日本の裁判は判決が出るまでの期間が長すぎて、役に立たない。原告および被告双方にとって理不尽なほどに遅い。公害訴訟などで30年前の件をいまだにやっていたりして、びっくりする。裁判官、弁護士、検察官ともに遅い裁判に慣れきってしまい、年単位での裁判の進行を当たり前の事であると思っているようだ。週単位での進行が望ましいが、せめて月単位で事が進行するような裁判に改革しなければ、司法は役に立たない。すなわち、現在の裁判のスピードを10倍にする必要がある。裁判が遅い原因の一つに、裁判期間に期限が設定されていない事もあると思う。担当裁判官が交代すると大幅に裁判の進行が遅延するという話も聞いている。しかし、裁判官、弁護士、検察官の人数が絶対的に不足している事が遅い裁判の最大の理由である。
日本では、弁護士の人数が1.5万人しかいない。米国では100万人の弁護士がいる。米国のレベルでの弁護士の人数とすると、日本では弁護士が50万人はいても良いという勘定になる。米国ほどの訴訟社会を望むものではないが、人口が米国の約半分の日本では少なくとも15万人の弁護士と、それに見合った人数の裁判官と検察官が必要であると考える。すなわち、弁護士を含む法曹人口を現在の10倍に増加させねばならない。これにより、裁判のスピードも10倍になるであろう。
弁護士の人数を10年間で10倍にするにはどうするか?現在の弁護士1.5万人の中で毎年の引退者は500人と推定できる。10年で13.5万人の純増を達成するためには、年間14000人の法曹人口の増大が必要となる。従って、歩留まりも考えて、司法試験の合格者を年間20000人レベルにしなければ、10年で弁護士の人数を10倍にすることはできない。司法試験の年間合格者数は700人から、1998年度は1000人に増加させるとしているが、このレベルでは焼け石に水である。
司法試験の合格者数を増加させることは簡単であるはずなのだが、合格後に合格者を1ヶ所に集めて司法修習生などと言って、教育をしようとするから、合格者を一挙に拡大できないのである。合格後の司法修習を廃止して、大学・企業・法律事務所などで5年間ほど実務を学んだ後に、適性検査に合格した者のみを裁判官や検察官として採用すれば良い。適性検査を受験しなかった者や受験して不合格となった者は、弁護士となれば良い。
日本の構造を官僚主導型から民主主義型に切り替えるためには、行政の事前関与をできるだけ排除し、ルールに基づいた司法による事後処理型にしなければならない。そのためには、現在のような「遅い・高い・傲慢な司法」を「早い・安い・親切な司法」に変革せねばならない。司法は牛丼の吉野屋を見習うべきだ!
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