アメリカ合衆国憲法 邦訳

注 : アメリカでは、憲法修正は、憲法の本文の変更によってではなく、修正条項の追加によってなされている。太字下線部分は後に修正条項が追加された部分である。本文と修正条項をあわせて参照されたい。各項の末尾に該当する修正条項名を置く。

 

前 文

われら合衆国人民は、より完全な結合(Union)を形成し、正義を樹立し、国内の静穏を確保し、共同体の防衛に備え、一般的福祉を促進し、我らと我らの子孫に自由の恵沢を確保する目的をもって、アメリカ合衆国のため、ここにこの憲法を制定し確立する。

第1条

第1節

この憲法によって与えられる立法権は、すべて合衆国連邦議会に付与される。連邦議会は、上院及び下院によって構成される。

第2節

(1) 下院は、2年ごとに各州の人民によって選出された議員によって組織される。各州における選挙人は、州議会の議員数の最も多い部門の選挙人に必要な資格を有していなければならない。

(2) 何人も、25歳の年齢に達していて、7年間合衆国市民であり、そして選挙されたときに選出された州の住民でなければ、下院議員となることはできない。

(3) 下院議員及び直接税は、この連邦に加わる各州に、それぞれの人口に応じて配分される。その人口は、自由人の総数に、すべての他の人の5分の3を加えて算出する。ただし、自由人は一定期間服役している人を含むが、課税されていないインディアンを除く。実際の人口計算は、合衆国連邦議会の最初の開会の後3年以内に、そしてそれ以後は10年毎に、法律の定める方法で行われなければならない。下院議員の数は、3万人に1名の割合を超えてはならない。ただし、各州は、少なくとも1名の下院議員を有する。上述の人口計算がなされるまでは、ニュー・ハンプシャーは3名、マサチューセッツは8名、ロード・アイランドとプロヴァンス植民地は1名、コネチカットは5名、ニュー・ヨークは6名、ニュー・ジャージーは4名、ペンシルバニアは8名、デラウェアは1名、メリーランドは6名、ヴァージニアは10名、ノース・カロライナは5名、サウス・カロライナは5名、ジョージアは3名を選ぶことができる。 *修正14条第2節及び修正16条により修正

(4) 州からの代表に欠員が生じた場合には、その州の執行府は、欠員補充のために選挙の令状を発する。

(5) 下院は、その議長及び他の役員を選出する。弾劾の権限は下院に専属する。

第3節

(1) 合衆国上院は、各州から6年の任期でその州の議会によって選出された2名の上院議員によって構成される。各上院議員は、1票の投票権を有する。*修正17第1項により修正

(2) 最初の選挙の結果に基づいて集会したあと、上院議員は直ちに可能な限り等しい数で3つのクラスに分けられる。2年ごとに3分の1ずつが改選されるように、最初のクラスの上院議員は2年が経過したとき、2番目のクラスのは4年が経過したとき、そして3番目のクラスのは6年が経過したとき議席を失う。州の議会が休会中辞任その他の理由で欠員が生じた場合、その州の執行府は、次の議会が開会され欠員補充が行われるまでの間臨時に任命を行うことができる。修正17条第2項により修正

(3) 何人も、30歳の年齢に達していて、9年以上合衆国市民であり、選出時に選出された州の住民でなければ、上院議員となることはできない。

(4) 合衆国副大統領は、上院議長を務める。ただし、可否同数の場合を除いては、表決に加わらない。

(5) 上院は、議長以外の役員を選出する。また上院は、副大統領が不在の場合または合衆国大統領の職務を行う場合には、臨時議長を選出する。

(6) すべての弾劾裁判をする権限は、上院に専属する。弾劾裁判を行うために開会するには、宣誓または確約を行わなければならない。合衆国大統領が弾劾裁判される場合には、最高裁判所長官が議長を務める。そして何人も、出席議員の3分の2の同意がなければ有罪の判決を受けない。

(7) 弾劾の事件における判決は、解職及び合衆国のもとでの名誉、信任または報酬を伴う公職に就任し、在職する資格を剥奪すること以上に及ぶことはできない。ただし、有罪判決を受けた当事者が、なお法律に従って責任を問われ、起訴、裁判、判決及び処罰を受けることを妨げるものではない。

第4節

(1) 上院議員及び下院議員の選挙を行う時、場所及び方法は、各州において、その立法府によって規定されるものとする。ただし、連邦議会は、上院議員を選出する場所を除いて、法律でもっていつでもそれに関する規則を定め、それを変更することができる。

(2) 連邦議会は、毎年少なくとも1回は開会する。開会は、法律で別の日を定めない限り、12月の最初の月曜日とする。修正20条第2節により修正

第5節

(1) 各議院は、その議員の選挙、得票結果及び資格についての裁判官である。議事を行うための定足数は、各議院の議員の過半数である。ただし、それに満たない数の議員でも随時休会し、各議院が定める方法で、そして制裁をもって欠席議員の出席を強制することができる。

(2) 各議院は、その議事手続についての規則を定め、秩序を乱す行為をした議員に懲罰を科し、3分の2の同意があれば議員を除名することができる。

(3) 各議院は、議事録を作成する。議事録は、秘密を要するものと判断されたものを除いて、いつも公開されなければならない。各議院の賛否は、いかなる論点についてであれ、出席議員の5分の1の希望があれば議事録に記載されなければならない。

(4) いずれの議院も、連邦議会の会期中、他の議院の同意なくしては、3日を超えて休会し、あるいは両議院の開会中の場所とは異なる場所に議場を変えることはできない。

第6節

(1) 上院議員及び下院議員は、その職務に対し、法律によって定められるように、合衆国の国庫から支出された歳費を受ける。議員は、反逆罪、重罪、及び治安破壊罪の場合を除いて、いかなる場合にもそれぞれの議院の会議に出席中、出席及び退出の途中、逮捕されない特権を有する。また議員は、院内での発言または討議に対して、院外において責任を問われない。

(2) 上院議員及び下院議員は、その在任中、新たに設けられたり、あるいはその報酬がその期間中に増額された、合衆国の権限のもとのいかなる文官職にも任命されることはできない。合衆国のもとで職を有するものは、その在職中いずれの議院の議員となることもできない。

第7節

(1) 歳入を徴収するすべての法律案は、下院に先に提出されなければならない。ただし、他の法律案の場合と同様に、上院は修正案を提案し、修正を付して同意することができる。

(2) 下院及び上院を通過したすべての法律案は、法律となる前に、合衆国大統領に送付されなければならない。大統領は、それを承認する場合にはこれに署名をし、承認しない場合には、これを拒否理由を添えて法律案が先に提出された議院に差し戻す。その議院は、その拒否理由を議事録にそのまま記載し、再議に付すことができる。その再議の結果、その議院の3分の2の多数が法律案可決に合意すれば、法律案を拒否理由を添えて他の議院に回付する。回付を受けた議院が同様に再議の結果3分の2の多数で承認すれば、それは法律となる。ただし、すべてこれらの場合には、両議院の表決は、指名により賛成及び反対の票を投じることによって確定され、法律案に賛成する者及び反対する者の氏名がそれぞれの議院の議事録に記載されなければならない。法律案が大統領に送付された後10日(日曜日を除く)以内に差し戻されなかった場合には、法律案は、大統領がそれに署名した場合と同じように法律となる。ただし、差し戻しが連邦議会の休会のため妨げられた場合には、それは法律とはならない。

(3) 上院及び下院の合意が必要なすべての命令、決議、ないし表決(休会の問題を除く)は、合衆国大統領に送付されなければならず、そしてそれが発行する前に、大統領によって承認されなけれなならない。大統領が否認した場合には、法律案の場合に定められた規則と制限にしたがって、上院及び下院の3分の2の多数によって再可決されなければならない。

第8節

(1) 連邦議会は、次の権限を有する。合衆国の債務を支払い、共同の防衛及び一般的福祉のために支出する目的で、税、関税、賦課金及び消費税を課し徴収すること。ただし、すべての関税、賦課金及び消費税は、合衆国を通して均一でなければならない。

(2) 合衆国の信用に基づいて借入をすること。

(3) 外国との通商及び州際間の通商、及びインディアン部族との通商を規制すること。

(4) 合衆国を通して統一的な帰化の規制、統一的な破産の事項に関する法律を確立すること。

(5) 貨幣を鋳造し、その価値及び外国貨幣の価値を規律し、度量衡の標準を定めること。

(6) 合衆国の証券及び現行貨幣の偽造の処罰を定めること。

(7) 郵便局及び郵便道路を設立すること。

(8) 著作者及び発明者に対し、それぞれの著作及び発見に対する排他的な権利を一定期間保障することにより、科学及び有能な芸術の進歩を促進すること。

(9) 最高裁判所のもとに下級裁判所を創設すること。

(10) 公海上で犯された海賊及び重罪、そして国際法に対する犯罪を定め処罰すること。

(11) 戦争を宣言し、拿捕及び報復の特許状を発し、陸上及び海上の捕獲に関する規則を定めること。

(12) 陸軍を募り維持すること。ただし、そのための歳出は、2年を超える期間であってはならない。

(13) 海軍を設け維持すること。

(14) 陸海軍の統制及び規律のための規則を定めること。

(15) 連邦の法律を執行し、反乱を鎮圧し、侵入を鎮圧するため民兵の招請について定めること。

(16) 民兵の編制、装備及び規律について定め、その一部が合衆国の兵として用いられた場合にその部分の統制について定めること。ただし、将校の任命と連邦議会によって規定された規律に従って民兵を訓練する権限は、各州に留保される。

(17) 特定の州の割譲と連邦議会の受領により合衆国政府の所在地となる(10平方マイルを超えない)地区について、すべての事項について排他的に立法権を行使すること。及び要塞、弾薬庫、兵器庫、造船所その他の必要な建造物のために、その州の議会の同意によって購入されたすべての場所に対して、同様の権限を行使すること。

(18) 上述の諸権限及びこの憲法によって合衆国政府またはその部局もしくは職員に付与されたすべての他の権限を実施するのに必要かつ適切であるような法律を制定すること。

第9節

(1) 1808年までは、現に存在する州が入国を適当と認める人物の移民または輸入は、連邦議会によって禁止されてはならない。ただし、1人当り10ドルを超えなければ、輸入に対して租税ないし負担金を課すことはできる。

(2) 反乱または侵略の際に公共の安全のために必要な場合を除いて、人身保護令状の特権は停止されてはならない。

(3) 私権剥奪法または事後法は制定されてはならない。

(4) 人頭税または他の直接税は、先に憲法の中で行われるよう定められた人口調査または人口集計に比例してでなければ課すことはできない。修正16条により所得税について修正

(5) 州から輸出された物品に対してはいかなる租税も関税も課してはならない。

(6) 通商または歳入の規制によって、ある州の港に他州の港に対して優遇を与えてはならない。またある州行きの船舶またはある州からの船舶に対して、他州において入港し、出港許可を得ること、関税を支払うことを強制してはならない。

(7) 国庫から金銭を支出することは、法律による歳出の結果によらなければできない。すべての公金の収支の定期的な報告及び決算は、随時公表されなければならない。

(8) いかなる貴族の称号も合衆国によって授与されてはならない。そして合衆国のもとで報酬または信任を受ける公職についている者は、何人も、連邦議会の承認なしに、国王、王族、もしくは外国から、いかなる種類であれ贈与、報酬、官職ないし称号を受けてはならない。

第10節

(1) いかなる州も、条約、同盟、もしくは連合に加わること、拿捕及び報復の特許状を発し、貨幣を鋳造し、信用証券を発し、金銀以外の物を債務支払いの弁済となし、私権剥奪法、事後法、あるいは契約上の債権債務関係を侵害するような法律を制定し、貴族の称号を授与することはできない。

(2) いかなる州も、連邦議会の同意なくして、輸入品または輸出品に賦課金または関税を課すことはできない。ただし、みずからの検査法を執行するのに絶対必要である場合は除く。輸入品または輸出品に対し州が課した関税及び賦課金の純収入は、合衆国の国庫の用途に充当される。ここに述べたすべての州法は、連邦議会の修正と統制に服する。

(3) いかなる州も、連邦議会の同意なくして、トン税を課し、平時に軍隊または戦艦を持ち、他の州または外国の力と協定または規約を結び、現実に侵略されているときまたは猶予を許さないような急迫した危険がある場合を除いて、戦争行動を行ってはならない。

 

第2条

第1節

(1) 執行権は、アメリカ合衆国大統領に付与される。大統領の任期は4年とし、同じ任期で選出される副大統領と共に、次の方法で選出される。

(2) 各州は、その議会が定める方法にしたがって、その州が連邦議会に送ることができる上院議員及び下院議員の総数に等しい数の選出人を選任する。ただし、上院議員または下院議員、合衆国のもとで信任または報酬を受けている公職にある者は、選出人に選任されることはできない。

(3) 選出人は、各々の州で集会し、無記名投票により2名の者に、票を投じる。そのうち少なくとも1名は選出人と同じ州の住人であってはならない。選出人は、票を投じられたすべての者及びそれぞれの得票数のリストを作成し、署名し認証した上で、封印を施して上院議長に宛て、合衆国政府の所在地に送付する。上院議長は、上院及び下院の議員の出席のもとで、すべての認証を開封し、投票を数える。最大得票を得た者は、その数が選出された選出人の総数の過半数であれば、大統領となる。過半数を得た者が2名以上存在し、同得票数であれば、下院は直ちに投票によりそのうちの1名を大統領に選ぶ。過半数を得た者がいなかった場合には、リストの上で得票数の多い5名の内から、下院が同様の方法で大統領を選ぶ。ただし、大統領を選ぶ際には、投票は州を単位にして行われ、各州の議員団は1票を有する。この場合の定足数は、3分の2の州から1名以上の議員が出席していることであり、選出のためにはすべての州の過半数を要する。いずれの場合にも、大統領を選出したあと、選出人の最大得票数を得た者が副大統領となる。ただし、同得票数を得た人が2名以上いた場合は、上院がその中から投票によって副大統領を選出する。修正12条により修正

(4) 連邦議会は、選出人を選任する時期、選出人がその投票を行う日を決定することができる。その日は、合衆国中同一でなければらない。

(5) 出生により市民となった者またはこの憲法が批准されたときに合衆国市民であった者でなければ大統領になることはできない。また35歳の年齢に達していない者及び合衆国内に14年間すんでいない者は大統領になることはできない。

(6) 大統領が解職された場合、死亡した場合、辞任した場合、もしくは大統領の職の権限と義務を遂行しえなくなった場合、その権限と義務は副大統領に承継される。連邦議会は、大統領及び副大統領の双方が解職され、死亡し、辞任し、また職務遂行不能となった場合に、どの職員が大統領の職務を行うかを法律によって定めることができる。その職員は、職務遂行不能の状態が終了するまで、または大統領が選出されるまで、それに従って職務を行う。修正25条により修正

(7) 大統領は、定められた時期に、その職務に対し歳費を受ける。歳費は、在任期間中増減されてはならず、大統領は、その任期中合衆国または州から他のいかなる報酬も受けてはならない。

(8) 大統領は、その職務の執行を開始する前に、次の宣誓または確約を行わなければならない。「私は、合衆国大統領の職を誠実に遂行し、全力を尽くして、合衆国憲法を保持し、保護し、擁護することを、誠心誠意誓います(確約します)」

第2節

(1) 大統領は、合衆国の陸軍及び海軍及び合衆国の兵役のため現に招請された各州の民兵の最高司令官である。大統領は、執行部門のそれぞれの主要な職員に対し、それぞれの職の職務に関するいかなる事項についても、書面で意見を求めることができる。大統領は弾劾の場合を除いて、合衆国に対する犯罪について刑の執行停止や恩赦を与える権限を有する。

(2) 大統領は、上院の助言と承認を得て、条約を締結する権限を有する。ただし、この場合には出席する上院議員の3分の2の同意がなければならない。また大統領は、全権大使、その他の公の外交使節及び領事、最高裁判所裁判官及びその任命について憲法の中に他に定めがなく、法律で定められた他の合衆国職員を指名し、上院の助言と承認を得て任命する。ただし、連邦議会は、法律によって適当と認める下級職員の任命権を、大統領のみに、また、法律裁判所、各部局の長に付与することができる。

(3) 大統領は、上院の休会中に生じたすべての欠員を辞令を与えることにより補充する権限を有する。ただし、その辞令は、次の会期の終了により効力を失うものとする。

第3節

大統領は、随時、連邦議会に国の現状についての情報を提供し、必要かつ便宜と思われる措置を考慮してもらえるよう勧告を行う。大統領は、非常事態には、両議院またはいずれかの一院を招集することができる。休会の時期について両議院に意見の不一致がある場合には、大統領は適当と認める時期まで休会させることができる。大統領は、全権大使その他の公の外交使節を接受する。大統領は、法律が誠実に執行されるよう配慮し、合衆国のすべての職員に辞令を発する。

第4節

大統領、副大統領及びその他の合衆国の公務員は、反逆罪、収賄罪その他の重度の犯罪及び軽罪のため弾劾され、有罪判決を受けたときには解職される。

 

第3条

第1節

合衆国の司法権は、1つの最高裁判所と連邦議会が随時創設し設置する下級裁判所に付与される。最高裁判所及び下級裁判所双方の裁判官は、罪過なき限り、その職を有する。裁判官は、定められた時期にその職務に対し歳費を受ける。歳費は、在職中減額されない。

第2節

(1) 司法権は、この憲法、合衆国の法律及びその権限に基づいて締結され、また将来締結される条約のもとで生じる法律及び衡平法上のすべての事件、全権大使その他の公の外国使節及び領事に関係するすべての事件、海事及び海上管轄権のすべての事件、合衆国が当事者である争訟、2つ以上の州の間の争訟、ある州と他州の市民との間の争訟、相異なる州の市民の間の争訟、同じ州の市民の間での異なる州から付与された土地を争う争訟、州またはその市民と外国、外国市民または臣民との間の争訟に及ぶ。*修正11条により修正

(2) 全権大使その他の公の外交使節及び領事に影響するすべての事件及び州が当事者である事件においては、最高裁判所は第一審管轄権を有する。上述の他の事件においては、最高裁判所は、連邦議会が定める例外を除き、その規則のもとで、法律及び事実の双方について控訴審管轄権を有する。

(3) 弾劾の事件を除き、すべての犯罪の裁判は、陪審によって行われなければならない。裁判は、その犯罪が行われた州において行われなければならなら。ただし、犯罪がいかなる州にも属さないところで行われた場合には、裁判は連邦議会が法律で定めた場所で行われる。

第3節

(1) 合衆国に対する反逆罪を構成するのは、合衆国に対し戦争を行い、敵に援助を与え便宜を図って加担する行為に限られる。何人も、同一の公然となされた行為について2名の証人の証言があるか、公開の法廷で自白した場合を除いて、反逆罪で有罪とされない。

(2) 連邦議会は、反逆罪に対する刑罰を宣言する権限を有する。ただし、反逆罪の不名誉は、血統汚辱をもたらしたり、不名誉を受けた人の存命中を超えて財産没収に及んではならない。

 

第4条

第1節

それぞれの州においては、すべての他州の公の法律、記載及び司法手続に対しては、十全な信頼と信用が与えられねばならない。そして連邦議会は、一般的な法律でもって、それらの法律、記録及び手続を証明する方法及びその効力について定めることができる。

第2節

(1) 各州の市民は、それぞれの州においてその市民が有するすべての特権と免除を享受する。

(2) ある州において反逆罪、重罪もしくは他の犯罪に問われた者が、その州の裁判を逃れようと逃亡し、他州で発見された場合、その者は逃亡した州の執行権の要求に応じて、その犯罪に対して裁判管轄権を有する州に移送されるよう、引き渡されなければならない。

(3) ある州において、その法律のもとで服役ないし労働に従事する義務のある人が他州に逃亡した場合、その州の服役ないし労働は、いかなる法律または規則によっても解除することはできず、その者は服役または労働の義務を負っている当事者の要求に基づいて引き渡されなければならない。修正13条により修正

第3節

(1) 新しい州は、連邦議会によってこの連邦への加入を認められることができる。ただし、ある州の管轄権の範囲内に新しい州を形成し創設してはならない。2つ以上の州または州の一部の合併によって州を形成することは、関係する州の議会並びに連邦議会の同意なくしてはできない。

(2) 連邦議会は、合衆国に属する領地もしくは他の財産を処分し、それに関する必要なすべての準則と規則を制定する権限を有する。この憲法中のいかなる規定も、合衆国または特定の州の権利を損なうように解釈されてはならない。

第4節

合衆国は、この連邦のすべての州に共和政体を保障し、侵略に対してそれぞれの州に保護を与える、また立法府または(立法府が集会できない場合には)執行府の申出に基づいて州内の暴動に対しても、同様の保護を与える。

 

第5条

連邦議会は、両議院の3分の2が必要と判断した場合には、この憲法の修正を提案する。またそれぞれの州の3分の2の立法府の要請があった場合には、修正を提案する憲法会議を召集しなければならない。いずれの場合にも、憲法修正は、各州の4分の3の立法府によって採択され、あるいはその4分の3の憲法会議によって採択された場合には、あらゆる意味において完全に、この憲法の一部として効力を有する。いずれの採択の方法によるかは、連邦議会によって提案されたところによる。ただし、1808年までになされた修正によっては、第1条第9節第1項及び第4項にいかなる方法であれ変更を加えることはできない。また、いかなる州も、その同意なくしては、上院における平等な選挙権を剥奪されてはならない。

 

第6条

(1) この憲法の採択に先だって結ばれた債務及び約定は、この憲法のもとでも連合規約の場合と同様合衆国に対して有効である。

(2) この憲法及びそれに従って制定された合衆国の諸法律、合衆国の権限のもとで締結され、将来締結されるすべての条約は、国の最高法規である。そして各州の裁判官は、それぞれ州の憲法または法律にそれに反する定めがあったとしても、それによって拘束される。

(3) 先に延べた上院議員及び下院議員、各州の議会の議員、合衆国及び各州のすべての執行府及び司法府の職員は、宣誓または確約によって、この憲法を支持する義務を負う。ただし、合衆国のもとでのいかなる公職または公の信任についても、その資格要件として宗教上の審査は課されてはならない。

第7条

この憲法は9つの邦の憲法会議で批准された場合に、その批准を行った諸邦の間で確定され効力を発する。

紀元1787年、アメリカ合衆国独立12年、9月17日の憲法会議において、出席した各州の一致の同意により、この憲法を制定する。その証明のため、ここに署名する。

ジョージ・ワシントン
(以下略)

初めの憲法の第5条に従って、連邦議会によって提案され各州によって採択された合衆国憲法付加及び修正条項

 

修正1条(1791年)

連邦議会は、国教の樹立に関し、自由な宗教活動を禁止し、言論または出版の自由、平和的に集会し、苦情の救済を求めて政府に請願する人民の権利を縮減する法律を制定してはならない。

修正2条(1791年)

良く規律された民兵は自由な州の安全にとって必要であるから、武器を保持し携帯する人民の権利は侵害されてはならない。

修正3条(1791年)

平時においては、所有者の同意なしに兵士を家宅に宿営させてはならない。戦時においても、法律で定められた方法によらない限り同様とする。

修正4条(1791年)

不合理な捜索及び逮捕・押収に対してその身体、住居、書類及び所有物が保障されるという人民の権利は侵されてはならない。また令状は宣誓または確約によって裏付けられた、相当な理由に基づいていて、かつ、捜索される場所及び押収される人または物を特定的に記述していない限り、発せられてはならない。

修正5条(1791年)

何人も、大陪審の告発または起訴によらなければ死刑を科される罪または懲役刑の科される破廉恥罪について責を負わされない。ただし、陸海軍内で生じた事件及び戦争または公共の危害に際して現に軍務についている民兵内で生じた事件は、この限りではない。何人も、同一の犯罪について生命または身体を2度の危険にさらされない。何人も、刑事事件において自己に不利な証人となることを強制されない。何人も、法のデュー・プロセスによらずして生命、自由もしくは財産を剥奪されない。何人も、正当な補償なしに私的財産を公共の用のために収用されない。

修正6条(1791年)

すべての刑事訴追の場合に、被告人は、犯罪が行われた州ないしあらかじめ法律で定められた地区の公平な陪審員による迅速な公開の裁判を受ける権利を有する。被告人は、嫌疑の性質と原因を告知され、自己に不利益な証人に対決し、自己に有利な証人を強制的な令状により喚問してもらい、弁護のために弁護士の補助を受ける権利を有する。

修正7条(1791年)

争われている額が20ドルを超すコモン・ローの訴訟においては、陪審裁判の権利が保持されなければならなら。そして陪審で裁判された事実は、コモン・ローの準則に基づくほかは、合衆国のいかなる裁判所においても再審理されてはならない。

修正8条(1791年)

過大な保釈金は要求されてはならず、過重な罰金が科されてはならない。また、残虐で異常な刑罰は科されてはならない。

修正9条(1791年)

この憲法における一定の権利の列挙は、人民によって保持されている他の権利を否定したり軽視するものと解釈されてはならない。

修正10条(1791年)

この憲法によって合衆国に委ねられておらず、またそれによって州に禁じられていない権限は、それぞれの州または人民に留保されている。

修正11条(1795年)

合衆国の司法権は、合衆国の1つの州に対し、他州の市民または外国の市民ないし臣民から提起され追行されたコモン・ロー及び衡平法上の訴訟に及ぶものと解釈されてはならない。

修正12条(1804年)

選出人は、それぞれの州で集会し、大統領及び副大統領を無記名投票で選出する。そのうち少なくとも1名は、選出人と同じ州の住民であってはならない。選出人は、無記名投票で大統領として投票する者を、そして別の無記名投票で副大統領として投票する者を指名する。選出人は、大統領として投票されたすべての者と副大統領として投票されたすべての者及びそれぞれの得票数の別個のリストを作成し、署名し認証した上で、封印を施して上院議長に宛て、合衆国政府の所在地に送付する。―――上院議長は、上院及び下院の議員の出席のもとで、すべての認証を開封し、投票を数える。―――大統領としての最大得票を得た者は、その数が選出された選出人の総数の過半数であれば大統領となる。過半数を得た者がいなかった場合には、下院は大統領として投票された者のリストの中から3名を超えない最多得票数の者の中から、直ちに投票によって大統領を選ぶ。ただし、大統領を選ぶ際には、投票は州を単位にして行われ、各州の議員団は1票を有する。この場合の定足数は、3分の2の州から1名以上の議員が出席していることであり、選出のためにはすべての州の過半数を要する。そして下院に選出する権利がありながら次の3月4日までに大統領を選出しなかった場合には、大統領が死亡した場合や他の憲法上の職務執行不能の場合と同様、副大統領が大統領として職務を行う。―――副大統領として最多数の得票を得た者は、その数が選出された選出人の総数の過半数である場合には、副大統領となる。過半数を得た者がいない場合は、上院がリストの最多数を得た2名のうちから副大統領を選ぶ。このための定足数は、上院議員の総数の3分の2であり、選出には総数の過半数を要する。しかし憲法上の大統領の職につく資格を欠く者は、合衆国副大統領の職につく資格を有しない。*修正20条第3節により修正

修正13条(1865年)

第1節

奴隷またはその意に反する苦役は、当事者が適法に有罪判決を受けた犯罪に対する処罰の場合を除いては、合衆国またはその権限の及ぶいかなる場所においても存在してはならない。

第2節

連邦議会は、適当な法律で本条をを執行する権限を有する。

修正14条(1868年)

第1節

合衆国に生まれ、または帰化し、その管轄権に服しているすべての人は、合衆国及びそれぞれの居住する州の市民である。いかなる州も、合衆国の市民の特権または免除を縮減する法律を制定し執行してはならない。いかなる州も、人から法のデュー・プロセスによらずして生命、自由もしくは財産を剥奪してはならない。またいかなる州も、その管轄権の中で何人にも法の平等な保護を否定してはならない。

第2節

下院議員は、各州に、それぞれの人口に応じて割り当てられる。人口は、課税されていないインディアンを除いてその州のすべての人の総数を数える。ただし、合衆国大統領及び副大統領の選出人、連邦議会の下院議員、州の執行府及び司法府職員、あるいはその議会の議員の選出のための選挙において、21歳以上の州の男性住民及び合州国の市民について、反乱に加わったことその他の犯罪以外の理由でその選挙権を否定した場合、またはいかなる方法であれそれを制限した場合、州が選出できる下院議員の数は、その男性市民の数がその州の21歳の男性市民の総数に対して占める割合に応じて減少される。

第3節

連邦議会の議員、合衆国の職員、州議会の議員、もしくは州の執行府または司法府の職員として、合衆国憲法を支持するとかつて宣誓していながら、合衆国への反逆ないし反乱を起こし、その敵を援助し便宜を図った者は、連邦議会の上院または下院の議員となり、大統領及び副大統領の選出人となり、合衆国または州の下で文官または武官の職につくことはできない。ただし、連邦議会は、各議院の3分の2の投票でもって、そのような障害を解除することができる。

第4節

反逆ないし反乱を鎮圧するための服務に対する恩給及び恩典を支払うために負った債務を含み、法律によって認められた合衆国の公的債務の有効性は疑われてはならない。ただし、合衆国も州も、合衆国に対する反逆または反乱を助けるために負った債務または義務、もしくは奴隷の喪失または解放に対する要求を認め、これを支払ってはならない。そのような債務、義務及び要求は違法であって無効であるとされなければならない。

第5節

連邦議会は、適当な法律でもって本条の諸規定を執行する権限を有する。

修正15条(1870年)

第1節

合衆国市民の投票権は、合衆国及び州によって、人種、肌の色あるいは以前奴隷であったことを理由として否定され縮減されてはならない。

第2節

連邦議会は、適当な法律で本条を執行する権限を有する。

修正16条(1913年)

連邦議会は、各州に割り当てることなく、また人口調査や人口計算に関わりなく、いかなる源泉から由来するものでも、所得に税を課し徴収する権限を有する。

修正17条(1913年)

[1] 合衆国の上院は、各州からその人民によって選ばれた任期6年の2名の上院議員から構成され、各上院議員は1票の投票権を有する。それぞれの州の選挙人は、州議会の議員数の最も多い部門の選挙人として必要な資格を有していなければならない。

[2] 上院における州の代表に欠員が生じた場合には、その州の執行府はその欠員を補充するために選挙の令状を発しなければならない。ただし、州の議会は、人民が議会の定める選挙で欠員を補充するまで仮の任命を行うことを、その執行府に授権することができる。

[3] この修正は、それが憲法の一部として効力を発する前に選ばれた上院議員の選挙または任期に影響を及ぼすものと解釈されてはならない。

修正18条(1919年)

第1節

本条の採択の1年の後より、合衆国及びその管轄に服するすべての領域内で、飲用目的でアルコール飲料を製造し、販売ないし輸送し、それを輸入または輸出することは、これにより禁止される。

第2節

連邦議会及び各州は、本状を適当な法律で執行する競合する権限を有する。

第3節

本条は、連邦議会によって州の採択に付されてから7年以内に、憲法に定められた仕方で各州の議会によって憲法修正として採択されない限り、その効力を発しない。修正21条により修正

修正19条(1920年)

[1] 合衆国市民の投票権は、合衆国または州によって、性別のゆえに否定されあるいは縮減されてはならない。

[2] 連邦議会は、適当な法律で本条を執行する権限を有する。

修正20条(1933年)

第1節

大統領及び副大統領の任期は、本条が採択されなかったら任期が終了したであろう年の1月20日の正午に終了し、上院議員及び下院議員の任期は、同じ年の1月3日の正午に終了する。その後任者の任期は、その時に開始する。

第2節

連邦議会は、少なくとも年1回開会する。その会期は、法律で別の日を定めない限り、1月3日の正午に始まる。

第3節

大統領の任期の始期と定められた時点になって大統領に当選した者が死亡した場合、副大統領に当選した者が大統領となる。その任期の始期と定められた時点になっても大統領が選出されていなかったり、大統領に当選した者が資格を満たさなかった場合には、大統領の資格が満たされるまで副大統領に当選した者が大統領として職務を行う。大統領に当選した者も副大統領に当選した者も資格を満たさないような場合に、誰が大統領として職務を行うか、あるいはその職務を行うべき者がどのように選出されるかは、連邦議会が法律で定める。。その者は、それによって大統領または副大統領が資格を満たすまで職務を行うものとする。

第4節

連邦議会は、下院に大統領選出の権利があるときに大統領として選出されるべき者の中に死亡が生じた場合及び上院に副大統領選出の権利があるときに副大統領として選出されるべき者の中に死亡が生じた場合について、法律で定めることができる。

第5節

第1節および第2節は、本条が採択されたのちの10月15日に発効する。

第6節

本条は、それが州の採択に付された日から7年以内に、4分の3の州の議会によって憲法修正として採択されない限り、効力を生じない。

修正21条(1933年)

第1節

合衆国憲法修正18条は、これにより廃止される。

第2節

州、合衆国の領地または所有地の法律に違反して、これらの地域においてアルコール飲料を配送しまたは使用するために行われる、これらの地域への輸送または輸入は、これにより禁止される。

第3節

本条は、連邦議会によって州の採択に付された日から7年以内に、憲法に定められているところに従い各州の憲法会議によって憲法修正として採択されない限り効力を発しない。

修正22条(1951年)

第1節

何人も、2度を超えて大統領の職に選出されることはできない。また何人も、他の者が大統領に選出された場合にその任期のうち2年を超えて大統領の職にありまたは大統領として職務を行ったときは、1度を超えて大統領の職につくことはできない。ただし、本条は、本条が連邦議会によって提案されたときに大統領の職にある者には適用されない。また本条は、本条が効力を生じたときに、大統領の職にありまたは大統領として職務を行っている者が、その任期の残余の期間中大統領の職にありまたは大統領として職務を行うことを妨げるものではない。

第2節

本条は、連邦議会によって州の採択に付された日より7年以内に、各州の4分の3の議会によって憲法修正として採択されない限り、効力を生じない。

修正23条(1961年)

第1節

合衆国政府の所在地を構成する地区は、連邦議会の定める方法で、この地区が州であれば選出できたであろう数の連邦議会における上院議員及び下院議員の総数に等しい数の大統領及び副大統領の選出人を任命する。その数は、いかなる場合にも、最も人口の少ない州の選出人の数より多くてはならない。その選出人は、州によって任命された者に加えて認められるが、大統領及び副大統領の選挙に関しては、修正12条によって定められたような職務を行う。

第2節

連邦議会は、適当な法律で本条を執行する権限を有する。

修正24条(1964年)

第1節

大統領または副大統領、大統領または副大統領の選出人、連邦議会の上院議員または下院議員の予備選挙もしくは他の選挙における合衆国市民の投票権は、合衆国または州によって、人頭税その他の税を支払っていないことを理由に、否定され縮減されてはならない。

第2節

連邦議会は、適切な法律で本条を執行する権限を有する。

修正25条(1967年)

第1節

大統領がその職を解かれた場合、死亡または辞任した場合、副大統領が大統領となる。

第2節

副大統領が欠員している場合には、大統領は副大統領を指名する。指名された者は、連邦議会の両院の過半数の投票で承認された場合に、その職につく。

第3節

大統領が、上院の臨時議長及び下院議長に対し、その職務を行う権限と義務を遂行できないと書面による宣言で伝達した場合には、大統領が書面によりそれを打ち消す宣言を伝達するまで、副大統領が大統領代理としてその権限と義務を遂行する。

第4節

副大統領及び執行府の部局もしくは連邦議会が法律で定める他の機関のいずれかの主要職員の過半数が、上院の臨時議長及び下院議長に対し、大統領がその職の権限と義務を遂行できないと書面による宣言で伝達した場合には、副大統領が直ちに大統領代理としてその職の権限と義務を遂行する。

その場合において、大統領が上院の臨時議長及び下院議長に対し、そのような執行不能状態が存在しないと書面による宣言を伝達した場合には、大統領はその職の権限と義務を回復する。ただし、副大統領及び執行府の部局もしくは連邦議会が法律で定める他の機関のいずれかの主要職員の過半数が、4日以内に上院の臨時議長及び下院議長に対し、大統領がその職の権限と義務を遂行できないと書面による宣言で伝達した場合は、この限りではない。この場合、連邦議会がこの問題を判断する。連邦議会はこのため、休会中であれば48時間以内に開会しなければならない。後者の書面による宣言を受領してから21日以内、休会中の場合は連邦議会が開会すべきものとされている日から21日以内に、両院の3分の2の投票で、大統領がその職の権限と義務を遂行する事ができないと決定した場合には、副大統領が大統領代理として職務を続ける。それ以外の場合は、大統領がその職の権限と義務を回復する。

修正26条(1971年)

第1節

18歳以上の合衆国国民の投票権は、合衆国またはいかなる州によっても、年齢を理由に否定され縮減されてはならない。

第2節

連邦議会は、適当な法律で本条を執行する権限を有する。

修正27条(1992年)

上院議員及び下院議員の歳費を変更する法律は、下院議員選挙が間に行われるまでは、効力を生じないものとする。

 

【以上合衆国憲法全文】

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