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第三回ケーススタディーセミナー

日時:2000年10月13日(金)
於:京都大学 法経第二教室


ケーススタディー配布資料(pdf形式/285KB)

講師紹介

講師:大谷 康弘 先生

大谷会計士事務所代表取締役 公認会計士
(株)関西ベンチャーインキュベート 取締役

勉強会は、この回で最終回となりました。公認会計士であり、かつベンチャー企業の支援もなさっている大谷康弘氏に講演していただきました。テーマは『ビジネスプランの書き方・話し方』です。前回は議論の進め方、いかにチームとして良い考えを生み出していくかを学びました。そして、今回はさらに進んで、その良いアイディアをいかにして相手にわかりやすく伝えるかを学びました。


講演内容


科目『ビジネスプラン書き方講座』


アウトラインの作成

ビジネスプランを書くに当たって,5W2Hを考慮に入れる必要がある
■Why なぜこの事業を行うのか
■Whoだれがこの事業を行うのか
■What製品・サービスの内容
■Where whom どの市場,だれを顧客とするか
■Howどんな方法でどんな競争優位を駆使するのか
■Whenどのタイミングで行うのか
■How much 必要資金,売上・利益はいくらか
■Riskこの事業の課題・問題点


事業名(Who)

 事業名は第一印象を形成する上で非常に重要
34字以内で事業名を表現する(34字に意味はないが,端的に表すには適当な字数らしい)
明確に訴える
他人が具体的にイメージできる必要がある
他人が理解できる自分の言葉で書く

事業コンセプトと商品・サービス等の説明(What)
ビジネスプランを判断する際,最も注目する部分
商品・サービスの概要と技術的原理:(技術的原理は素人にはわからない所が多く,またプロを覆すのは非常に困難である.したがって,今回のコンペでは機能や特長に着目した方が良いとのこと)
事業の内容:1つの事業だけを記載(複数にすると焦点がぼやける)し,事業名と関連性をもたせる
この事業が必要とされる社会的背景:消費者(社会)のニーズを分析して記載する.アウトラインのWhy と関連していることも重要.(今回のコンペに関しても,ブラザー工業は「今の潮流はこうなんですよ」ということを知りたがっているし,“若者の背景”を認識しているというのは学生である我々の強みとして活かすべきであるとのこと)


販売ターゲット(Whom)

どのような顧客が利用するのかを記載する(社会的背景と関連していた方がなおよい)


リスク(Risk)
リスクを考える際,その90%がお金の問題(資金調達やキャピタルゲインが生れるかどうかに注意が行く)

【リスクを考えるに当たり,事業のネックになっているのは何であるかを考えた上で以下の事項をビジネスプランにも織り込むことが望まれる
事業を遂行する上での問題点.リスクをありのままに記載する.
解決すべき課題を明確にする.
解決する事により成功に近つく.
投資家,パートナーはリスクが何処にあるかという情報を求めている.

※市場規模(Where),販売価格設定および販売方法(How),売上・利益計画および資金計画(How much)については割愛させてもらいます

ビジネスプランの話し方
発表時間の目安は30分
パワーポイント等のプレゼンテーションソフト使う場合は書いてあることばかりを言わないように注意する
うまく間合いをとりながら,わかりやすく話す
イメージ図等を使い,相手の視覚や感情に訴えるようにする.但し感情注入しすぎると内容がわかりにくくなるので適度な範囲に収めるように注意する(これは特に新しいアイデアを発表する時に有効).
聞き手を飽きさせないために,資料をプレゼン途中で配るなどタイミングや構成に気を配る


ケーススタディー

【テーマ】経理体制の構築について

【概要】
とある建設業を営む会社は,今後2,3年後に株式の公開を目指しています.しかし,今まで製造・営業部門に人材および資金を投入してきたために,管理部門特に経理部門の体制が整備されていない状況にあります.経理体制を調査した所,業務分担の不備・人員の不定着・月次決算の遅れ 等の問題が発見されました.そこで,あなたは社長から以下のことを依頼されました.
公開に必要な経理体制の提案
月次決算の遅れの解消
管理に関するそれ以外の提案

あなたなら、どの様な提言書を報告しますか?

【発表】4チームに分かれて提言書の内容を考え、発表を行った。

Aチーム(三菱商事チーム)


株式公開に必要な経理体制ができていない原因は主に,管理部門内の相互牽制が働いていないことにあると判断した.そしてそれは,経理担当者(上司)の仕事があまりにも多いために新人まで手が回らないためか,もしくはこの経理担当者自身の人材マネジメント能力が欠如しているためかのどちらかであると考えた。これを解決するために,人材マネジメントを専門に行う人間を内部もしくは外部から連れてきて,仕事の分担を含めた経理体制の構築を行う.したがって,経理部門は5人でいけばよいと判断した.

Bチーム(三井・住友チーム)


社長からの3つの依頼は,1つ目に集約され,それを解決するために採用・教育・会社環境に関する3つの提案を行った.採用に関して,即戦力となる中途採用を行い,かつ新人も部門別採用を行い,経理部門をスペシャリストで固めてしまう.経理部門は総勢11名で構成することを提案し,現行の4名に加えて,新たに7名を上記の方法で採用する.教育に関して,OJTではなく,実務から離れた教育体制の構築を提案した。会社環境に関して,利益の追求ばかりではなく,社員のレベルアップ,特に管理部門の環境向上に努めるべきであるとする提案を行った.


Cチーム(丸紅チーム)


問題の主眼は,経理部に資金が足りていないことにあると考えた.資金がない中で,うまく経理部をマネジメントしていくために,経理部全体を見渡せる人材を確保する.(この人材を外から持ってくるのか,内部の人間を持ってくるのかは聞きそびれました)それによって経理体制の構築を図ると考えた.また,経理能力に長けたパート・派遣社員を採用し,かつ彼らの契約を3ヵ月後との更新とすることで,短期的な問題(月次決算の遅れ)を解消することも提案した.


Cチーム(日商岩井チーム)


 経理体制の不備,および月次決算の遅れを解決するために,派遣社員を12名採用する.(12名の根拠を忘れてしまった)新たに採用した社員は伝票処理業務のみに従事させる.そして,現行の4名を入出金業務に特化させ,そのうち1名は伝票処理業務の監督も行う.それによって,経理部門における短期・長期両方の問題の解決が図れると提案した.

講評

 少ない情報の中で全体的によくできていた.本来提言を行うためには,解決案を落とし込むためのツールを知っていなければ机上に終わってしまう.今回はそのツールを知らなかったために難しい面も多々見られた.実際の提言書では,まず解決ツールを探るために,現在の経理業務はどうなっていて,だれが何をしているのかを経理部組織として認識するフローチャートを作成します.このフローチャートを下に大まかな人員の分担を行います.そこで,入出金業務と伝票処理業務を分離するために課を新たに作ることを提案します.次に月次決算の遅れという短期の問題を解決するためにアルバイト等人員の補充を提案します.また,長期的な経理体制の安定化のためには,単なる実務担当者の充実だけでなく,経理知識に優れたマネジメント能力のある経理部長(常勤)を今後採用していくことが望まれます.そのために,給与等の採用・人事システムの改善も提案します.