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転職失敗記その16

さらに明らかになる事実

新年が来た。
社員は結局、仕事始めの日に全員揃った。
最後の日、Bさんは社長と話合いをしていた。 Tさんは、次の日、謝りに行って今後の仕事のやり方を改めると約束したそうだ。
社長が新年の挨拶をする。
「去年あのような話をしましたが、このように全員あつまりました。 しかし私が年末にいったことをどうか忘れないように」
皆、何事もなかったかのように仕事をする。

ある日、社員だけで集まる機会があった。社長は海外出張中。
そのとき私はさらにたくさんの事実を知ることになった。

「社長、前にもあったんだって?会社やめるって」
「そうそう、けっこういろいろできる人が辞めて。社長、気に入ってたんだよ。それでショック受けて、 朝礼で、『俺はもう、会社を辞める…』(笑)」
「子どもと同じなんだよ。自分が威張っても、もう効き目ない、だれも 言うこときかないからダダこねてるだけなんだ」
「Mさんのときも、辛かったよ、俺」
「酷いよね」
「あの人、いままでたくさんの人の人生めちゃめちゃにしてるよ。 それでも何とも思わないんだもの」
「いままで一番だったの、あれ、Qさんの時だよね。」
「何年前だっけ。ひどかったよね、朝来たらQさんの机なくなってんの
社長はよく休日に社内のレイアウト変更をする。
「で、『お前の席は今日からここだ』って、物置にQさん入れられて。」

「ただのいじめだよ、いじめ
そこは機材などを置く、幅1メートルもないスペースだった。 電気も暗く、他の人とも隔離されている。それでもQさんは耐えたが、結局クビになったという。
女の子は事務処理とかやらされるんだよね。そうするとクビが近い」
「そういうことやってるから、業界の嫌われ物になるんだよね」
「そうそう!俺と仕事はしたいけど、あの社長のいる会社だから仕事したくないって、 ××社さんとか言われるとさ…もらえる仕事も貰えないんだよ」
「仕事する会社によって全然態度も金額も違うの、やめて欲しいよ。気に入らないところだと、『こんなところの仕事するな』とか言うしさ」
私は、デザイン関係の知人達の反応を思い出した。 「E社!?」という驚きと困惑の表情は、そういう意味だったのだ。

業界の嫌われ物というのに、なぜE社に仕事が来るのか。
社長は顔が広く、地元の重要人物と仲がよい。 名の知れた地元大会社の会長と気軽に口をきける仲だという。
「会長を『お前』なんて呼んでいるんだよ」と、話してくれたのは、これもまた有名な大学教授である。
もっとも、その大会社の会長もワンマンなのだろう、その会社の労働組合が 『会長○○は不当解雇を撤回せよ!』なんてビラを撒いているのを駅前で見た。

「勝手すぎるよ。だいたいさ、業績が悪くてボーナス無しなんて言うなら、 なんで自分は海外出張なわけ?俺達に一言も言わないで。なにしに行ってるのか誰も知らないんだもの」
「しかも、年に何回行ってるの?あの人。」
「普通、業績悪化したなら考えるよ。機材とか、機能使い切れないくらい 高いものそろえてさ。」
「それで仕事の効率たいして上がるわけじゃないのに。だったら古い機材でいいから、 ボーナス欲しいよ」
次々に明らかになる事実。聞けば聞くほど、私の気持ちは辞めたい方向へ向かう。

私は久しぶりにデザイン関係の知人達に会った。
「どう?仕事は」
「…もう辞めるよ」
「ほらみろ、そうなるの最初から分かってたんだよ!」
「知ってたんですね」
「だって、言えないよ。せっかく東京まで行って勉強して会社辞めて、入ったところが あんなところだなんて…でも、すぐわかることだと思ったんだ
私はため息をつくしかなかった。決める前に、まずはP社のYさんに相談してみよう。
なにか、アドバイスをいただけるかもしれない…

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