年代測定法



 たちのまわりにある物質はすべて、原子というつぶのようなものからできています.原子には百数十の種類があって、それぞれ重さや大きさ、性質などがちがっています.さまざまな種類の原子がくっつくことで、いろいろな物質が出来上がっているのです(→分子と原子).

 ころが、原子のなかでもあるものは、じっとしていることができず、時間がたつと、原子核の一部や電子、目に見えない光などを出して、別の種類のもっと軽い原子に変わってしまいます.原子の種類が変わるのです.どのくらいの数の原子が別の原子へと変わるかというのは、原子の種類によってちがいます.ゆっくりと変わるものもあれば、とくにおちつきがなくて、急いで変わってしまうものもあります.でも、100個ある原子のうちの1個が、別の軽い原子に変わるために必要な時間というのは、原子の種類によって決まっています.1日で変わってしまうものもあれば、何百万年もかかるものもあります.

 の性質を利用して、岩石や化石がどれくらい古いものかを知ることができるのです.ある種類の原子に注目して、変わる前の原子と変わった後の原子の数を数えます(岩石の中にそれぞれどれくらいの量が入っているかを測ります).すると、もとの原子の何パーセントが軽い原子へと変わったかが分かります.1パーセントの原子が変わるのに必要な時間というのは決まっていますから、その岩石のなかに原子が閉じ込められてから、どれくらいの年月がたったかを、計算することができるのです.

 は、変わる先の原子がもともとたくさんあったらどうでしょう?私たちはたくさんの重い原子が軽い原子へと変わったとかんちがいしてしまいますね.計算した結果は本当の年齢よりもずっと古いということになってしまいます.そこで、私たちは、原子が岩石に閉じ込められたときに、変わった先の原子がほとんど入り込まないようなものを使います.たとえばアルゴンという種類の原子は、ガスとしてしか存在できず、マグマのなかには入り込めません.マグマが冷えて固まるときには、アルゴンの原子はすべて岩石の外に出て行ってしまいます.一方、カリウム40という種類の原子は時間がたつとアルゴンに変わるのですが、カリウム40は岩石といっしょに固まって、中に閉じ込められてしまいます.そこで、岩石の中にとじこめられているアルゴンの量と、カリウム40の量を測ることで、カリウム40の何パーセントがアルゴンに変わったかが分かります.これで、岩石が固まってからどのくらいの時間が経ったかを計算することができるのです.