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転職失敗記その9

さよなら、T社

就職が決まった!それは嬉しいが、現在の上司に退社の意志を伝えなければ ならないのは気が重かった。
ちょうど、T社で半年に一回行われる、上司との面談の時期であった。 自分の評価を決め、それでボーナスが決まるという話は以前したとおり。 退社希望時期のちょうど3ヶ月前、意志を伝えるなら妥当なところである。
私の上司U部長は、以前も評価シートを紛失したり、「俺こんなこと書いたのかなあ」などと 言ったりするような、この面談を軽く見ている奴だったので、 あらかじめ「面談の時に個人的に相談したいことがあるのですが」と言っておいた。

面談の日。今期の評定の後、来期半年分の目標の設定に来たときに、 「実は…」と切り出した。
自分が以前からマルチメデイア関係の部署を目指していたこと、SE会社ではなく それ専門の会社にいきたいこと、自分が半年間東京の学校に通ったこと、 そして内定をもらったこと…を伝えた。
U部長はガマ蛙のような顔をさらにしかめ、ちょっと黙った。が、
「大変惜しいけど、そこまで頑張ったなら、引き留められないな。 よっぽどの決意のことだろうから」
と言ってくれた。
思わず 「ありがとうございます。申し訳ありません」 と頭を下げた。すんなり聞いてくれたので、このときはU部長がいい人に思えた。 と、いうより、私は「いなくなったら困る」と言われるほどでもなかったのだろう。ある程度年数を勤めた人は「自分がいなくなったら皆が困るのでは…」と思う人が少なからずいるという。しかし自分が思うほど皆は困らないのだ、実際は。

やがて私の退社の話は周りに伝わっていった。
仕事の切りもよかったので私は退社まで引き継ぎに専念することになる。

当然のように、「結婚するの?」と聞かれた。
「いいえ、転職です。ホームページを作ったり、 CG作ったり、そういうマルチメディア関係の仕事です」と答えると「いいなあー」と羨ましがられた。
送別会の時。たくさんの人に「がんばってね」と言ってもらった。 「俺も会社を作りたいと思っている」という人と熱く語り合ったりもした。
昔の上司I課長が、酔っぱらって「やあ、このたびは…」と話しかけてきた。 このI課長、本当にいい人なのだが、いかんせんいい人過ぎて(会社での) 権力が少なかった。 私がかつてI課長のもとにいたとき、マルチメディア関係の部署に 移して欲しいとお願いしたが、結局U部長の元への転属で お茶を濁されてしまった。
「こんなことになるなら、もうちょっと面倒見てやればよかったな。 …なあーんて、な。ハッハッハッハ!」 と笑うI課長を前にして私は笑えなかった
(しかし今思うと、U部長の元での仕事が、いちばん転職に有利な仕事内容だった。 I課長には感謝すべきなのかもしれない)
最後の挨拶で、私は 「今後もインターネットにかかわるお仕事だと思いますので、皆さんと一緒に 仕事をする機会もあるかと思います。その時はよろしくお願いします」 と言った。
その時は本当に希望に満ちていて、がんばろう、と思っていた。

ボーナスが決定したとき、U部長が「○○さん(私)は、いろいろあったからCランク」 としか説明してくれなかった話も以前少し触れた。
「気にしなくたっていいじゃない、どうせ辞める会社なんだからさ」と友人は言ったが、 どうしても気がおさまらなかった。
退社の日、総務課が配付する、評価決定の制度についての アンケートに、U部長の実態(「いろいろあったからCランク」や、評価シートの紛失など) をつぶさに書いて、提出した。
こんな機会でないと言えない自分もなさけなかった。
どうせもみ消されたのだろう、今でもU部長は同じ調子らしい。

これからは大企業の歯車じゃない、自分の実力で行ける仕事なんだ!と希望を胸に、 私はE社に通い始めた。

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