ケイ酸と岩石



 イ酸というのは、ケイ素とよばれる原子(→分子と原子)1つにいくつかの酸素原子がくっついたものです。私たちのまわりにはケイ酸をふくんだものがたくさんあります。ガラスや茶わん、砂や石などはみんなケイ酸をたくさんふくんでいます。また、私たちのすむ地球は大きな大きな丸い岩のかたまりですが、ケイ酸はその岩をつくるもとになっている物質なのです。

 石のなかには40%から70%くらいケイ酸が入っています。ケイ酸があまり入っていない岩石は黒っぽい色をしていて、たくさん入っている岩石は白っぽい色をしています。そして、ケイ酸だけをとりだすと、透明できらきらと光る水晶になります。

 石は鉱物(こうぶつ)という小さなつぶからできていて、鉱物がちがうと、その中に入っている原子の種類やその割合も変わります。山登りをしたときなど、岩を見たとき、まだら模様に見えるものがあります。そのまだらの一つ一つが鉱物です。まだらに見えない石であっても、鉱物がとても小さいので目に見えないのですが、顕微鏡で見るとやはり鉱物からできています。ケイ酸のたくさん入った鉱物は白っぽく、あまり入っていない鉱物は黒っぽい色をしています。このために、岩石にどのくらいケイ酸が入っているかで、色が変わってきます。

 物がとける温度は1000度くらいですが、細かく見ると、鉱物の種類によってその温度はちがっています。ケイ酸があまり入っていない鉱物は、とけ始める温度が高く、マグマが冷えて岩石になるときにも、早く固まり始めます。

 ゃくに、ケイ酸がたくさん入った鉱物は、温めると低い温度でとけ始め、冷やすときにも、なかなか固まりません。このために、マグマが地下でゆっくりと冷えて固まるときには、ケイ酸があまり入っていない鉱物がさきに固まり、残ったマグマにはたくさんのケイ酸が入ることになります。こうしたマグマが地上に噴出して固まると、白っぽい岩になります。このような岩石を流紋岩(りゅうもんがん)といいます。もし、できたばかりのマグマがそのまま地上に噴出して固まると、黒っぽい岩になります。このような岩石を、玄武岩(げんぶがん)といいます。