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その10 つのる悔しさ

 X Windowのインストールについに挑戦です。大きいソースを時間をかけてダウンロードし、展開し、make…。 一回ではコンパイルは通りません。とっておいたログは印刷、エラーの原因を調べます。依然C言語を勉強していたのが幸いして、エラーの意味は多少わかりました。が、 エラーをなくすにはどうしたらいいか分からない。怖いもの知らずの私は 場当たり的にコメントアウトしたり引き数を変えたり。
 そうやって10回くらい続け、ようやくコンパイルが通ったら今度はXを起動するまで試行錯誤。 インターネット上の情報を探したり、雑誌を探したり。

 やがて、努力が報われました。 画面一杯にXが表示され、カーソルが「×」になって…やっとXが起動したのです。 全身を走った感動…4課の人たちの手前声はでませんでしたが、 モニタの前でガッツポーズ&万歳です。「やった!ついに上がった!」 嬉しさが沸き上がります。
 この感動は、一生忘れられないでしょう。 「無理だなんて断言した一ノ瀬さんに見せたいくらいだわ!」と思いましたが、そんなことはもうどうでもよくなっていました。 もう私は、UNIXのとりこになってました。 要はこの感動、自分で調べて動かすということの楽しさが癖になってしまったんですね。

 Xが動けば、他のアプリのインストールなんて簡単でした。 一ノ瀬さんがおどかす程の苦労はほとんどありませんでした。 (後で知りましたが、私の入れたX11R6からは楽になったようです。ラッキーでした)
 つまずいてもWebで調べればいくらでも情報が出てきます。日本語環境の構築もちょっと大変でしたが、その苦労も勉強になって、楽しくてしょうがないって感じでした。
  X関係が一通りできて、好みのデスクトップができました。 今度はWebサーバの構築をすることにしました。当初の目的はCGIを作りたい、だったのですから。 サーバなんだから大変だろうと思ったら、結構あっさりできました。Perlも入れて、 CGIもできるようになりました。
 UNIXって自分で覚える気になったら、いくらでも成果 が返ってくるものなんだなあ」この実感は、今でも変わりません。

 そんなあるとき、私は単発のマルチの仕事を手伝って、Webの作成をしていました。メインページは亜弥さん、 他のページが私とカオリさんです。私とカオリさんと一ノ瀬さんはメールでやり取りし、亜弥さんに対する指示は一ノ瀬さんから行くようになってました。(亜弥さんがメールを使えればよいのですが…彼女には無理だったようです。)
  さてそのメールで、カオリさんが亜弥さんの作業部分について書きました。
「ファイル名の付け方なんですが、INDEX.HTMLだった りindex.htmlだったりと、大文字 小文字がディレクトリごとに違います。 こちらでリンクをつけるのが大変なので、統一してもらえませんか?」
カオリさんの指摘は、前から皆が困っていたことでした。ところが、それに対する一ノ瀬さんの返事です。
「その通りなんですが、僕の隣でMacを使っている女の子はUNIXを知らないので、 大文字小文字の違いがわかりません。 どうか彼女にあわせてやっていただけますか。
ええっ!亜弥さんに私たちが合わせろっていうの? UNIXを知らないっていったって、私も知らなかったけどここまで自分で勉強したわよ?それなのに、一ノ瀬さんはなにも勉強しない進歩もない 亜弥さんの方を擁護するわけ?大体なによ、『僕の隣でMacを使っている女の子』って言い方、なんか…嫌な感じ。
  こういう見方はしたくなかったけど、いくら彼女だからって、一ノ瀬さん亜弥さんを甘やかしすぎだよ!

 私は切れてしまったんです。速攻で返事を書いてしまいました。
なんで私たちが亜弥さんにあわせなきゃいけないんですか? そんなのおかしいです。大文字小文字の違いなんてWebデザインで常識なはずです。 UNIX知らないなら、覚えればいいじゃないですか
一ノ瀬さんはさすが大人です。切れた私をおさえつつ、話を上手に別な方向に持っていってしまいました。
「Webデザインには必ずしもUNIXの知識は必要ないですよ。
…でも、ファイルの命名規則は確かに決まっていません。なんらかの規定をWebサイト全体でもたせなければ いけないとは思っていました。これは今後考えなければならないですね」

一ノ瀬さんを怒らせたくないので何度かやり取りした後、私は黙りました。しかしどう考えても 納得がいきません。

「そうだよねぇ…」
後日カオリさんに会った時、このときの話をすると彼女は諦め顔で笑いながら言いました。
「 一ノ瀬さんだって、社内ネットワークのマニュアルに『大文字小文字は違うので気を付けましょう』って自分で書いているのよ。でもね。亜弥さんに言ってもね。わからないんだもの。覚えないんだもの。無駄 だって事を一ノ瀬さんが一番よくわかっているんじゃない?」
「じゃぁ、なんでそんな馬鹿な人をマルチに入れたんですか、一ノ瀬さんは
「うーん、それは〜(笑)。まぁおちついて。大人にならなきゃ」
「私、マルチに行きたくってここまで勉強したのに…」
声が震えました。もっともこの頃にはUNIXが大好きになっていて、マルチのためだけではなかったのですが。
がんばれ!私だって、あの喋りたくもない、近寄りたくもない上村部長と何度も話し合って、絶対マルチ行きたいですってごねて、やっと来たんだから。」
 そうです、仕事はマルチだったけど所属は3課だったカオリさんは、ようやくマルチに転属になったばかりでした。

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