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転職失敗記その8

E社の面接、そして採用

G社で惨敗した私は、本命E社では絶対同じ思いをしないよう、気合いを入れて面接に望んだ。
E社…G社よりも古そうなビルの中にG社よりもっとこじんまりとしたオフィス。
私は落胆したが、会社は見かけではない。

どうやら、社長は来客中のようだった。しばらく待たされることになった。
どうもその来客は若い人で、作品をみてもらっているようだ。まさか、 面接?そんな、競争率高い会社だったのか?
だとしたら私ごときに勝ち目はあるのか。 どきどきしてきた。

社長は一見年のいったおじいさんのような人だった。 開口一番「Yさんから話は聞きました。○○協会の仕事をしていたんですか?」 と、全然違うことを言った。私はあわてて面接にいたった経緯を説明した。 約一年前にメールで応募した話もしたが、記憶にないようだった。
社長は履歴書に目をとおし、私の趣味や特技、これまでの業務について 質問してきた。 自分のことを話すのは得意なので、一生懸命 私は話した。G社のように、一方的になられたらおしまいだと 思ったからだ。
数年の社会人経験で得た緊張しない方法、それは相手の話をききながら まずは大きくうなずく。体の堅さがとれてきたら、身振り手振りをまじえて 話す。A校のセミナーで言われたこと、「『寝袋を持っています』というと採用される確率が 高くなる」も、実践。体力があること(本当はないが)をアピール。
その結果、G社と違って、話が弾んだ。社長は外見のわりに、新技術や最近の動向も知っている人だった。内心、うちの管理職連中よりずっと話がわかる、と私は思いながら話していた。

「うちは、なんでもやります。映像制作がおもだけど、やはりインターネットの仕事が きています。マルチメディア全般、なんでもできます。 機材も、Windows, Mac,自分の好きなものを使えます」
「私はDirectorが得意なんですが」
「Directorもありますよ。Flashも。必要なソフトは どんどん買います。ハードもそうです。この世界は そうしていかないと駄目。そうでないと、できることもできなくなってしまう。 常に先を行くようにしないと」
社長の言うことは非常に共感できるものだった。
つい、今いるT社と比べてしまう。 古い仕様にしがみつき、まともな開発環境もない、保守的なT社とは大違いだ。
「やるからには、他より上をいくようでなければならない。だれでもできる仕事ではない。 力をつけるなら自分でどんどん勉強していかないと。 皆、そうしていますよ。 私も自分でパソコンを組み立てたりする。普通の会社の 役員のように、ゴルフやってるだけじゃないからね…」
すごい。なんだかすごい人だ! ワープロしか打てない上司が頭をかすめた。
「みんな俺にニコニコしてついてきてくれるんだ。 昔、俺の逆鱗に触れてクビになったやつがいたんだが、 どうしても自分のやりたいことは ここでしかできないから、どうしても、といって、戻ってきた人もいる」
そうか、そこまでの魅力がこの会社にあるのか。 私はE社にすごく惹かれた。

仕事場を案内してもらった。社員は私服で全員若く、親しみのもてる雰囲気だった。
CGを作っている現場も見せてもらった。機材も充実しているように見えた。
「インターネット環境はどうなっていますか?」
「Proxy経由です。メールも、ホームページもいつでもみることができます。」
「常時接続ですか?」
「そうです」
私はProxy経由、という言葉をFirewall経由だと思っていた。後日、違うことがわかる。
そのときは、インターネット環境については申し分ないと思っていた。

「うちの社員はみな独身です。女性もそうです。」
「社内規定に、妊娠、出産の休暇についての記述がありませんが」
「いままでそういう人がいなかっただけです。必要ならば、そういう規定も追加します
この言葉の裏の意味を、そのときの私は悟ることができなかった。 良心的な社長だと思った。

かくて、面接は終わった。私の後に、またも就職活動らしい若者が待っていた。すると、「今日は専門学校の会社訪問日なんですよ。大変でね」と社長は声をひそめて言った。就職活動ではないことがわかって、私は安心した。
最後に「いい返事ができると思います」という、嬉しい言葉をいただいた。

決まったな、という感触はあった。 が、2週間、3週間、1ヶ月が過ぎてもE社から合否の通知はなかった。 おかしい。
たまりかねて、合否を知らせて欲しいとメールを出した。
数日後返事が来た。
Outlookで書かれていて、文字化けしていて、HTML添付という最悪のメールで、 これでは出した人のレベルがわかるというものだが、当時の私はそれよりも 内容がうれしかったので、メールの酷さは頭の片隅に追いやってしまった。

「あなたを、採用いたします…E社 社長 N」

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