ビデオ評
邦画編1

『パチンコ バトル・ロワイヤル』

(2001、桜場あつこ・松村邦宏他;アホらしくて内容説明するのもかったるい…)

言うまでもなく『バトル・ロワイヤル』のパロディー映画。本物の方が今一つだったので、「パロディーの方が面白いじゃないか!」ってのを期待したのだが、全くの期待外れ。これじゃ自己満足のオナ○ー映画と言われても仕方ない。末期『スーパージョッキー』を覚えているなら雰囲気は分かると思うが、ああいう感じのどうしようもないだらけた雰囲気がダラダラと続く。ギャグは色々入れてはあるが全然ダメだ。笑い死ぬくらいにしてくれないと。 (下の中)


『イエスの箱舟』

(、ビートたけし他;先頃亡くなったいわゆる千石イエス率いる教団のあれやこれや)

下で見たJWものと同じシリーズ。しかし、こっちの方は結局何が言いたいのかよく分からない。割と千石氏(もちろん違う名前にはなっているが)及び教団よりの立場から作られているように思えるが、まぁそれはそれでいいだろう。これが真実かどうか、公平かどうかについては(JWの場合とは違って)筆者は何とも言えないし、そう興味もない。ただ、周りにひたすら翻弄され続ける千石氏というのが協調されているのが面白く、それをまたたけしが好演している。教団の女のバカさ加減がよく出ているのも面白い。トンデモではないが、別の観点から楽しめる作品だ。宗教的にはちょっと突っ込みが足りなくて物足りない。 (中の中)


『無残画』

(山内大輔監督、JVD;行方不明のAV女優のいわゆる「スニッフビデオ」が存在するという噂を追求している取材班がその事件に巻き込まれ…)

ビデオ屋に行くと山のようにあるいわゆるVシネだが、実は見るのはこれが初めてだ。いかにも制作費が安いという雰囲気が全体にただよっていて、それをまた俳優の白々しい演技が引き立ててしまっているが、全体のストーリーはよく練られていて面白いと思う。詳しく言ってしまうと見る楽しみがなくなるので控えるが、個人的に入れ子構造になって何が何だか分からなくなる劇や映画は好きなので面白い。期待の残酷描写はそんなでもない。最初のマニアックビデオの場面の方がえげつないくらいだ。 (上の下)


『オールナイトロング2』

(バカ不良ガキの金蔓にされているフィギュア好きのオタクがひょんなことから連中の親玉と知り合いになり、巻き込まれた挙げ句に「壊れる」まで)

下で第一作を酷評したが、こちらはその駄作よりも映画としては格段によくできていると思う。ストーリーには色々と破綻があるが、ストーリーは大して重要ではないのでどういうこともない。逆に言えば、ストーリーなんてあってないようなまでに破綻させておいて、理不尽に残虐描写が続くというものでも面白かったと思う。その肝心の残虐描写はさすがに突っ込まれている。不良のリーダー役に妙な思想的な裏付けがなされているのは余計だ。理由なく理不尽ということにいてしまった方がよかったと思う。エロ描写もなかなか突っ込まれていてその点でもいい。ただ、役者が大したことないのは前作と同じかな。バカガキの演技がヒャハヒャハ笑うだけってのはお粗末。 (上の下)


『教祖誕生』

(インチキ新興宗教の綿々とひょんなことで知り合った青年が、徐々に教団に巻き込まれ、やがて教祖に奉られ、徐々にその気になってしまう、その過程でのあれやこれや)

実はビートたけしの作った映画というのは見たことがなかったので、ついでだと思って見てみた。ところが、たけしが監督をしているわけではないらしい。ちょっとがっかりしたが、まぁ面白いからいいか。
たけしがかなり前から宗教に興味をもっていたというのはもちろん知っていたが(麻原との対談なんて案外面白く読んだものだ)、うまくバランスをとって面白おかしく仕立ててあると思う。やはりギャグ半分真面目半分というものをやらせるとたけしは面白い。まぁアラを探そうと思えば何でも出てくるが、いい映画だと思う。玉置孝二(漢字は失念)と岸辺一徳の気持ち悪さは特にはまっている。宗教の無気味さがそこはかとなく出ていてすばらしいと思う(シャレにならない方々には本当にシャレにならないだろう)。家族が新興宗教に走ろうとしたらたけしの宗教シリーズを見せるのもいい手かもしれない。 (上の上)


『説得』

(輸血禁止を説く宗教の信者夫婦の子供が交通事故に遭遇し、手術することに。しかし、両親はかたくなに輸血を拒み、子供は亡くなる)

当時JWなどほとんど関係ない地方の高校生だった自分でもよく覚えている事件を基にしたノンフィクション「的な」映画。当時このような社会ものの映画によく出ていたビートたけしが主演していて、普通−狂気−天才の合間を縫うような彼の魅力がよく出ている。病院のキリスト教徒院長の偽善ぶりもよく出ていて、宗教のダメさ加減、どうしようもなさがよく表現されていると思う。医師役の斉藤洋介さんなども好演していて、宗教連中に翻弄される一般人の迷惑さもよく出ている。要するになかなかいい映画だと思うが、他人事でない人々には洒落にならない映画だろう。最後がうまくおさまっているっぽいのは個人的にはどうかと思った。もっと救いのない結末にしてもよかったのではないか。 (中の上)


『人斬り』

(人のよい馬鹿剣豪、土佐の岡田以蔵が権謀術策に巻き込まれて倒れるまでの半生。三島由紀夫が田中新兵衛役で出演しているのが珍しい)

リバイバル上映された時に(当時筆者は熱烈な三島マニアの高校生だった。若かったなぁ(笑))劇場で見たが、今見ても面白い。何と言っても勝新はやっぱりいい。馬鹿っぷりが実によく出ていると思う。三島もなかなかはまっている。今のぬるい時代劇にはない爽快さが何とも言えない。昔の時代劇は面白かったのになぁ… (上の上)


『洗礼』

(原因不明のシミに悩まされていた女優が突如姿を消した。彼女は人知れず一人娘を溺愛するように育てる。愛娘が成長した時、母親は娘と自分の脳を入れ替えるという計画を実行する)

もちろん楳図かずお大先生のコミックの映画化だが、楳図先生もつくづく映像化に恵まれない方だ。世紀の駄作『漂流教室』ほど悲惨ではないが、ストーリーの改悪、余計な要素の追加、不可欠な要素の削除、ミスキャスト、見ていてつらくなった。誰か『イアラ』か『おろち』を完璧に映画化してくれ!今村雅美ちゃんはよくやっていると思うが、秋川リサは何をやらせてもだめだな。網浜ちゃんが出てきたのでもっといじめられるのかと思ったら案外何もなかった。 (下の中)


『オールナイトロング』

中途半端。それに尽きる。全体として何が言いたいのかさっぱり分からない。一体何がしたかったのであろうか。暴力描写や悪趣味な展開を追求したかったのであれば、もっとやりようがあっただろう。最初から劇場公開を意図せずにそういう演出を突き詰めればよかったと思う。そうすればもうちょっと何か違うものになったかもしれない。どうも、手っ取り早く話題を集めたいが表舞台に背を向けてアングラに徹する根性もない、でこうなった、と感じられてならない、というのはいつもの深読みか。俳優の演技がひどいのはまぁしょうがないが、妙に音量が抑えてあって時々無闇にでかい音がするというのは見ていてイライラする。免疫のない人々が騒いだだけだったんだろう。秋山勝彦(確かちょうどP-modelに復帰中ではなかったかと思う)の音楽というのも期待したが、これも全く期待外れ。 (下の中)

『バトルロワイヤル』

深作欣二の監督が最大の失敗だろう。たけしが監督もやればもっと面白くなったと思う。後半に出てくる変な標語みたいなのは全く意味不明。その他にも、あんな状況でロードワークする少女とか、意味不明の演出が多くてイライラする。山本太郎と藤原龍也はいいが大半の子役の演技はギリギリ可というところ。藤原龍也も声震わせて叫べばいいと思っているようだとしたらアレだな。個人的には殺人鬼の残虐さをもっと掘り下げてほしかった。その点、殺した女子の断末魔をメガホンで拡声するのは面白いと思ったが、単発的で今一つ。原作は読んでいないが、今の所はコミックの方がまだ面白い。 (中の下)
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