祐一は誰のもの? VOL.7

 

  注)1 ネタばれはないです。
    2 時間的に栞ハッピーエンド後になっているはずです(^^;;
    3 キャラのイメージを壊したくない人は読まないことをお薦めします(ォ


お風呂から出てパジャマ姿になった祐一はリビングにいた。
一緒に入っていた栞はゆっくりしたいらしくまだ出てきていない。
冷蔵庫を開け、牛乳を取り出しコップへ注ぐ。そして、
「うぐうぐうぐ……」
と喉をならしながら飲む。当然空いた方の手は腰につける。

一杯目を飲み終えて、二杯目を飲もうとしていると、
秋子「あら?お風呂は今、誰が入ってるんですか?」
自分の部屋にでも居たのであろう秋子さんが来た。
祐一「今は栞がはいってます」
秋子「そうですか、じゃあ香里さんか名雪に次に入るように言っておいてくれませんか?」
どうやら秋子さんは一番最後に入るらしい。
祐一「わかりました、言っておきます。たぶん香里が入ると思いますけど……」
秋子「??」
祐一の二言目が気になったらしい。
祐一「いえ、独り言ですから気にしないでください。オレはもう上がりますね」
秋子「はい、おやすみなさい祐一さん」
祐一「おやすみなさい」
牛乳を冷蔵庫に直し階段を上がってゆく祐一。
それを見送った秋子さんがささやく……
秋子「祐一さん……明日は寝不足ですね……」
その表情はとても楽しげだった……

二階へ上がった祐一は…

コンコン…
名雪の部屋をノックし、声を掛けようとする。
祐一「なゆ……」

  名雪「親友を殴るなんて最低だよ〜」
  香里「親友だと思ってくれてるなら、相沢くんを私に譲りなさい」
  名雪「香里こそ、親友なんだから祐一をあきらめてよ」
  香里「いやよ…どんな手段を使ってでも手に入れるわ」
  名雪「例えば?」
  香里「一番確実なのは、子供を作っちゃうのがいいわね」
  名雪「ふうん……他には?」
  香里「ライバルを消す、相沢くんを洗脳、相沢くんの弱みを握る」
  名雪「………」
  香里「ライバルの弱みを握ってあきらめてもらうのも悪くないわね」
  名雪「実行するの?」
  香里「子供を身ごもるのは別として、それ以外はしないわ」
  名雪「どうして?」
  香里「してしまったら相沢くんと一緒にいられなくなるから」
  名雪「なんで?」
  香里「わからない?」

目を覚ましたらしい名雪と香里が言い合っている。その会話を立ち聞きしてしまう祐一。

とんとんとんとん……
名雪の部屋の前で部屋の中の会話を聞いていた祐一の耳に階段を登る音が聞こえてきて、あわてて自分の部屋へ入る祐一。廊下から聞こえてくる声、
栞 「お姉ちゃん、名雪さん、どちらか先にお風呂に入って頂けませんか?」
それを聞いてベッドに横たわる祐一、ため息を一つつく……

そして、名雪と香里がお風呂に入り終わり……

各々布団に入る時間になった……

名雪の部屋には名雪、香里、栞の3人が眠っている。
香里も栞も空き部屋で寝たらどうかと言う秋子さんや祐一の勧めを断り、結局、名雪の部屋に3人で寝ることになったのである。
ベッドに名雪、床に敷いた2枚の布団に香里、栞が寝ている。

………正確には3人とも眠った振りをしているのであるが……そして、その思考はただ一つのことに全力を注いでいた、

 「如何にして祐一の部屋に自分だけで行くか」

闇の世界で無言の戦いが始まる。

  名雪「………(一番ドア側の布団で寝れば良かった)」
  栞 「……………(ふふっ…とりあえずは自家製睡眠薬ですね…)」
  香里「……(名雪は疲れさせることが出来れば…)」

無数の時計の時間を刻む音だけが聞こえてくる。

  栞 「…………(2人ともまだ警戒してますね)」
  香里「………(栞だけになれば直接攻撃で……)」
  名雪「……………(2体召喚は疲れるからやりたくないし…)」

時計はひたすら時間を刻むのみ……
そうこうしているうちに、不意に栞が立ち上がる!
ずっと警戒していた香里と名雪はそれに反応して立ち上がろうとした瞬間、

”ざっ!!”

名雪・香里「なっ!?」

部屋に何か粉状のものが広がる……それを吸い込んでしまう名雪と香里。

名雪「くちゅん!…なに…くちゅん!!…これ……くちゅん!!」
香里「こほ!こほこほ…こほ…」
布団とベッドにうずくまる2人。

栞 「ふふっ……やりました……」
にやりと笑う。

名雪「栞…ちゃん…これ…は」
香里「……催…眠薬?」
せき込みながら、栞に聞く。

栞 「美坂栞特製睡眠薬……です。ちなみに通常の睡眠薬の5倍ほどの効力を持っています」
名雪「ううっ……意識が…」
香里「くっ…こんな程度でやられてたまりますか!」
早くも睡眠状態に入ろうとしている名雪。なんとか意識を保っている香里。

栞 「ふふふっ…お2人ともぐっっっっすりお休み下さい…私は……」
名雪「う〜……あ〜……けろぴ〜だお〜〜」
香里「……ど…どうして…栞だけ……」

栞 「ひ・み・つ、です〜(にやり)」
右手の人差し指を立て、左右に軽く振りながら言う。

名雪「ゆういち〜子供は2人欲しいよ〜……」
香里「うっ……まぶたが重い…」
栞 「名雪さんは落ちましたね……あとは…お姉ちゃんだけです」
香里「ううっ……っく……」
名雪「う〜〜…いいよ…きて……」
栞 「名雪さん…何を考えておられるのでしょう…」
香里「負けられないっ…負けないっ…負けるかあああっっっ!!!!」
そう叫んで雄々しく立ち上がる香里。

栞 「やはり催眠薬だけではだめでしたか…さすがは私のお姉ちゃんです」
香里「なぜあなただけ大丈夫だったの?」
名雪「…あっ…ゆうい…ちそこっ…はちが…あんっ…う……」
栞 「……慣れ…です」
香里「あなた…慣れるほど薬をつくってたの?」
栞 「はい…おかげで大抵の薬は防げます」
香里「……健康に良くないわよ?」
栞 「そうでもな……」
反論しかけた栞。しかし、

名雪「…ゆういち…わっ…わたし、その…はじめて…だから…いたくしないで……」
香里「………………」
栞 「………」
名雪「……ゆっくりだよ……いたくしないで……あっ…」
香里「……………………」
栞 「…………………」
名雪「…んっ…もう……だいじょう…ぶ……いいよ……動いても」
香里「なんだかわからないけど…むかつくわね」
栞 「気分悪いです……」

  ぎゅ………ぐるぐる……

栞が名雪にさるぐつわをかませ、香里が体をロープで縛る。
そしてそのままベッドに転がしておく。
香里「静かになったわね」
栞 「そうですね」
そして…お互いにらみ合う。
栞 「次はお姉ちゃんです」
香里「一対一になっちゃったわね」
栞 「どうするつもりです?」
香里「ふふふっ」
含み笑いをする香里。栞からは見えないがその後ろ手に持っているものは……
小さな瓶。

香里「覚悟なさい……」
絶妙のタイミングで栞の目の前へ出る。
栞 「!?」
いきなり目の前に移動してきた姉に動揺する栞。
次の瞬間、
ごぽっ
栞の口に一本の瓶が押し込まれる。同時に香里の手が栞の鼻をふさぐ。
栞 「んぐっ…んんん〜〜」
暴れる栞。香里は瓶を栞の口に固定し空いた方の手で鼻をふさぎ続ける。
やがて息が切れた栞は空気と一緒に瓶の中のものも飲み込む。

栞 「っはっ……っは…おねえ…ちゃ…な…を……」
肩を上下させながら必死に声を出す。
香里「うふふふふふ……」
部屋を覆う闇よりもさらに昏いものが香里を包んでいる。
栞 「これは…なに……うっうう……」
そして……栞は名雪の次に倒れた……

香里「あら?さすがに栞でもだめだったのね…うふ……うふふふふ……。
さすがに言えないわよね〜秋子さんのジャムを飲めるようにするために
少しのお湯と混ぜておいたものだなんてね〜〜」

ぴくりとも動かない栞、巻かれてる名雪、そして1人勝ち誇る香里。


そして、部屋を出ていこうとする彼女は叫ぶ。

香里「ああっ…いとしのゆうちゃん…かおりんはあなたのためにがんばったわ!!まっててね!いまいくわぁん〜〜」


vol7 了

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 ついに来ました2000年……
 「祐一は誰のもの」シリーズ第7話お届けします。
 キャラがかなり壊れてきてますねえ…特に香里
 彼女は何処まで壊れるのでしょう(ォ
   >>すっかり忘れてたお返事
 以前TER様よりSS中に出てきた、

 「水瀬さんと美坂さんを相沢の魔の手から救い出そう」計画(by北川)

 これをSSにしてもらえないかとリクエストを頂きました。
 これに関しては、大変申し訳ありませんが今のところ書く予定は
 ありませんが、「祐一は…」シリーズ中でこの計画の一片をお見せ
 することが出来るかもしれないです。
   >岡野谷様 メール読ませていただきました。どうも有り難うございますm(__)m
 がんばって書いていきますので、これからもよろしくお願いします。

 この7話を楽しみにしてくださっていた方々、
 またHP管理者のaquaさんに感謝して…

             2000 1/6 (<-Makoto's Birthday)      時の孤児 拝

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