精神世界本

  
 
 タオ 
老子-加島祥造訳
筑摩書房
普遍的な価値 ★★★★ タオ
タオをめちゃくちゃ意訳してしまった本。
しかもこの人は前にもタオーヒア・ナウとして出していて、
これはそのさらに改訳版と言えそう。
文脈を考えつつ「海外旅行」という単語などが入っていて
もちろんこれは驚くのですが、
タオのつぶやきのような”タオらしい”感覚はもちろん全然失われていないです。
タオがどんな時代にも通じるという感じが伝わってきます

この「普遍的なのだ」ということが確認出来る感覚が
目がさめるようで良いと思います。
 
 
 
お寺の事情
アメリカ人民俗学者が見たニッポンの寺 
リチャード・アンダーソン
毎日新聞社
★★★ 仏教

アメリカの人類学者が、日本を代表する宗派のお寺に、
言ってみれば”潜入”した感想。
どこの宗派かはぼかしているのですが
700年の伝統のある、東京近郊の、お寺だそうです。どこだろう。
内部から見たお寺の状態と言うのは、当たり前と言えば当たり前ですが
とにかく、情けないものです。
こんなものをアメリカ人に見られて国辱物とさえいえるなさけなさ。
坊さんの権力闘争は言うまでもなく、役人的な発想や行動、
教義のことなどろくに知らない幹部、新入りへのいじめ、
宗教的と言う事とはなんの関係もない世界のようです。
読んでるとこういう仏教と言うのは、
宗教の内容のためにあるのではなく、
外的な儀式や、歴史や、お寺の建物そのものが忘れ去られないように
それらの管理者としてのみ
存在意義があるかのように思えます。
ちょうど墓守が墓を守っているようなものです。
それなら中身がこんなに変でも良いかな、と割り切る事ができます。
 
 
 
アインシュタイン、神を語る
ウィリアム・ヘルマンス
工作舎 
アインシュタインにとっての神 ★★★★ アインシュタイン

筆者が4回ほどアインシュタインに会って会話したときの記録。
ドイツ脱出の前あたりから、死ぬ少し前までの期間があります。
題名が言うように主に宗教的な内容が中心になっています。

筆者は主に詩人としてアインシュタインと会話しているようですが、
恐れ入ってるというか、やたら持ち上げるところが面白い。
それに対してアインシュタインのほうはこちらのイメージを裏切らずに、
のほほんとして多少だらしない態度で接しています。
(なにしろ自分が暗殺されかけていると言うのにそれに気づいていない。)

ユダヤ人らしくナチスに反対しなかったバチカンなどへの不信をあらわにしています。
こういう権威的なもの-聖職者などを認めることなく、
宗教とは個々人の中にある良心に基づく、としています。
些細な宗派にとらわれず、それらを包括するような宇宙的宗教というものの可能性について
語っています。
また物理学者として転生や「物質が精神に転化する事」などは認めません。
しかし確かに昔からめんめんと続いている神秘主義者の系譜上に
この人がいることが分かります。
 
 
神との友情 上 
道が見える旅が始まる 
サンマーク出版
この時代のベストセラー ★★★★ ニューエイジ

説明の必要もないベストセラーシリーズ。
題名のイメージか、なんとなく今回は自伝かと思ったら、そういうわけでもなく、
やっぱり「神との対話」になっていた。
(神との対話という形は本としてはずいぶん読みやすいものです。)
自伝的な回想もたまにはありますが。

題名は神に対するべき態度を表しています。
長年にわたって人間は「神」を親のように考え、
怒り罰するものとして捉え、またそのような考え方を人に強要してきました。
それは間違いで、むしろ友人として接しろ、と言う趣旨らしいです。

日本人にとっては比較的「どーでもいい」ことかも知れないですが、
キリスト教圏の人々にはやはりショックを与えたのではないかと
思ってしまいましたが、実際どうなんでしょう。

対話の中身はいつもどうり(かどうか分かりませんが)
自分が自分の現実を作っているのだ、というところが
ひとつのポイントのようです。
だから欲するものを作り出せとかそういうこと――のよう。
これだけだとなにか無責任なニューエイジ的な言い様だという感じですが、
無意識的な自分など3つのレベルでそれぞれ欲するものが違うので
実際にはそのようには見えないという話や、
マスターとしての生き方というのは、身の回りに現れるものを
同時に「欲していたもの」として捉えるので、常に幸福であるということなど
無責任になり過ぎない抑制が効いているように思えます。
 
 
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