誕生日に思う 

 時計はすっかり25時を回り、電話ラッシュも終わった。
一時間ほど前に、29回目の誕生日を迎えたDel に、
おめでとうの電話をくれた人たちに、心からのありがとう。

 Del の友達は夜型が多いのと、Del 自身が仕事から
帰って来るのが遅いので、みんなこの時間でもDel が
起きているだろうとふんだのだろう。
日付が変わる少し前から、電話がかかり始めた。

 おめでとう、ありがとう。
携帯電話が鳴る。
おめでとう、ありがとう。
繰り返す。

 一年に一度のことだから、みんなの気遣いが嬉しい。
「やっとつながったな」。
そう言った友達は、まるでTicket予約の電話みたいだと
笑っていた。

 歳を重ねるごとに、加速度的に一年が過ぎるのが速く感じる。
去年の今頃は何をしていたんだっけ。
そうそう、まだWeb Pageも作っていなくて、
プライベートなEmail Addressも持たず、
WC/Jのみんなと、今より少し距離があった頃だ。
その時はこんな風に、Web Pageを持つこともないだろうって、
思ってた。

 こんな日が来るとは、思わなかった。
いつでも過去を振り返るとそんな風に思ってる。
「今日のDel 」を、一年前のDel は決して想像しなかっただろう。
そして、「今日のDel 」は、一年後のDelを想像することができない。
一年後のDel は、またこうしてエッセイを書いているかもしれないし、
そうじゃないかもしれない。
誰にも未来の予測も保証も出来ないけれど、
また、幸せな気持ちで新しい誕生日を迎えられたらと思う。

 願いを叶える方法は、ただ一つ。
強く、そうなりたいと願うこと。
どこかでそんなフレーズを読んだ。

 Del を育ててくれた両親に、
Del を励ましてくれる友達に、
一番祝って欲しかった人に、
そして、Del 自身に、
どうぞ楽しい毎日が訪れますように。

 そう願って今日は眠ろうと思う。
April 10, 1999