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転職失敗記その10

最初の戸惑い

ある日、私はとある地元のデザイン関係の知人たちと偶然会って、飲んでいた。
今度、転職するという 話を聞いた知人達は、
「どこ?どこ?教えて!」とせがんだ。
それで私は 「E社だよ」とにこやかに答えた。すると。
「えっ…」
E社ぁ…!?」

知人達は目を丸くして顔を見合わせた。
私は驚いた。「どうしたの?」私は慌てて訊いた。みんなしばらく黙っていた。やがて、
「E社…ねぇ…」「うん、うちでも仕事お願いしているよ」「ふうーん…」
知人達はそれ以上語らなかった。場の雰囲気が一気に沈んだ。
なぜ、こんな反応が…?と思ったが、私もそれ以上追及しなかった。 せっかく就職が決まって嬉しいのに、E社についての嫌な評判などあるならいまは聞きたくないし、入ってから自分の目でたしかめればよい、という気持ちがあったからだ。
だが、知人達の反応は、脳裏にこびりついて離れなかった。

そして、晴れて私は入社し、働き始めた。社員は少ないが社長以外は全員若く、私と同年代だった。 疲れた中年が多かった前の会社に比べて、新鮮だった。
それに社員はとても気さくで楽しい人たちで、 いろいろと刺激を受けることも多く、楽しかった。

ある日、私の歓迎会と称して飲み会が開かれた。社長と楽しそうに会話を交わす社員を見て、
「前の会社とは全然ちがう。前の会社だったら社長とこんなに話すなんて考えられない」と感激する私。
「みんな、ニコニコして俺についてきてくれるんだ」という社長の言葉が蘇った。
社長が帰宅し、2次会に場所が移る。
会話も弾けてきた。
「ねえ、なんでうちの会社に入ったの?」
「CGやりたくて、仕事さがしていたらある人に紹介してもらったんです」
「ふうん、なんか事情があるのかもしれないけど、うちなんか入るのは間違いだとおもうよ」
「えっ…」
私は冗談だと思った。だってそういってる本人が社員なのだから。
そういった人、Tさんは社員の中でいちばん長く勤めている人だった。
「俺が6年目、D(別の社員)がもうすぐ2年、あとはそれ未満」
たしか、E社ってもう10年以上経っている会社のはず。なら、創立からの社員はいないということなのだろうか?
と、不思議そうな顔をする私を見て、別の先輩が言う。
「うちの会社、ほとんどの人は2年以上もたないんだ」
どういうこと?また別の人が言う。
「私が入って1年くらいですけど、その間6人くらい辞めましたね」
6人って、社員のほとんど半数じゃないの…!?

そうか、それぐらい厳しい業界なんだ。これは頑張らないと。きっとその分、 やりがいもあるはずだ。
私は、そう解釈した。

しかし、こうした最初の戸惑いが、このあと大きくなってゆく。

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