臨死体験未来の記憶
  フィリス・アトウォーター
    原書房  
  
 

 

この著者は3度も臨死体験をしたひとで、
まえにその体験をまとめた『光の彼方に』という本を読んだことがあります。
この本はなかなか良く出来ていましたが、
本人の前世の回想で、
”まぶたが二つある宇宙人だったころ”を思い出したりしていたので、
さすがにここでは少し引き、なんとなくこのひと
の体験は正しい事は分かっても、評価としては判断停止の状態にありました。
しかし、まあ、そんな事もあるかもわかりません。
著者についてはほかにも
奇妙なサイキックな体験が、臨死体験者によくあることとはいえ
異様に多いのも気になりました。
今回も強めなサイキック体験が多く、表現の仕方が変わっている事もあって
その現象を追っていくのに結構しんどい思いをします。

今回は臨死体験者に起こりがちな、
「未来を知ってしまう」体験を取り上げています。
といってもそれは本としてのきっかけのようなもので、
要するに、時間というものについて考察しているようです。
いろいろと物理学の用語や理論などが出てきて結構やっかいでした。
物理学の理論や学者が出てくるときには、どういう人か良く知らないので、
理論のほうもどのような位置付けで受け取って良いのか、
この方面の素養が無いのでわかりませんでした。

と言うわけで、虫食いの形での理解になってしまいますが、
いろいろ面白い事を言っています。
感情によって時間に刻印が押されてロックされ、
この情報をもとに未来を検索できる?とか。
原子炉に頭を突っ込んだ時の放射能の感覚が
臨死体験時の愛?の放射に似ていた、とかとんでもない事も言っています。
なかでも,宇宙は実はエーテルと言う存在に満ちている
というのは、昔の宇宙観を呼び起こして面白いものでした。
それはグリッド…臨死体験者がよく言う糸の光…を形作り、
神経組織のようなネットワークとして必要な情報をやり取りしていると言います。
個人の内面もそうと知らずそれとつながり、
シンクロニシティーのような共鳴を引き起こすということです。
たいてい自分の身に起こる事は、それらのネットワークを
通じた(たいてい知らず知らずの)自分の欲求の反映だとか。
ニューエイジ的な世界観がここにつながってきます。

これらは臨死体験のさなかに得たさまざまなビジョンが元になっているので、
単なる思いつきや思索の結果というわけではなく、やはりある程度の信用が置ける気がします。

 

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