと北上してきます。今年はとても特別な年になったのです。サザンライトホエール、日本語に訳したらみなみせみくじらでしょうか。このサザンライトホエールが、海岸から近いときではわずか100メートルのところを優雅に泳いで来ました。

始めは、ガイドブックでもおなじみのボンダイへと現われました。そして次には私がよくボディボードをするマンリーへ現われました。これは6年ぶりの出来事です。シドニーからマンリーへと向かうフェリーからでも、その巨体は確認できました。そして、そうしているうちに、内海へと進む巨体はミドルハーバーのバルモラルでも観察できました。このクジラを見に行こうとした私の会社の同僚は、目的を同じくする人々が作り出した、「渋滞」にあい、残念ながら会えなかったということです。

バルモラルで確認された頃には、ALEX(アレックス)と呼ばれるようになったクジラは、このときまだ、雄雌の確定がされていませんでした。2度のシドニーの週末の話題をさらったその巨体は、そのままその巨体を隠してしまいました。誰もが、このまままた北へと進むものと考えていました。ところが、、、

そのクジラは、再び姿を現わしました。それは、誰もが予想しえなかった場所、シドニーを訪れる、私たち日本人が必ず一度は通るところ、、、

シドニー空港です。

正確にはボタニー湾です。しかも彼女(このときには、DNA鑑定を終え、雌と確定され、名前をALEXからALEXANDRA(アレキサンドラ)に改名してました)を目撃できる最高の場所は、私の家から歩いて5分の、いつも休みになるとフィッシュアンドチップスを広げて、飛行機の離発着を眺める場所だったのです。ここから一時は200メートルのところからでも観測できたようです。それは、4日ほど前のことでした。

今日は久しぶりの休みをホエールウォッチングで過ごしました。新聞でもニュースでもそして地元紙でもこのことは報じられ、いつもはウィンドサーフィンや釣りをする船が小さく浮かんでいる海も、個人の船や大きなクルーザー、そしてそれを見回る沿岸警備の船。海岸からは私たちを含めた、見物の人達。その手には双眼鏡やカメラをたづさえ、海から出る巨体を眺めようと、皆が目をこらしています。

私たちも場所を決め込み、座り込んでいると、横から声をかけられました。 「(クジラは)見えたかい?」 「まだだよ。ぼくたちも来てから10分ぐらいしか経ってないし。」

すると、後ろにいたお父さんが子供に話しかけているのが聞こえました。 「ほら、あれがひれで、今度は背びれ。ね。」 何いってんだろうね、見えてもないのに。と思っていたら、、、

きらきらと太陽に輝き、時折飛沫を上げる姿が観察できました。本当にいた、それもこんな近くに。いつも眺めていた海に、遊びに来ている。船に囲まれながらも、顔を海面から出したり、胸びれで何度も海をたたいたり。時々、尾びれを見せてくれたり。元気よくそしてゆっくりと泳いでいました。

45分ほどその場にいて、お腹がすいてきたので歩いていえに帰ろうとすると、それでもまだ、元気よく背中を見せたりしていました。彼女は既にお腹のなかに子供がいるそうです。ここで子供を生んだらいいなあ。またその子が帰って来たりして、、、何てことをランチを食べながら考えて見ました。

家の本当にそばの海でクジラが泳ぐ姿なんて、想像もできませんでした。私の家の近くには空港もあり、そのそばにはオイルタンクもいっぱいあります。友達に自分の家を紹介するときなんて、「成田空港か羽田空港みたいなとこ」なんていっていたのに。その場所を全長15メートルほどのクジラが6年ぶりにシドニー近海に訪れ、そして、このボタニー湾では始めての逗留だそうです。こんなことは早々ないでしょう。

私はこれを「オーストラリアはいいだろう」とか自慢したい訳ではないのです。このクジラが通ったところは、それぞれ人間の多いところです。ボンダイは観光で訪れる人もサーファーもいます。マンリーは、海水浴のメッカですし、フェリーやタンカーなどの商業船も多くとおります。バルモラルは、内海に入り海の周りには住宅地が広がっています。そして、シドニー空港は前述のとおりです。シドニーに住んでいる人でも、こんな場所に来なくたって奇麗な海はあるのに?と思うところもあります。

もう少し、ゆっくりとなぜだろう?って考えてみたいと思います。海に語りかけるように。みなさんも身の回りで彼らに何ができるか、考えてみませんか?


今回はあまりの興奮で写真のでき上がりを待っていられませんでした。出来次第載せますので、それまでお楽しみに。

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