工学実験レポート1(EPSデータなし)    ※無断使用不可
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\title{}
\author{}
\date{}

\begin{document}

 \begin{description}
  \item{{\LARGE {\bf 概要}}}\\ 情報工学の実験として、信号機を試作した。
信号機の仕様を考え、設計し組み立てた。そして、テストを行い、考えた仕様通りの結果が得られた。
 \\ \\ \\\end{description}

\tableofcontents
 \section{目的}
74シリーズのTTLICを用いて、信号機の機能を有する論理回路を設計試作する。
また、本実験を通じて、論理回路の設計手順・製作方法を習得し、
論理回路素子の動作を理解する。

 \section{原理}
設計する信号機の仕様を決めて、その状態遷移図を作る。次に、その状態遷移図を
もとに、真理値表を作り、論理式を導く。ブール代数・カルノー図を使い、論理式を
簡単化し、回路図を作る。できた論理回路を論理ゲートを用いて構成する。

 \section{設計}
  \subsection{仕様}
本実験で制作した信号機(図1参照)の仕様は次の通りとする。
 \begin{enumerate}
 \item 右折用の矢印信号を有し、交差点の隣りあった2つの信号機である。
 \item 矢印信号点灯後、赤の信号が点灯する。
 \item 夜間は、赤と黄の信号が点滅する。
 \item 青はB,b、黄はY,y、赤はR,r、矢印はW,wで表すとする。
 \end{enumerate}

 \begin{figure}[!h]
   \begin{center}
   \includegraphics[scale=0.5,angle=0]{signal.eps}
   \caption{交差点と信号機の配置}
   \end{center}
  \end{figure}

  \subsection{状態遷移図}
3.1の仕様に従い、状態遷移図を作成した。図2に状態遷移図を示した。
なお、状態遷移図は、上から状態番号、入力信号(a,b,c)の状態、信号機の点灯状態を
示している。図2のように、初期状態を状態0(S0)の時として、点灯しない場合は
「消」とし、昼・夜の分別は切り替えスイッチを用いて、SW=1の時、昼の状態を示し、
SW=0の時、夜の状態を示すようにした。
\begin{figure}[!h]
   \begin{center}
   \includegraphics[scale=0.5,angle=0]{joutai.eps}
   \caption{状態遷移図}
   \end{center}
  \end{figure}

  \subsection{真理値表}
3.2の状態遷移図(図2)より、出力信号とLEDの制御信号の真理値表を作成した。
表1に、真理値表を示した。なお、入力信号a,b,cに対する出力信号をfa,fb,fcとし、
LEDの制御信号は、一方をB,Y,R,Wで表し、もう一方をb,y,r,wで表すようにした。

\begin{table}[!h]
\begin{center}
  \caption{真理値表の表}
  \begin{tabular}{|c||c|c||c||c|c|}
  \hline
            &入力信号 & & 次の状態 & LED1 & LED2\\ \hline
            & a b c & SW & fa fb fc & B  Y  R  W & b  y  r  w\\  \hline\hline
  $ S_{0} $ & 0 0 0 & - & 0 0 1 &  1  0  0  0  &  0  0  1  0  \\ \hline
  $ S_{1} $ & 0 0 1 & 0 & 1 1 0 & 0 1 0 0 & 0 0 1 0 \\ \cline{3-4}
            &       & 1 & 0 1 0 &         &         \\ \hline
  $ S_{2} $ & 0 1 0 & - & 0 1 1 & 0 0 1 1 & 0 0 1 0 \\ \hline
  $ S_{3} $ & 0 1 1 & - & 1 0 0 & 0 0 1 0 & 1 0 0 0 \\ \hline
  $ S_{4} $ & 1 0 0 & 0 & 1 1 1 & 0 0 1 0 & 0 1 0 0 \\ \cline{3-4}
            &       & 1 & 1 0 1 &         &         \\ \hline
  $ S_{5} $ & 1 0 1 & - & 0 0 0 & 0 0 1 0 & 0 0 1 1 \\ \hline
  $ S_{6} $ & 1 1 0 & 0 & 0 0 1 & 0 0 0 0 & 0 0 0 0 \\ \cline{3-4}
            &       & 1 & 0 1 1 &         &         \\ \hline
  $ S_{7} $ & 1 1 1 & 0 & 1 0 0 & 0 0 0 0 & 0 0 0 0 \\ \cline{3-4}
            &       & 1 & 0 0 0 &         &         \\ \hline

  \hline 
 \end{tabular}\end{center}
\end{table}

 \subsection{論理式}
表1の真理値表より、出力が”1”になる条件に着目し、以下の論理式を導いた。
\begin{eqnarray}
\[fa &=& \bar{s}\bar{a}\bar{b}c + s\bar{a}bc + \bar{s}\bar{a}bc + 
\bar{s}a\bar{b}\bar{c} + sa\bar{b}\bar{c} + \bar{s}abc\]\\
\[fb &=& \bar{s}\bar{a}\bar{b}c + s\bar{a}\bar{b}c + s\bar{a}b\bar{c} + 
\bar{s}\bar{a}b\bar{c} + \bar{s}a\bar{b}\bar{c} + sab\bar{c}\]\\
\[fc &=& \bar{s}\bar{a}\bar{b}\bar{c} + s\bar{a}\bar{b}\bar{c} + \bar{s}\bar{a}b\bar{c} 
+ s\bar{a}b\bar{c} + \bar{s}a\bar{b}\bar{c} + sa\bar{b}\bar{c} + \bar{s}ab\bar{c} + 
sab\bar{c}\] \\ \nonumber\\ 
\[B &=& \bar{a}\bar{b}\bar{c}\]\\
\[Y &=& \bar{a}\bar{b}c\]\\
\[R &=& \bar{a}b\bar{c} + \bar{a}bc + a\bar{b}\bar{c} + a\bar{b}c\]\\ 
\[W &=& \bar{a}b\bar{c}\]\\ \nonumber\\
\[b &=& \bar{a}bc\]\\
\[y &=& a\bar{b}\bar{c}\]\\
\[r &=& \bar{a}\bar{b}\bar{c} + \bar{a}\bar{b}c + \bar{a}b\bar{c} + a\bar{b}c\]\\
\[w &=& a\bar{b}c\]
\end{eqnarray}\\
ここで、簡単化可能な論理式に対して、ブール代数およびカルノー図を用いて簡単化した。
その過程を以下に示した。

\begin{enumerate}
\item faの簡単化\\
faの簡単化に用いたカルノー図を図3に示した。\\
図3より、faの論理式は次式のようになる。
\begin{eqnarray}
\[fa &=& a\bar{b}\bar{c} + \bar{a}bc + \bar{s}\bar{a}c + \bar{s}bc \nonumber\\
     &=& a\bar{b}\bar{c} + \bar{s}\bar{a}c + (\bar{s}+\bar{a})bc\]\end{eqnarray}
\begin{figure}[!h]
   \begin{center}
   \includegraphics[scale=0.5,angle=0]{kal_fa.eps}
   \caption{faのカルノー図}
   \end{center}
\end{figure}

\item fbの簡単化\\
fbの簡単化に用いたカルノー図を図4に示した。\\
図4より、fbの論理式は次式のようになる。
\begin{eqnarray}
\[fb &=& \bar{s}a\bar{b}\bar{c} + \bar{a}\bar{b}c + sb\bar{c} + \bar{a}b\bar{c} \nonumber\\
     &=& \bar{a}\bar{b}c + \bar{a}b\bar{c} + (\bar{s}a\bar{b}+sb)\bar{c}\]\end{eqnarray}

\begin{figure}[!h]
   \begin{center}
   \includegraphics[scale=0.5,angle=0]{kal_fb.eps}
   \caption{fbのカルノー図}
   \end{center}
\end{figure}

\item fcの簡単化\\
fcの簡単化に用いたカルノー図を図5に示した。\\
図5より、fcの論理式は次式のようになる。
\begin{eqnarray}
\[fc &=& \bar{c}\]\end{eqnarray}

\begin{figure}[!h]
   \begin{center}
   \includegraphics[scale=0.5,angle=0]{kal_fc.eps}
   \caption{fcのカルノー図}
   \end{center}
\end{figure}

\item Rの簡単化\\
ブール代数の諸定理により、簡単化をした。
\begin{eqnarray}
\[R &=& \bar{a}b\bar{c} + \bar{a}bc + a\bar{b}\bar{c} + a\bar{b}c \nonumber\\
    &=& \bar{a}b(\bar{c}+c) + a\bar{b}(\bar{c}+c)\nonumber\\
    &=& \bar{a}b + a\bar{b}\] \end{eqnarray}\\

\item rの簡単化\\
ブール代数の諸定理により、簡単化をした。
\begin{eqnarray}
\[r &=& \bar{a}\bar{b}\bar{c} + \bar{a}\bar{b}c + \bar{a}b\bar{c} + a\bar{b}c \nonumber\\
    &=& \bar{a}\bar{c}(\bar{b}+b) + \bar{b}c(\bar{a}+a) \nonumber\\
    &=& \bar{a}\bar{c} + \bar{b}c\]
\end{eqnarray}
\end{enumerate}

以上より、最終的な論理式は次のように示された。
\begin{eqnarray}
\[fa &=& a\bar{b}\bar{c} + \bar{s}\bar{a}c + (\bar{s}+\bar{a})bc\]\\
\[fb &=& \bar{a}\bar{b}c + \bar{a}b\bar{c} + (\bar{s}a\bar{b}+sb)\bar{c}\]\\
\[fc &=& \overline{c}\] \\ \nonumber\\ 
\[B &=& \bar{a}\bar{b}\bar{c}\]\\
\[Y &=& \bar{a}\bar{b}c\]\\
\[R &=& \bar{a}b + a\bar{b}\] \\ 
\[W &=& \bar{a}b\bar{c}\]\\ \nonumber\\
\[b &=& \bar{a}bc\]\\
\[y &=& a\bar{b}\bar{c}\]\\
\[r &=& \bar{a}\bar{c} + \bar{b}c\]\\
\[w &=& a\bar{b}c\]
\end{eqnarray}

  \subsection{回路図}
3.4の論理式をもとに、回路図を作成した。図6に回路図を示した。

  \subsection{実体配線図}
3.5の回路図(図6)をもとに、実体配線図を作成した。図7に実体配線図を示した。\\
 ここで、用いたIC、素子を表2にあげる。なお、ICは全て74LSシリーズでTTLの代表的な
物を用いた。

\begin{table}[!h]
\begin{center}
  \caption{IC、素子}
  \begin{tabular}{|c||c|c|}
\hline 
 名称 & 種類 & 個数 \\ \hline
 IC & 7408 &  2    \\ \cline{2-3}
      & 7411 &  4    \\ \cline{2-3}
      & 7432 &  2    \\ \cline{2-3}
      & 7404 &  1   \\ \cline{2-3}
      & 7474 & 2   \\ \cline{2-3}
      &74279 & 1\\ \cline{2-3}
     & 7405 & 2\\ \hline
LED&青色& 2   \\ \cline{2-3}
   &黄色& 2   \\ \cline{2-3}
   &赤色& 2   \\ \cline{2-3}
   &白色& 2   \\ \hline
スイッチ&クロック用&  1   \\ \cline{2-3}
    &リセット用&  1   \\ \cline{2-3}
    &切り替え用&  1   \\ \hline
抵抗 & 1kΩ &  2   \\ \cline{2-3}
 & 560Ω &  11  \\ \hline 
 \end{tabular}\end{center}
\end{table}

\section{製作}
実体配線図(図7)をもとに、ブレッドボード(試作回路基板)上で、IC、LED、スイッチ、
抵抗を導線でつなぎ、論理回路を製作した。なお、使用器具として、ニッパー、ラジオペンチ、
ワイヤーストリッパー、ピンセットを用いた。
 \section{テスト結果}
テストを行ったところ、仕様通りに動作した。

 \section{考察}
製作した回路は正常に動いた。しかし、回路をより簡単にできる点があると考えられる。
それは、ICの配置である。今回の実体配線図は、今考えられる範囲で最も良い配置をしたつもり
だが、導線などを考えると、まだより良い配置があると考えられる。その他に、
今回用いなかったEORゲートの使用である。論理式(22)を見れば、EORゲートの使用は
可能であった。これを用いれば、容易になったと考えられる。\\
 また、回路についてことではないが、製作した信号機をより現実的にするために、
矢印信号から赤信号になる状態において、黄信号の状態をその状態の間に加えることなどが
考えられる。

 \section{考察課題}
\begin{enumerate}
\item 組み合わせ回路とは何か?\\
 入力$X_{1},X_{2},…,X_{l}$が論理変数で、出力$Z_{1},Z_{2},…,Z_{m}$が論理関数で
表されるとき、この回路を論理回路という。このとき、出力が入力だけの論理関数で
あるとき、すなわち、\\
 $Z_{i} = f_{i}(X_{1},X_{2},…,Z_{n})  (i=1,2,…,n)$\\
と表されるとき、この回路を組み合わせ回路という。 [1]
\item 同期式順序回路とは何か? \\
 順序回路は組み合わせ回路と遅延回路からなり、組み合わせ回路の出力を遅延回路を経て、
その入力をフィードバックさせた回路である。このような順序回路は。制御の方法により、
同期式と非同期式に分類される。外部から動作時刻を既定する基準信号を与え、この信号で
順序回路を動作させる回路を同期式順序回路という。[2]
\item 同期式順序回路と非同期式順序回路との相違点と対照して説明せよ。\\
 順序回路では、組み合わせ回路の出力と遅延回路を経てフィードバックされた信号が、
確定する前に次の入力が加わると動作が不安定になってしまう。よって、次の入力を
加える時刻の制御が必要になる。この制御の方法により、(2)の同期式と非同期式に分類される。
非同期式は、入力が加わると直ちに状態と出力が確定し、それを入力側に知らせるものである。\\
 したがって、同期式は基準となる時刻信号により動作するので、回路構成は簡単になるが、速度的には不利である。一方、非同期式は、各回路が独に動作するので、回路構成は難しくなるが、
動作速度を早くすることができる利点を持っている。[2]
\item CMOSの2入力および多入力のNANDゲートの回路構造を示し、その動作を説明せよ。\\
 図8に2入力のCMOS NANDゲート回路を示します。NANDゲートでは、
Nchトランジスタが直列に、Pchトランジスタが並列に接続されています。
したがって、入力がともに”H”($V_{DD}$の電位)になったときのみ、出力が”L”
(GNDの電位)となります。そして、入力のどちらか一方でも”L”になっていると、
NchトランジスタはOFFとなるので、出力には”H”が出てきます。\\
 多入力のCMOS NANDゲート回路を図9に示します。動作は、2入力と同様です。[3]
\end{enumerate}
\begin{figure}[!h]
   \begin{center}
   \includegraphics[scale=0.5,angle=0]{2cmos.eps}
   \caption{2入力のCMOS NANDゲート回路}
   \end{center}
  \end{figure}

\begin{figure}[!h]
   \begin{center}
   \includegraphics[scale=0.5,angle=0]{ncmos.eps}
   \caption{多入力のCMOS NANDゲート回路}
   \end{center}
  \end{figure}

 \section{参考文献}
\begin{enumerate}
\item 尾崎弘、谷口慶治、浅田勝彦、川端信賢\\
「例題演習電子回路ディジタル編」、40・41ページ\\
(共立出版、1996年12月20日初版)
\item 村上国男、石川勉\\
「論理回路入門」、89〜93ページ\\
(共立出版、1996年9月25日初版)
\item 蒲生良治\\
「トランジスタ技術 SPECIAL NO.4」\\7・8ページ
(CQ出版、1995年8月1日13版)
\end{enumerate}

 \section{感想}
最初は、全く意味が分からなくて面白くなかったですけど、進むにつれて、何となく
意味が分かってきて面白く感じました。回路を作るのも、最初はいやでしたが、やっていくうちに
楽しくなりました。\\
 しかし、「じゃあ、もう1回作る?」と言われたら、「絶対いやです」と答えます。

\end{document}

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