転職失敗記その6

憧れていたE社への道

私は、P社のYさんのメールを読んで、心の底から感激した。
『現在はコンテンツ作成のスタッフは募集していません。
が、これも何かの縁です。
一緒に仕事をしているいくつかの会社の中では、 CGやホームページ関連の業務を行っているところがあります。
そこに聞いてみましょう。』

見ず知らずの私に、こんな親切な言葉をかけてくださるとは。
インターネットで就職活動すると、こんなこともあるんだな。
私はすぐさま返事を書き、まずYさんにお会いすることになった。

ついにスタートした、転職活動の第一歩。
業務経歴書と履歴書を手に、 私はバリバリに緊張していた。だが、あらわれたYさんは、とても 気さくで親切な方。
私は安心し、珍しいぐらいたくさん喋った。

どうしてCGをやりたくなったか、会社のどういう点が不満か、 という話から、インターネットの今後の可能性や夢、その他、 とにかくいろいろな話をお互いにした。
途中からは就職活動という感じがしなくなった。
「楽しい」と感じ続けて、あっというまに3時間。
最後になって、Yさんは紹介して下さる会社について、
「Eという会社とGという会社なんです」と教えてくれた。
Eとはまぎれもなく、あの、気になっていたE社であった!

偶然、ではないだろう。
ここは東京ではなく、狭いZ市。 CGやコンテンツを作っている会社も少ないにちがいない。
だがこのとき、私はE社にただならぬ「縁」を感じたのだった。
Yさんの紹介ならば、いきなり応募するよりも有利になるかも しれない、という期待がわいてきた。 あのE社への道が見えてきた。

本当は、P社で求人があったら、ぜひともお願いしたいくらい、Yさんとのお話は 楽しかった。帰り際に他の社員の方々も紹介していただいて、そのとき感じた会社の雰囲気も大学の研究室のようで、よかったのだが… まずはE社とG社に話を通してもらうことにした。
面接に備え、私は就職雑誌のとらの巻で復習し(もちろんかなり前からそのへんは勉強していた)、新品のスーツを買った。 学校の出力センターで作品を出力して、ファイルに閉じた。
自分のホームページも、就職担当の人に見られてもいいように、 デザインしなおし、変なものは隠した。

数週間後、面接の日が決まった。 G社が先、E社が後であった。

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