7年間の空白を・・・<Chapter11>

 

 今日は学校は休みだった。クラブも無い。
 1月15日成人の日。
 今日はゆっくりと眠ることにした。

 夢を見た。
 昔の夢。
 祐一との記憶………
 最後にあるのはいつも七年前のあの雪の日のこと……
 駅のベンチでうつむいたままの祐一がそこにいる。
 あのとき祐一が落ち込んでいた理由は知らない……
 きっと悲しいことがあったんだ……
「…やっと見つけた」
「…家に帰ってなかったから…ずっと捜してたんだよ…」
この日わたしにはどうしても伝えたいことがあった。
「…見せたい物があったから…」
「…ずっと…捜してたんだよ…」
「ほら…これって、雪うさぎって言うんだよ…」
「わたしが作ったんだよ…」
「わたし、ヘタだから、時間がかかっちゃったけど…」
「一生懸命作ったんだよ」
「……」
「…あのね…祐一…」
「…これ…受け取ってもらえるかな…?」
「明日から、またしばらく会えなくなっちゃうけど…」
「でも、春になって、夏が来て…」
「秋が訪れて…またこの街に雪が降り始めたとき…」
「また、会いに来てくれるよね?」
「こんな物しか用意できなかったけど…」
「わたしから、祐一へのプレゼントだよ…」
「…受け取ってもらえるかな…」
「……」
「わたし…ずっと言えなかったけど…」
「祐一のこと…」
「ずっと…」
「好きだったよ」
 その瞬間、わたしの差し出した雪うさぎは地面に叩きつけられていた。
「…祐一…?」
 祐一が叩き落したのだ。
「……」
 目が取れて、耳が潰れたうさぎ……
 それが何を意味するか……
「…祐一…雪…嫌いなんだよね…」
 違う…嫌いなのは…わたしだ。
 わたしは雪うさぎだった雪のかけらを拾い集める。
 この雪うさぎは…わたしだ……
 わたしの想いだ。
「…ごめんね…わたしが、悪いんだよね…」
 祐一はわたしのこと嫌いだったんだ……
 それなのにわたしは……
「…ごめんね、祐一…」
 そう言って祐一を見上げると……
「!」
 そこにいたのは七年前の祐一じゃなくて……
 今の祐一だった。

「はぁ……はぁ………はぁ…………」
 いつもは寝覚めが悪いのに……
 はっきりと目が覚めていた。
 汗をぐっしょりとかいている……
「ゆう……い…ち………」
 夢…だよね?
 今のは……
 祐一は…今でもわたしが嫌いなのかな?
 もう一度告白しても……
 受け入れてくれないのかな?
 七年前のこと思い出してくれても……
 受け入れてくれないのかな……
 祐一はあの頃と変わっていない……
 でも、変わったところもある……
 わたしを受け入れてくれないのは……
 今も同じ?
 それとも……

怖くなった……
 着替える事も忘れて部屋を出てリビングに降りていく。
「あら、名雪、起きたのね」
 お母さんが昼ご飯の片づけをしていた。
「お母さん、祐一は?」
「さっきまで起きてたけど…部屋でまた寝てるみたいよ……」
「そう……」
 不安だった……
 ここに祐一がいないことが……
 あれが夢でしかないことを証明してくれる祐一がいないことが……

 お母さんと買い物に行って帰ってみると、祐一がテレビを見ていた。
「あれ? 祐一ここに居たの?」
 今日はじめて祐一の顔を見た。
 それだけで安心できた……
「今日は祐一の大好きなカレーライスだよ」
 ああ…わたしって……祐一がいないと駄目なんだろうな……
 わたしが今の祐一を好きかどうか……
 最近あやふやになってきている……
 でも、これだけは確かだった。
 
                     to be continued...
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 どうでしたでしょうか?
 1月15日は名雪の登場シーンが少ないのでどうしようかと思ったんだけど……
 なんとかしました。
 では、ばーははーい!

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