神との友情 上
  
 

 


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彼らは神を、一種の「親」と考えている。私が母親か父親のようなものだと想像しているのだ。

「父なる神」って言いますからね。

そう、その言葉を思いついたものは、恥じるべきだよ。

言い出したのはイエスだと思いますが。

いや、イエスは当時の言葉、慣用句を使っただけだ。今のあなたと同じだよ。彼が、父なる神と言う考え方を編み出したわけじゃない。

ちがうんですか?
父権社会、父権的宗教はイエスよりはるか昔に確立されていた。

それじゃ、あなたは「天にましますお父さま」ではないんですか?

ちがう。天にましますお母さま、でもないね。

おやおや、それじゃあなたは誰なんですか?私たちは何千年もそう考えてきたんですよ。
そろそろ、はっきり教えていただきたいな!

問題は、あなたがたがどうしてもわたしを擬人化したがることだ。わたしは「ひと」ではない。

わかっています。ほとんどのひとがわかっていると思いますよ。だが、あなたを「ひと」だと考えたほうが、
やりやすいこともあるんです。あなたともっとうまくつきあえますから。

そうかな?それは疑問だね。そうだろうか?いや、そうとは思えないな。
ひとつ言っておこう。わたしを親と考えているかぎり、悪魔のようなひどい目にあいつづけるだろう。

悪魔っていうのは言葉のあやでしょう。

もちろん。

あなたを親と考えてはいけないんなら、どう考えればいいんでしょうか?

友だち。

「天にまします友だち?」

そのとおり。
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