side_story-36 (Masaya.T) 

病室から出てきた僕たちは,駐車場に戻ってきた。

「もうお昼ですね」
「そだね,じゃどっか近くで食べてこか。
 その後のことはそれから決めよう」

そんな風にして,昼食をとれるところを求めて車を走らせた。

「お元気そうで良かったね」

美也子さんが,そういう。

「うん」

と,僕は返す。
確かに今日のお袋は,いつもより元気そうだった。
美也子さんを連れてきて良かったなと思う。
話し相手という意味なら,僕や親父より,美也子さんの方がいいだろう。

「退院の目処は?」

と美也子さんがまた訊く。

「たぶん,出来ないですよ」
「え?」
「言ったじゃないですか。一年保てばいい方だって」
「…」
「信じたくないですけど,あんなに元気なお袋なのに,
 体の中は確実に蝕まれていってるんですよ。
 そればかりは,動かしようのない事実なんです」

僕は吐き捨てるように言ってしまう。
美也子さんには罪はないのに。
けれど,押さえられなかった。

「ご存じ,ない,んだよね?」
「本人には,告知してませんから。
 言えません。
 僕の口からも,親父の口からも,どうしても言えなかった」

僕がそういうと,美也子さんは黙ってしまった。
そうだろう。
何を言ったとしても,それは慰めにも何もならないことは,
彼女だって判っているはずだ。

大丈夫だと誰かが太鼓判を押してくれるなら,僕はその言葉にすがっただろう。
けれど,大丈夫であるなんて,誰も言ってはくれなかった。
余命幾ばくもないことを宣告された人間の,逆転ホームランなんてありはしない。
神に魅入られた人間は,どんなに抗っても,その手から逃れることは出来ない。
その事を,僕は痛いほど判っていた。
崎谷先輩は,どこかで生きていると信じていた あの日,
彼が戻っては来なかったのと同じように。

ドラマではないのだ。
これは現実だから。
奇跡は,起こらない。


「ごめんね。無神経,だったよね。
 お元気そう,なんて…」
「いぇ,すみません。
 僕の方こそ,つっかかるような言い方してしまって。
 人間が,出来てないんですよね,結局。
 もしかしたら,お袋にきっちり伝えた方がいいのかもしれない。
 だけど,言えないんだ。
 お袋の顔から笑顔が消えるのが怖くて,言えないんだ…」

どうして,お袋なのだ。
なぜ,お袋でなければならないのだ。

口を開けば悪態を付いてしまいそうだった。
世の中には,もっと生きている価値のない人間が居るだろう?
そういうやつらでなく,どうしてお袋が命を落とさなければならないのだ。
お袋の代わりに誰かを差し出せ,そうすれば助けてやると言われたなら,
僕はきっと,喜んで他の誰かを差し出すに違いない。
何の関わりもない通りすがりの人間を差し出して お袋の命が助かるなら,
10人でも100人でも…。

そんな風に思いながら,なんて利己的なんだろうと,
自分で自分に嫌気がさす。
そして,矛盾に満ちた思いに ずるずると はまり込み抜けられなくなる。

「ねぇ,何か,作るよ。私。
 だから,買い物して帰ろう」
「でも,せっかくの休みだし」
「家でゆっくりするのも,休みの過ごし方だよ。
 ね?」
「はい…」

たぶん,僕を気遣ってくれたのだろう。
どこへ行って何をしたとしても,僕の気が晴れないことは,
彼女も気づいていたに違いない。
やっぱり病院へ美也子さんを連れてくるべきでは無かったかなと,
僕は今更ながらに後悔していた。

            * * *

家に戻る途中で僕たちは大型スーパーに寄った。
カートを押しながら食料品売り場を歩く。
たぶん,何の悩みもないカップルに,僕たちは見えるのだろう。

「んー,何がいい?」
「そですねー,簡単に作れるのがいいですよね」
「食べたいものゆってよ,簡単じゃなくてもいいから」
「うーん,あ!スパゲティ作ってくださいよ」
「何スパゲティ?」
「イタリアンスパゲティ,こてこてにケチャップかかったヤツ」
「えー,なんでぇ?」

美也子さんは,くすくすと笑う。
彼女のそんな表情が好きだなと,僕は思う。

「僕が小さい頃,お袋がよく作ってくれたんですよ。
 なんだか急に食べたくなってきて」
「そっかぁ。そういえばうちもよく作ってくれてたよ。
 それで あにちゃんがさぁ,洋服にこぼして怒られてた」
「そうなんですよね。落としちゃいけないって思うんですけどね。
 あとついつい袖で口を拭いてしまったりとか」
「ケチャップって,洗濯してもとれにくいンだよぅ。
 今日は そういうのしないでよ」
「しませんよっ。子供じゃないんだから〜」
「どぉだかなぁ?夏休みの宿題泣きながらやってた雅也君だからなぁ?」
「わああ,サイテーですよ,それを持ち出すのは」
「ふふふ。滝川君の違った一面発見の日でした〜」

僕たちは,そんな風にして普段の会話に戻り,
イタリアンスパゲティを作る為の材料を買い込んで,
美也子さんの家に戻った。

            * * *

「ただいま」
と,美也子さんは,玄関で言う。
そう,崎谷先輩の写真に向かって。

「おじゃまします」
僕も,写真に向かってそう言う。
いつの間にか そんなことも,当たり前に出来るようになっていた。

僕は今でも錯覚することがある。
部屋の奥から,「よぅ,いらっしゃい」と,
崎谷先輩が出て来るような気にとらわれる。

「適当にくつろいでて。すぐに作るから」

美也子さんはそう言ってエプロンを付け,
材料を出して冷蔵庫に入れるものとすぐに使うものとを選別し始めた。

トントンという包丁の音。
立ち上る湯気。
ふと,美也子さんとお袋が重なる。

「あ」
「どうかしましたか?」
「灰皿,出してなかったよね」
「ああ,いいですよ。あとで」
「陽介さんの部屋にあるから,取ってきてくれていいよ」
「あ,はい…」

僕は知っていた。
灰皿がどこにあるのかを。
崎谷先輩の部屋のデスクの左側に,ちょこりといつも置かれている。
彼が愛用していた灰皿。
「すぐにねぇ,山盛りになっちゃうのよぉ」と,
美也子さんが 口をとがらせ いつも言っていた 少し小振りの灰皿。
だけど,灰皿が山盛りになってしまう前に,陽介さんに言われるまでもなく,
彼女が吸い殻の始末をしていたことも,
「彼,ライターねぇ,すぐに忘れちゃうの」そういって,
彼女自身がカバンの中に,崎谷先輩のためにライターを忍ばせていたことも,
僕は知っていた。

「んじゃ,失礼して取ってきます」
「はーい。もう少しで出来るからねー」

有るべき所に,それは有った。
そう,この部屋では,何もかもが有るべき所に存在するのだ。
ただ一つ,居るべき人間が居ないということを除けば。


「ねねー,ワイン開ける?白あるんだ」
「あ,いいですねー」
「この間実家へ帰ったときに,家から持って来ちゃった」

美也子さんは ぺろっと舌を出して肩をすくめる。

「父がもらったものらしいんだけど,美味しそうだったから」
「それは楽しみだなぁ。じゃグラス出しますよ」
「お願いねー」

そして食卓には,年代物のワインと,サラダ,イタリアンスパゲティが並ぶ。
ワインで乾杯して,僕たちは食事を始めた。

「ぅわぁ,ほんと懐かしい,これぞまさしくイタリアンスパゲティ」
「変な感動の仕方だねー。味どうかなぁ?」
「美味しいですよ。うん。ワインも旨いし。外で食べるより良かったです」
「そう言ってもらえたら嬉しい」
「トマトソースのイタリアンスパゲティって多いですけど,
 やっぱり基本的に,このコテコテのケチャップ味がいいんです」
「子供ちゃんだよねー,滝川君は」
「ほっといてくださいよ。いいんです。子供ですから〜」
「拗ねてる拗ねてる〜」
「あ!美也子さん,ほっぺたにケチャップ!」
「えええっ,やだ,どこ !?」
「嘘です〜」
「ああああああああああ」
「ひっかかったー。…ぁ」
「あー」

僕はスパゲティを,ぽとりと落としてしまっていた。

「やだー,滝川君ったら」

涙目になりながら美也子さんは笑う。

「テーブルの上だからセーフです!」

僕も笑う。
可笑しくて笑う。
ずっとこんな時間が続けばいいなと思いながら笑う。

            * * *

食事が終わって後かたづけを美也さんが済ませた後,
僕たちはデザートを買いに行くことにした。
二人でワインを一本開けたので,どちらも運転はマズいだろうということで,
ちょっと遠いけれど歩いてケーキ屋さんまで行くことにした。

外の風は少し冷たかったけれど アルコールの入った身体にはちょうど良かった。
僕たちはバカな話をしながら,大笑いして歩く。
たくさんの種類のケーキが並ぶ中,どれにしようか迷い,
結局あれこれと買い込み,今日の夜ご飯はケーキだねと言いながら,
元来た道を また笑いながら帰る。

「ねーねー,寄り道していこー」
「ケーキ持ってるのに,ですかぁ?」
「ちょっとだけね,公園,通って行こうよ」

彼女は仕事の途中でも よく公園を通って帰る。
その理由を「木々から元気をもらうのよ」と言っていた。
木々たちは僕にも元気を分けてくれるだろうか。

「ふぅ,久々に歩いたーって気がするね」
「そうですね,僕たち車に乗って移動すること多いからなぁ」
「ついつい,どこに行くにでも車使っちゃうよね」
「ほんとに」

ベンチに腰掛け,彼女は「ぅー」っと伸びをすると,
待っててね,といって,向こうに走り出した。
程なくして戻ってきた彼女の手には,缶紅茶が二つ握られていた。

「熱いのぉお,早く持って持って」
「ぅゎっち,アチぃ」
「ケーキの箱貸して」
「はい?どぞ」

美也子さんはケーキの箱を開けると,中から
さっき買ったばかりのシュークリームを取り出した。

「ぇえっ,ここで食べるんですかっ」
「ん」

にこりと笑って彼女は ぱくっとシュークリームにかじりつく。

「なんかねー,天気もいいし,急に食べたくなった」

ぺろっと手に付いたクリームを舐める。
まったくもう,どっちが子供だか。

「しょうがないですねー。あ,缶開けましょうか」
「ありがとー,滝川君も食べるといいよぉ。美味しい」

僕は缶を開け,彼女に渡し,箱の中を眺める。

「僕的にはチーズケーキ食べたいんですけどねー」
「あ,それも有りかも」
「行儀悪いですよねーこれは」
「たまにはいいんじゃない〜?」
「そういうことにしておきましょう」

僕はそういうと,チーズケーキのセロファンをくるくると剥がして,
箱の隅っこに戻し,はぐっとかぶりついた。

「んー,これも旨いなぁ」
「でっしょぉ,あそこのケーキ屋さん,どれも美味しいの」

シュークリームを平らげて,紅茶をコクコクと飲む美也子さん。
空には ぽかりと雲が流れていた。

「平和だなぁ」
「そだねー」
「なんか,和んでしまいますよね」
「縁側のおじいちゃんおばあちゃんみたいだよね」
「あはは,ほんとに」

いつか,美也子さんとこんな風に,縁側でのんびり出来たらいいな,と
そんなことを考えたけれど,口には出さなかった。

「プリン,いっちゃおかな」
「えぇえっ,マジっスか」
「あ,もしかして,狙ってた?」
「密かに」

ぷっと二人で顔を見合わせて笑う。

「じゃねぇ,半分こしよう」
「いいですよ,美也子さん食べてください。
 その代わり,僕は,チェリーパイを」
「ああっ,それずるいよぉお,私も食べたかったのにー。
 ちょっとだけちょうだいね」
「んじゃ最初にかじってくださいよ。これあとの方になると食べにくそうです」

僕はパイの一番角度の小さい部分を彼女に向ける。
一口彼女がかじる。

「美味しい〜」
「何か美味しいしか言ってないなぁ,僕たち」
「いいのいいの。美味しいって思えるってことは,幸せってことだよ」
「そんなもんですかー」
「そんなもんです」

彼女はチェリーパイに満足したのか,プリンを取りあげ,
プラスティックのスプーンの袋を破った。

美味しいと思えることは幸せだということ,というのは
たぶん彼女の実感なのだろうなと思う。
元から食の細かった彼女が,彼のことがあってから それに輪をかけて
ほとんど何も食べない日々を過ごしていたのを僕は知っている。
何を食べても美味しいと思えないような精神状態でいたのだろうから,
今のように嬉しそうな顔をしながら食事が出来る様になったのは,
少しずつ幸せに向かって変化しているということに違いない。

「わあぁあああ」

突然,子供の泣き声が聞こえて 僕は我に返る。
そちらの方へ目を向けると子供が一人転がっていた。

「あれ?親は居な…」
と僕が言う言葉の半分あたりで,美也さんは開けようとしていたプリンを僕に渡し,
走っていった。

僕もプリンと食べかけのチェリーパイを箱に戻し,子供の方へと駆け寄る。
子供は ほんの擦り傷だけのようだった。
転んだことに驚いて泣いている,というような感じだった。

「大丈夫よぅ。ほら,痛くない,ね?
 お利口さんだね,立てるかな」

彼女がしゃがみ込んで子供の手を取る。
子供は ぇぐぇぐと泣きながらも,自分で起ち上がった。
「強いね。うん,大丈夫だよ,ほら,痛いのはどっかにとんでっちゃった。
 あ!おにいちゃんのところに,痛いのがくっついたよ」

美也子さんが,僕を指差す。

「ぇ?あ,ああ,痛いっ」

僕は演技した。

「ほらね,ボクの痛い痛いは おにーちゃんのところへいったから,
 大丈夫だよ」

子供の頭を撫でながら,美也子さんは笑った。
子供も笑った。

「おにーちゃん,痛い?」

子供が,僕の顔を心配そうに見上げる。

「大丈夫。おにーちゃんの痛いのは,こうして…」

僕は,地面に「それ」を落とす動作をしながら,
足で,ぎゅむぎゅむと踏んづけてみせた。

「ほら,もう痛い痛いは踏んづけたから平気だよ」
「そっかぁ。良かった。ボクもう痛くないよ」

遠くで子供のお母さんで有ろう人の呼ぶ声が聞こえた。

「あ。ママだ。じゃぁねバイバイ」

そういうと子供は何事も無かったように走っていった。

美也子さんは手を振る。
僕も手を振る。

「可愛いね」
「そうですね。子供ってあれくらいの時ってすごく可愛いよなぁ」
「演技ご苦労様,ウルトラ滝川マンだね」
「あはは,そうですよ,痛い痛い星人をやっつけてみました」

僕たちはベンチに戻った。

「さて,じゃぁ,続きは家に帰ってから食べましょう」
「そだね」

元通りにケーキの箱を閉め,僕たちは歩き始めた。
途中で缶をごみ箱に捨てる。
さっきの子供が母親と連れだって歩いているのが見えた。

「滝川君って子供好きなんだね」
「ああ,好きですよ。
 他人の子供であれだけ可愛いんだったら自分の子供だったら
 どんなに可愛いだろうなぁ」
「いいパパになれる,ね」
「僕一人っ子でしょ。
 小さい頃兄弟が居るヤツ羨ましかったんですよね。
 だから,子供は最低二人欲しいんです」
「そっかぁ」
「俺ね,考えたことあるんです」
「何を?」
「もしも,俺が美也子さんと結婚出来たとして,子供が生まれて,
 それが男の子だったら」
「…」
「『ようすけ』って名付けようかなって」
「…」
「あ,すみません,変な話して,仮定っていうか,
 なんていうか,その…あの‥,崎谷先輩が生まれ変わったような,
 そんな風に思えるかなとかって思って,その…」
「ありがと,ね…」
「気にしないで下さい,ほんと,えっと,厚かましいですよね。
 結婚出来たらなんて」
「んーん」

美也子さんは,急に元気が無くなってしまったみたいだった。
まいった。
変なことを話してしまったと,また後悔してしまう。
最近後悔ばかりしているなぁと思いながら,僕は黙って彼女と並んで歩き,
彼女の家に着いた。

            * * *

「ケーキ食べましょう,続き」

僕は,盛り上げるためにそう言った。

「うん。コーヒー,入れる,ね」

彼女の心は,どこか遠くへ行ってしまったようで,
言葉だけがそこに残された。

「あのね」

彼女がコーヒーメーカーをセットしながら,
こちらを見ずに話し始める。

「なんですか?」

「滝川君はさ,私と結婚なんてしない方がいいよ」

僕は頭を殴られたような気持ちになる。
拒絶された。
そう思った。

「判ってます。美也子さんは,僕のことなんて好きじゃないですし」

「そじゃなくて」

「崎谷先輩のこと忘れられないのも判ってますし」

「あのね」

「…」

「滝川君,子供好きだって言ったじゃない?」
「言いました」
「子供,最低二人欲しいって」
「言いましたよ」
「だから,私と結婚なんて考えない方がいいって言ったの」
「何ですか?それ話通じないですよ。
 僕の子供が考えられないっていうのは判りますけ…」
「違うの」
「何がどう違うんですか」
「子供,無理だから」
「美也子さん,子供好きでしょう?
 欲しくないんですか?」
「好きだよ。欲しいよ」
「だったら,余計に判りませんよ。
 要するに,僕との子供は考えられないから僕とは結婚なんて考えられないって」
「だから,違う」
「何が」
「出来ないから」

コーヒーメーカーの,こぽぽぽっという音が聞こえる。
それ以外の音は僕の耳に入らなかった。

「出来ない,って,何が,ですか?」

僕の頭は思考停止していた。

「だから」

「もういいです」

「…」

「有り体に言ってしまえば,僕と sex は出来ない。
 だから子供が出来る事も無いだろう,だから,結婚も…」
「違うって…」

彼女の言葉が震えている。

「そうじゃないって。
 出来ないのよ,子供が。
 私は,子供が出来ないの。
 子供を作ることが,出来ないの」

「は?」

「どれだけ望んだって,私は自分の子供を持つことが出来なくなったの
 そういう身体になってしまったの」

最後のそれは,叫び,だった。

「どうして,なんで…なんです‥か?」

訳が分からなかった。
女性は毎月排卵があって,生理があって,それで…
僕の頭には,保健で習ったような事柄がぐるぐると渦巻いていた。

「まさか」

女性のそれは,精神状態にとても左右されると聞いたことがある。
まさか…

「雅也が嫌いだからとか,sex できないからとか,そんな理由なんかじゃない」
「美也子さん…」
「彼が死んでから,生理が無い。それが事実なの」

キーンという耳鳴りだけが聞こえる。
" それが事実 " ―― なんて酷い言葉なんだろう。

to be continued ...