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その6 WWWがやってきた

 話が前後しますが…
 前回お話した仕事が立ち上がったばかりで、森川先輩が仕様書づくりのため毎日のように徹夜していた頃。 まだ開発に入っていなかったので、私は比較的余裕がありました。
  ある日、社内ネットワークのグループが集められました。 久しぶりに集まった面 々を見渡して一ノ瀬さんがいうには、
「今度、うちの会社のWebページを作ることになった。WWWっていう技術が、いま非常に注目を集めている。うちでもぜひ力をいれてやりたい。以前からインターネット関連は俺達がやっているから、 俺達を中心に作っていこう。」
 ようやくWWWが出てきて、インターネットマガジンが創刊した頃です。ブラウザといったら、Mosaicでした。表も背景の色も文字の色も無かった時代。 でも遠くの情報がこうして絵や文字になってあらわれるなんて、本当に魅力的でした。もちろん社内ではほとんどの人が知らない。
 さらに一ノ瀬さんが続けます。
「実は今度、T社グループ企業で、Webページのコンテストが行われるんだ。情報の中身、使いやすさ、 画面のイメージなどが評価の対象になるだろう。ぜひ上位入賞を狙いたいね。」
おおっ!すごい。
「じゃ、デザイン担当は○○さんだね!」
と、カオリ先輩の御指名も。嬉しい! もし上位入賞したら、マルチメディア課の予算も増え、人員も増員し、 私の席もできるかも…これはがんばらなきゃ!

 そしてWWWのプロジェクトはスタート。またも社長に認められ(上位 入賞を狙うと一ノ瀬さんが説得したのでしょう)、一応「仕事」にはなりました。
  でもいくら本来の仕事に余裕があるからといって、 私はシステム4課です。WWWの方を優先するわけにはいきません。 私は夕方からマルチに行き、休日も会社に来てマルチで仕事。 いまみたいに便利なツールなんてないですから、タグを勉強して、メモ帳やemacsでちまちまと作って、Mosaicで表示して確認、サーバにftp(DOSプロンプトのftpです)で アップロードして…それとは別にPhotoFinishで絵を描いて。そういう仕事がとても楽しく感じられました。
  絵関係はなんとなく私が担当となっていました。肝心のトップページのデザインが決まらずあとまわしにしていると、いつのまにか一ノ瀬さんが随分かわいらしい絵を作ってしまったのです。かわいらしい絵は全然描けない私は、一ノ瀬さんは違うなぁ、と感心し、ちょっぴり悔しく思い、ちょっぴり不思議だったのですが、実はこのことは後で私がぶちのめされる事件の伏線だったのです。

 気の知れた仲間と作業していると、なんとなく団結間が芽生えてきました。(そのように私は感じました) 冗談をいいあっているうちにお遊びのコンテンツなんかもできてしまいました。 面白いから、絵も、ムービーも、音声も、CGIも、盛り沢山。 もちろんお遊びコンテンツがメインではありません。真面 目な会社の紹介、業務の紹介、そして社員が仕事に 活かせるようなドキュメントの数々、など。(ただしそういう内容を考えたのは一ノ瀬さんや下山さんです)
  寝不足やWindowsのハングアップなどにもめげず(当時は、Mosaicは 大変重いアプリケーションでした)がんばりました。
  そんなこんなで、T社のホームページはコンテストの締めきり直前に公開することができました。 ばんざい!さわやかな達成感。

 そして数カ月が経ち、コンテストの結果発表がついに出ました。一ノ瀬さんが嬉しそうに報告しました。
全部門上位入賞だって!総合の表彰はなかったけど、あったら間違いなく、うちがトップだ!
プロジェクトのメンバーは大喜び。
この結果はまたも社長に非常に評価され、T社内でも表彰されました。

 このころから、T社はインターネット関連に力を入れるようになります。 インターネットは急速に発展しました。 ブラウザもNetscapeが登場しました。背景に色をつけたり、 文字に色をつけたり、表をつくったり、プラグインを利用したり、どんどんいろいろなことができるようになりました。 検索エンジンで検索して情報を得ることができるようになってきました。 テレビでもインターネットのことが話題に出るようになりました。 もう、インターネットといえばホームページ、ネコも杓子もインターネット、 そんな勢い。
 当然、マルチの現在の人数では足りません。新人がマルチに投入されました。インターネット関連を扱うインターネット課も新設。

 私は前から、部署を移りたい旨は一ノ瀬さんたちに言ってました。 自分はホームページコンテストのとき作業した経験がある分、他の人より有利だと思っていました。
  しかし、私はそのころ、本来の仕事の方でがんじがらめでした。 苦しい開発の日々が始まったのは、前回の話のとおりです。
「あーあ、マルチに行きたいのに…せめて、新設されたインターネット課に…」
そう心の中でなんどもつぶやきながら、自分のせいでないバグを潰す毎日でした。

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