BEN FOLDS FIVEスペシャル
Another BRICK on the wall
海外雑誌CMJ 1998 March Issueより訳



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さてBEN FOLDS FIVEの3人が出会ったきっかけは? いろんな説があるのだが、傑作なのは彼らはゲイのディスコで出会ったというのだ。BenはそこのDJで、Robert とDarrenはカラオケのスタ−だった...というのはもちろん彼らのお得意の作り話で、実際はそんなエキサイティングなものではなさそうだが。事実RobertとBenはチャペルヒルに戻る前から知り合いで、RobertとDarrenは地元の無名バンドでプレイしていた頃から顔見知りだった。そしてBenとDarren...この2人はDarrenがコ−ヒ−ショップでBenを彼の弟と間違えたのをきっかけにバンド結成より先に友達になったのだ。

彼らがどの楽器をやってるかとか以前に、まず性格が良かったことにすごく感動した。べつに演奏が(その頃)ダメだったなんて言ってないよ。

Benは説明する。

バンドが成功するかどうかという心配よりまず3人ともお互いのことをすぐに理解しあえたのが凄く良かった。

Darrenは振り返る。ピアノを運ぶための通常より大きいサイズのワゴン車やその他経費の支払いに14,000ドルの借金がかかるのをBenは覚悟していた。そのワゴンはロ−ド中にピアノを動かしパンクロッククラブでセッティングするのには便利だったのだ。Benはピアノの構造やその運び方を熟知していて、自分達のショ−が終わった後たった4分でピアノをステ−ジから降ろす事ができたが、それには周囲のクスクス笑う声は止められなっかた。

僕たちが前座をするヘッドライナ−のバンドからピアノを動かす僕たちを見て笑われたりジョ−クを言われたりしたもんさ。

Darrenは振り返る。

自分の顔が赤くなるのがわかるぐらい腹が立った。あんな事しょっちゅうあったさ。そいつらは『お前らこんな事してバカじゃねえの』とは言わないかわりに、『こんな光景これから1年見続けるんかよ。ふ−ん。』という感じで、笑われたんだ。4年経った今そいつらが後悔する番さ。

Robertも

その頃Archers of Loafのファンからの屈辱に耐えていたのさ。

と。

Benはかつて自分達のことをPUNK ROCK SISSIES(泣き虫野郎のパンクロック)と呼んでいた。つまり高校のマ−チングバンドでプレイをしているような人達のためのパンクロックという事だ。彼は1983年にはMEN AT WORK*14を聴いていて、他にもCRUSH*15, Elvis Costelloも聴いていた。もちろんMTV全盛前のElton John, Randy Newman*16もBenだけでなく、DarrenとRobertも聴いていたのだ。彼らがキッズの頃聴かなかったア−ティストは皮肉なことにいつも比較対象の引き合いに出されるア−ティストBilly Joelだ。

昔、彼のシングルなんて1枚ももってなかったよ。ラジオで聴くだけで十分だった。今は何枚か持ってる。Coolなレコ−ドだね。いや、CoolじゃなくてGreatだ。彼はBadなレコ−ドなんて作らなかったね。すごく影響をうけたのはElton Johnの方だ。僕は彼の曲に釘付けになったんだ。Billy Joelと個人的に共通点はある。彼は自分で詞を書いているし。Elton Johnはすごく異彩を放っていて、僕も彼みたいになりたいよ。


僕はテクニックをひけらかして伝えたいことがカケラもないバンドって好きじゃなかった。だからElvis Costelloの登場って僕にとって突風のようなかんじだったよ。彼のメッセ−ジってすごくリアルで、ありのままのことを伝えているよね。Costello, Randy Newman, Joni Mittechell,*17 Ricky Lee Jones*18はバンド結成の上で僕のお手本だった。

Billy JoelとElton Johnだけを比較するのはおかしい。確かに1stアルバムはBilly Joelのすこし炭酸の利いたビ−ルの味を持ったようなレコ−ドだ。でも2ndは演奏のキレがよくてタイトなところ、新しい試み、痛烈な歌詞、ボ−カルスタイルはJoe Jackson*19を彷彿させる。

2ndではいかにうまく演奏ができるかということを学んだよ。1stではアグレッシブにプレイ、表現する事には成功していたから。僕たちはできるだけダイナミックに表現しようと心がけた。

Robertは語った。


(中略)
("One Angry Dwarf〜" について)間抜けなヤツのリベンジソング? 違うね。

Benはこの歌の最初の歌詞は事実だと断言した。1975年9月彼は47インチしかなかったのだ。(!?)今や"Brick"で(彼の身長と同じくらい)名声を高めたが、彼は今まで後回しにしていたたくさんの夢のいくつかに取りかかることに興奮している。成功の余韻に浸りつつも、彼の関心はツア−を終えて、彼の実験的なサイドプロジェクト『Fear Of Pop』をCaleb Southernとしあげて、3rdアルバムにとりかかる事だ。

JEWEL
*20は神様からの祝福を受けてるからアルバム1枚だけで17年もツア−ができるのさ。

Benは皮肉を言った。

Robertは

"Brick"がビッグネ−ムと一緒にチャ−トにあるから、これからもチェックするのが楽しいよ。僕達はチャンピオンになる為の戦略なんてないんだ。Sleater-Kinnery
*21(注:女性3人組のパンクロックバンド)だったら売れる理由とかあると思うよ。僕たちには定義なんてない。だたみんなの為の(ジャンルに関係ない)音楽をやっている感じかな。」■
*14 MEN AT WORK:オーストラリアのロックバンド
*15 CRUSH:SEX PISTOLSと並ぶ、イギリス70年代後半のパンクムーブメントを代表するバンド
*16 Randy Newman:Benのお気に入りで、アメリカを代表するしぶいピアニストでソングライター
*17 Joni Mittelle:1960,70年代から活躍しているカナダ出身のシンガーソングライターで画家
*18 Rickie Lee Jones:ジャズっぽさが特徴の女性シンガーソングライター
*19 Joe Jackson:イギリスのピアノマン。BFFの1stの帯に「クィーン・ミーツ・ジョー・ジャクソン」って書いてある
*20 JEWEL:アメリカの女性シンガー。1stアルバム『pieces of you』が1000万セールス
*21 Sleater-Kinnery:女性3人組のパンクロックバンド
おわり

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