祐一は誰のもの? VOL.1
注)1 ネタばれはないです。
2 時間的に栞ハッピーエンド後になっています。
3 姉、暴走してます(爆)
〜お昼休み〜
香里「栞、突然で悪いんだけど」
栞 「えっ?何?お姉ちゃん」
名雪「香里が突然の話?どうしたの?」
しばし躊躇する香里、そしてひとこと
「相沢君私にくれない?」
そのとき、教室の中の時間が止まった・・・・
栞「・・・・・・お姉ちゃん、うそでしょ?」
名雪「香里も冗談言うんだね〜」
相変わらずボケる名雪、そして追い打ち
香里「私は本気よ。栞、相沢君私にちょうだいね ?」
栞「・・・・そんなこと言う人、嫌いです」
かなり本気で怒っている栞
名雪「あはは・・・・」
本気らしいと悟った名雪はあっちの世界へ・・
香里「嫌われようとかまわないわ。栞から相沢君を奪えれば・・・」
祐一「おいおい、俺はいつの間に美坂のものになったんだ?俺の立場は?」
香里「相沢君、私のこと嫌いかしら?」
祐一「いや・・嫌いではないけど」
香里「じゃあ問題ないわ、あなたを私のものにしてみせる」
祐一「どうやって?おれは・・」
香里「ふうん・・・あなた一週間前に私にしたこと覚えてないの?」
少々妖しげに笑う香里・・・怖い・・
祐一「なんだよそれ」
香里「責任はちゃんととってよね・・」
栞 「・・・・どういうことですか?祐一さん」
・・本気で怒っている栞、声に凄みが出てきている
祐一「どういうことだ?美坂姉?」
本当にわからないので、香里に訪ねる祐一
香里「はっきり言った方がいいかしら?」
祐一「はっきりと言われても・・美坂に対して取らなきゃいけない責任なんてないぞ?」
シラを切っていると言うわけではなく本当に知らないらしい
香里「・・・私を押し倒して・・・・」
少しほほを赤らめて言う
栞 「(ヒク)・・・・」
顔を引きつらせる栞、そろそろ限界のようだ
香里「さらには胸まで・・・・」
祐一「そっそんなことして・・・」
否定しようとするが・・・
栞 「祐一さん・・・・嫌いになりますよ?」
表情は笑っているが、目は逝ってしまっている栞。香里の言うことを信じているらしい
祐一「だから・・」
そんなことはなかったと言おうとしたとき、
香里「とまあ冗談はここまでにしておきましょうか・・・」
一瞬、静寂があたりを支配する
栞 「・・・お姉ちゃん、冗談だったんですか?」
さっきよりは落ち着いたものの、今度は別の怒りが栞の中でわいてくる
祐一「はあ・・・」
かなり動揺したらしい、祐一はぐったりしている。
香里「でも、相沢君は貰うわよ?これは本当に本気よ」
栞 「お姉ちゃん・・・嫌いになりますよ?」
名雪「・・・・・・・はっ」
と、ここでこちらの世界に帰ってきた名雪、もっと前に言っていなければならないことをを今になって言う・・
名雪「香里!本気なの?栞ちゃんの彼氏なんだよ?それにもう済ませちゃってるみたいだし・・・」
・・・名雪のボケはお約束?
栞、祐一は「気付かれてた!?」と心の中で叫ぶ
香里「もう以前の栞じゃないし、そう気にかけなくても良くなったからね、自分に正直になっても良い頃かなと思ってね。
・・・確かに済ませちゃってるみたいだけど、まだできてないから問題ないわよ」
栞 「だからって、私の・・・」
香里「好きになったものはしかたないでしょう?気持ちを抑えて生きていけとでも言うの?
そんな生き方もうこりごりなのよ・・・」
これを聞いて3人は黙ってしまう
確かに、栞が大病を患っているときの香里は一生懸命自分を抑えていたが・・・
栞は少し考えて
栞 「・・・・祐一さん次第ですね・・・・祐一さん、返事をしてあげて下さい」
祐一「ん〜っと・・・」
どうにか断る言葉を考えているようであるのだが・・
香里「断られても絶対あきらめないわよ・・」
しっかりとした声で呟く香里。断っても無駄なようである。
栞・祐一「どうして・・」
無駄と知りつつも聞く2人
香里「だから言ったじゃない、好きになったものは仕方ないって、
それに相沢君のことが好きなのは私だけじゃないし・・・
その子だって本気になったら私と同じようにすると思うわよ?」
と言いながら視線を名雪に向ける。
栞 「その人って、誰?」
やはり聞きたくなるのだろう”彼女”としては。
祐一「冗談、そんな奇特なやつが他にいるわけ・・」
と否定するが、
名雪「ここにいるよ・・・・・・」
しばらく会話に参加していなかった名雪が小さな声で祐一の言を否定する。
栞 「!!」
祐一「名雪・・・・おまえ・・・」
思わぬ伏兵がいることを知り驚愕する栞。開いた口をふさごうとせず名雪を見る祐一。
「にやり」という形容が似合う表情で2人を見る香里がさらりと、
香里「ほらね?いたでしょう?さあて、三つどもえかな?」
という。それを聞いて名雪が小声で言う。
名雪「いいよ私は・・・祐一にもう彼女できちゃってるし・・」
あきらめと、少しの希望が混ざった声で。
しかしその少しの希望を感じ取り
香里「ふうん・・でも気になってるんでしょ?あきらめられないんでしょう?」
つっこむ香里。びくりとしてそのまま固まる名雪。そして更に・・
香里「相沢君と以前と同じようにしているのはあきらめられない証拠じゃないの?」
名雪「・・・そうかも・・・・しれない」
小さく・・申し訳なさそうにつぶやく
栞 「水瀬さんをたきつけないで下さい!」
祐一「そっそうだぞ!、美坂姉」
この状況にうろたえた2人がそろってなんとか名雪を抑えようとする。
・・・・が
香里「祐一、私のこと”香里”ってよんでね?」
香里がそれをぶちこわしにして話を逸らす
栞 「お姉ちゃん・・・・・本当に嫌いになりますよ」
姉を睨んで言う。うろたえる祐一、声が出ないらしい
香里「冗談よ!まだそんな関係じゃないし・・」
そういって顔を赤らめる。そんな関係になるつもりでいるらしい
名雪「・・・栞ちゃん・・・私も参加するね・・・」
これまた黙っていた名雪が言いづらそうに小さく、しかし決定的なことをいう。
栞 「・・・・・なにに参加するんですか?返答次第では私・・」
平静を装い静かに聞くが、頬のあたりの引きつりが以前より激しくなっている
名雪「祐一を・・」
栞 「・・・水瀬さんまで・・・祐一さん、私のこと捨てるなんてことしないですよね?」
ふたりに何を言っても無駄だと考え、祐一にすがる栞
祐一「当たり前だ」
胸を張って言う。
香里「・・・・・ふうん・・・・、でもそれもいつまで持つかしらね?」
名雪「祐一〜、私のこと捨てないでよ〜」
いつのまにかその気になっている名雪
祐一「俺は、栞一筋だ!!」
と本気で言うが・・・
香里「栞一筋ねぇ・・・私たちの可能性は無いわけ?」
名雪「うー、無いの?」
ふたりそろって祐一に迫る。
いつの間にか祐一の腰が浮いている。どうやら逃げ出したい衝動に駆られているようだ
栞 「ないです!祐一さんはわたしのことで手一杯なんです!だからふたりに
かまってる暇なんてないんです!!」
祐一に代わり栞が必死に抗弁する。
祐一「そうだ!そうだ!」
それを必死に肯定する。見てて情けないが・・・
香里「栞で手一杯なんてかわいそうね、わたしだったらそんなことにならないのに・・」
栞の発言にさりげなく皮肉で返す。
名雪「かまってもらってるよ!毎朝”やさしく”起こしてもらってるし・・・」
少し誤解を招くような表現をする名雪。
香里の名雪を見る目に一瞬すさまじい殺気が宿るがすぐに消える。
栞 「・・・・・!毎朝!?やさしく!?!?」
やはり想像してしまったのだろう、少し顔が青ざめる
祐一「名雪・・・うそをつくな」
対して、冷静に否定する・・・のだが
香里「いいなあ・・名雪、毎朝起こしてもらってるんだ。今度名雪の家へ泊まりにいこうかな?それで・・」
祐一「来るな・・・来ないでくれ」
栞 「そうです!」
香里「大丈夫よ、泊まりに行くのは”名雪”の家であって、”相沢君”の家じゃないから」
詭弁を弄するか・・・香里よ
名雪「いいよ〜泊まりにおいでよ、香里」
祐一「場所は同じところだ!」
香里「ところで、栞は何回くらい相沢君のところへ泊まりに行ったの?」
また話を逸らす。
栞 「そんなに頻繁には行ってません」
香里「・・・で?やっぱりあんなことやこんなことしてるんでしょ?」
栞 「そんなことしてません!」
祐一「あはは・・・・してないよ」
どうやらそういうことをあまりしていないらしい
名雪「ふうん・・・祐一たまってるんじゃない?」
平然と恐ろしいことをいう
祐一「なっ・・・そんなことわ」
・・・さりげなく動揺しているみたいだ
香里「あ〜あ、相沢君かわいそう・・我慢できなくなったらいつでも私のところに来てくれて良いわよ?」
「身も心もあなたに・・」と言う状態の香里・・・
栞 「・・以前のお姉ちゃんははどこへ行ったんでしょうか?」
ふと、栞が一言漏らす。
祐一「・・・本当にどこへ行ったんだ美坂・・・」
香里「??これが”私”よ?」
名雪「・・・・知らなかった、香里がこういうことにこんなに積極的だったなんて」
香里「あら?気付かなかったの?まあ表に出してなかったしね・・・」
さも当たり前のように言う
栞 「ううっ・・以前の優しいお姉ちゃんはどこへ・・・」
以前の姉とのギャップが本当に大きいらしく少々泣きながら、呟く
香里「何言ってるの、恋愛以外じゃ栞にやさしいでしょ?」
・・・・彼女がかなり狡猾に見えてしまうのは私だけなのだろうか?
栞 「どうせなら恋愛に関しても優しくして下さい・・」
悲壮感が漂っている栞
香里「私だってほしいものの一つや二つあるからね」
栞 「ほしいものの一つに祐一さんがあるんですか?」
香里「そう」
祐一は”もの”なんだろうか?
名雪「私だってほしいよ〜祐一」
・・・”もの”みたいですね
祐一「俺の心や立場は?」
香里「私のもの」
名雪「私が守ってあげるよ」
ふたりをあきらめさせるのは至難の業なのかもしれない
祐一「違う!俺の意志は尊重されないのか!?」
血を吐くように言う
栞 「そうです!ふたりがなんと言おうと祐一さんは私の恋人です!」
それでもあきらめさせようとがんばる栞
香里「だから奪うっていってるんじゃない」
名雪「いつまでも待ってるよ〜」
それを聞いて、無駄と思いつつも
祐一「はっきりいっておく、おまえらの好意は非常に嬉しいが、
俺には大事な栞がいるから他の人を見つけてくれ」
それを聞いて少し立ち直ったようで
栞 「・・だそうですよ?」
落ち着いた声で言う
香里「いくらでも待つわよ、相沢君が私のところに来るまで」
祐一を手に入れるため、あらゆる手段を講じそうな香里・・・
名雪「私はずっとついてまわるね〜」
ストーカー名雪誕生か?
そして・・・・
栞 「お願いですからやめて下さい!」
祐一「頼むからやめてくれ!」
ふたりの必死の叫びが昼の教室に響く・・・
祐一は誰のもの? VOL.2に続く(予定)
〜あとがき〜
はじめのうちは、香里と祐一の話がいいな〜と思いつつ書きだした
のですが・・・・気がついたら姉さん暴走、名雪つられて爆走、
そして、栞と祐一は号泣してました(^^;;
一応続きを書く予定ですが、どういう話になるか検討ついてません(;;)
よろしければ次も読んで下さい(´¬`)ノ
では!!
時の孤児 拝