リユニオンズ 死者との再会 
レイモンド・ムーディ・Jr 
  
 

 

死後ものが続いたのでついでに再読。
レイモンド・ムーディは臨死体験研究のの先駆者として有名ですが
のちに過去生を見てみたり、
死者とのコミュニケーションをしようとしたり
意外なほうへ行っています。
この本は死者とのコミュニケーションについて述べたものです。
いろいろな方法があるようですが、
レイモンド・ムーディの取る方法というのは
鏡や水晶球を利用した、歴史のある方法です。
レイモンド・ムーディはこれを太古の昔から、
例えばギリシャなどで行われていたとみなし、
ギリシャノ遺跡の中にその痕跡を見たりしています。
彼によると
パンドラの箱(本当は壷)も
水を張って作った鏡による霊視にからんだ話らしく、
またプラトンの有名な洞窟の例えも
この方法による死者の呼び出しに関係がある
といっています。

方法のほうは単純で、
鏡を見ているうちに幻像のようなものが
現れてくるのを待つというものです。
レイモンド・ムーディの当初の予想と違い、
彼が学生に試してみたところ、
5割以上の人がこれで幻像を見たといいます。
(さらに改善を重ね、今はそれ以上)
見ようとする前に故人のアルバムなどを眺めたり、
鏡のある場所の雰囲気に注意したり
いろいろ細かなテクニックがあるようです。

テクニックと言う面だけで見るならば、
これは理にかなっているとも言えるかもしれません。
というのも
もし仮に誰かが死後も生きているならば、
そのひとはなにも物理的な気管を持っていないのだから
その人を捉えることができるとすれば
こちらの心で捉えるしかないでしょう。
いわば泥棒か何かが隠れている家に帰ってきたときに
「誰かの気配がする」
という形でその泥棒の存在を感じるときのように
死者の存在を感じるというしか
方法はないと考えられます。

そのような心の感度を上げるためには
ひとつの瞑想状態に入らなくてはいけないかもしれません。
その感度を上げるテクニックとして、
この鏡を見る技法は長い歴史を持つようです。

もちろんこれらは死後があるという前提での話ですが。
実際に死後があるとかそういう話は
自分が死んで見なくては
わかるはずがないかもしれません。

この技法により現れる幻像は
当人にとって
現実的な故人としか思えないということで、
会話はもちろん時には触ったりする例もあります。
そして興味深い事に、
よくある死後の認識と同じように
現れる死者と言うのはいつも健康的で、
何歳か若くなっているようです。
またレイモンド・ムーディ自身の体験では、
死者が現れても
それがその人だと認識するまでに
ちょっと間があったといいます。
(この点でかつて
キューブラーロスの体験を疑ったのを謝ってます)
また4人に一人は思っていたのと違う故人に会うということで、
その際現れる死者は
その人が出てこない理由として
「彼は死んだばかりでこの世界にまだなじんでいないので」
などと説明するところは
他の種の死後とのコミュニケーション
と似ていて面白いです。

これは幻像と言っても、視覚的な錯覚と言うより
心の何か知られていない働きが主導する
コミュニケーションであると言う事を示唆しているようです。

技法としてはかなり簡単なので
誰でも出来そうだし、どうかと思うのですが、
もしこの技法がもっと多くの研究者によって研究され、
錯覚だとしても死者との交流のようなものがシステム化されると
人間の死に対する心の傷が
かなり軽くなるのは間違いがないようです。
でも今の時代の持つ空気ではこういう細々とした探求しか
出来ないのかもしれません。
 
 
 
 
 
 
 
 

 

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