7年間の空白を・・・<Chapter8>
昨日の遅くに祐一とあの子がどたばたしてたからよく眠れなかった……
祐一とあの子……
喧嘩してるようで…
じゃれあってるだけみたいで……
楽しそうだなって……
そう思ったら眠れなくて………
今朝は不思議なことが多かった……
何時の間にか朝ご飯を食べていた……
そして……
「けろぴーは食卓で食事中だ」
「え?…って、どうしてどのぬいぐるみがなくなったか知ってるの?」
「それに、けろぴーって名前まで…」
「今度説明してやるから、今はとにかく急ぐぞ!」
「けろぴー…」
どうして祐一がけろぴーのこと知ってたんだろう……
けろぴーがどうして食事中なんだろう……
わけがわからなかった。
外に飛び出して、すぐに残り時間の確認をする。
「走らないとダメだね」
「やっぱりか…」
「それも、一生懸命走らないとダメかも」
「マジか…?」
「多分」
「……」
「……」
一瞬顔を見合わせて、そして走り出す。
ごめんね…祐一。
「名雪、もう少し早く起きられないか?」
「ずっと、努力はしてるんだけど…何かいい方法ないかな?」
目覚し時計また増やさないと駄目かなぁ……
「そうだな…」
「だったら、教室に泊まるっていうのはどうだ?」
「嫌だよ…お腹すくもん」
「遅刻しないためだ、それくらい我慢しろ」
やっぱり嫌だよ……
だって……
「それに、祐一と一緒に学校行けなくなるのも嫌だよ」
「……」
「祐一、一緒に泊まってくれる?」
「馬鹿なこと言ってないで、さっさと行くぞ!」
あ、祐一照れてる……
「わ。待ってよ、祐一」
ごめんね祐一……
我儘だけど……
一緒に学校行きたいんだよ……
だから、祐一に迷惑かけないように……
もう少し頑張ってみるね……
「祐一、昼休みだよ」
「なにぃっ! そうなのかっ!」
「…どうしたの?」
「いや、いつも素で返してたから、たまには大げさに驚いてみようと思っただけだ」
祐一って昔から変なこと気にするね……
「平和ね…」
「悪かったな、平和で」
「香里も、昼はどうするの?」
「学食…かな」
「北川君は?」
「俺はいつも学食だ」
「威張って言うようなことじゃないと思うけど…」
「祐一は?」
「俺も学食でいいや」
「うんっ。決まり」
「結局、いつものメンバーね…」
あ、香里嬉しそう……
北川君がいるからかな?
「なんか、不満そうだなぁ」
「そんなことないよ。あれは嬉しいときの顔だよ」
「そうなのか…」
香里は照れ屋だから……
でもね、わたしも嬉しいんだよ……
祐一と一緒だから……
「…大盛況ね」
「たくさんだね」
食堂は人でいっぱいだった。
「これは、ここで食うのは諦めた方がいいな」
「蹴散らしたらテーブルのひとつくらい空くだろ」
「蹴散らさないの」
「仕方ないわね…パンでも買って教室に戻りましょうか」
「それしかないな」
「Aランチ…」
イチゴのデザート……
「買ってから教室で食ったらどうだ?」
「そんな恥ずかしい人いないよ」
「それもそうか」
みんな好きなものを買って集まってる……
わたしは…
「待って、わたしまだ買ってないよ…」
「じゃあ、全員そろったところで教室に戻るか」
「わたし、まだ…」
「なんだ、名雪。ダイエットか?」
「並んでたんだけど、違う列だったの…」
また迷惑かけちゃうよ……
「悪いけど、先に教室に帰ってるぞ」
え? 祐一行っちゃうの……?
でも…待っててって言うのは我儘だよね。
「いいわ、あたしが待っててあげるから」
「オレも別に急いでないからな」
「ごめんね、ふたりとも」
「まったくだ」
祐一は、呆れてる……
「祐一も待っててくれるの?」
「いや、俺は先に戻る」
「…うん」
祐一にも…待ってて欲しいんだけど……
駄目だよね……
「食べずに待っててやるから」
あ……
「ごめんね、祐一」
でも……
やっぱり祐一は優しいね……
ありがとう……祐一……
「祐一、放課後だよ」
「なにぃっ! そうなのかっ!」
「驚きかたが大げさだよ、祐一」
「冗談だ」
「それで、祐一、今日はどうするの?」
「名雪はどうなんだ?」
「わたしはいつも通りだよ」
「なんだ、また部活か?」
「うん。明後日はお休みだけどね」
祐一と一緒に帰れるんだよ……
本当は毎日一緒に帰りたいって思う。
「大変だな、本当に」
「うん…でも、好きで始めたことだから」
「それで、祐一は?」
「そうだな、俺は…どうせ暇だから、商店街にでも寄って帰る」
「祐一も、部活入ったらいいのに」
「部活か…」
「そう言えば祐一、部活考えてもいいって言ったよね?」
「なに! 誰がそんなことを言ったんだ!」
「間違いなく祐一だよ」
「そういや、言ったような気もするな…」
「あれって、本気だよね?」
「たぶん、本気だと思う…」
「だったら、今度部活を案内するよ」
「でも、まだ入ると決めたわけじゃないぞ」
「見学だけでも大丈夫だよ」
「そりゃ、見るくらいならいいけど…」
「きっと祐一にぴったりの部活が見つかるよ」
「あんまり期待しないことにするよ」
祐一が陸上部に入ってくれたらな
……って考えてしまう………
決めるのは祐一なのにね……
「じゃあ、そろそろ帰るか」
「うん」
「部活がんばれよ」
「祐一も、道に迷わないでね」
「そうだな…」
祐一は苦笑して、帰っていった。
さあ、陸上部に行かないと……
あのね…祐一……
わたしが陸上部に入ったのは……
何も出来ない自分が嫌だったから……
そんなんじゃ……
祐一に好きになってもらえないって……
そう思ったから……
さあ、頑張らないと……
ちょっと今日は気合を入れて……
「アップ、5000メートルいくよ〜」
『え!?』
部員のみんなはびっくりしてた……
走り終わって……
やりすぎたかなって……
ちょっと後悔した……
to be continued...