ビデオ評
洋画(英語)1

『スターシップ・トゥルーパーズ』

(地球は昆虫状の地球外生命体の攻撃に晒されていた。高校の同級生はそれぞれの分野で群に志願し、厳しく悲惨な戦いの中で出会いがあり別れがあり、そうして立派な軍人に成長していく)

確か99年かそこらに公開された作品ではなかったかと思うが、その数年後にこんな大規模なテロが起こるとは誰も予想していなかったに違いない。今になって観ると、色々なところが妙にヤバい。恐らく放映自粛推賞リストに入っていたと思われる。多分、アメリカ人はテロの連中のことをこういう虫ケラ程度にしか思っていないだろう。軍隊万歳!アメリカ(ではないことにはなっているが)万歳!というのが笑えるくらいに強調されているが、そこはさすがバーホーベン監督で、どことなくアイロニーがただよっている。ただしそれが読み取れないと、単なる右翼映画としか思えないだろう。テレビ番組やそういうものが効果的に挿入されているのもバーホーベン御得意のもので、なかなか楽しめる。
特殊効果がなかなかえげつなく、戦闘シーンは人が死ぬシーン以外も結構きついものがある。そういうのが好きな向きにはたまらないだろう。大量の昆虫エイリアンががうじゃうじゃ出てくるシーンなど、多分CGだろうが、どうやって撮ったのかと思ってしまう。全然関係ないが、軍隊のシャワー室が混浴という設定で、いきなり何かと思ってびっくりした。 (上の上)

軍事教練シーンなど時々速い場面はあるが、そう難しくはない。語彙的にも時折ほんのちょっと難しい程度。


『デモリショニスト』

(ギャング団に殺された女特捜官がバイオ技術で処刑人として復活して云々というほとんど『ロボコップ』)

というわけでほとんどロボコップそのままなのだが、デモリショニストが結構ナイスバデーだったり、女ならではの内容があったりして、これはこれで中々楽しめる。逆に言えば、ロボコップみたいにチャチなところがないのでよりシリアスに見られる。とはいえ、何かチャチなところは時々気になる。 (上の下)

バイオ技術に関する所以外語彙に難しいところはないが、録音レベルが低めだということもあってかなり難しいと思う


『スフィア』

(かつて海中墜落した宇宙船を捜索したところそこには謎の球体が。球体と接触した隊員を襲う不可解な出来事の数々)

マイケル=クライトンらしいかなりややこしい内容で、自分はかなり楽しめたが、哲学的な問題意識が全くない方には「何のこっちゃ?」でしかないだろう。今一つヒットしなかったのもなるほどという気がしてくる。クライトンは作家としても結構好きなのだが、結末の付け方が今一つだなという気はいつもする。 (上の中)

語彙が結構難しい上に皆なかなか聞き取りにくいのでかなり難しいと思う


『グリード』

(豪華客船を狙う盗賊団が、お目当ての客船に乗り込んでみると…(ストーリーはこれだけで足りる))

アクションものだろうな。よくある展開で特にこれと行って特筆するものもないが、「グリード」のえげつなさがなかなかよく描かれていてその点は面白い。どうもアメリカ映画は色々なものを詰め込み過ぎる癖があるが、この作品くらいがまとまりの限界だろう。いまだに日本と中国と韓国の区別がついていないとんちんかんな演出が所々笑える。 (中の上)

エキサイトする場面が多くなかなか速いが、発音は皆明瞭なので聞き取りやすい。


『ブラックホール』

(遠い未来、地球上では進化した人間とノーマルな人間との間で闘争が繰り返され、もはや人類が住めないほど荒廃していた。その時、ワームホールを生きて抜けた飛行士が「ダークプラネット」は居住可能な星であるという情報と共に生還する。闘争を中止した両陣営は彼の案内でダークプラネットを目指すのだが…)

邦題は大いに誤解を招くので原題のままの方がよかったと思う(と思ったらどうやら当時既に『ダーク・プラネット』という映画があったらしい)。大抵SFコーナーに置かれていると思うが、SFというよりはそのような状況を借りた軍隊ものと考えた方がいい。スペオペというよりも(大体、予算不足からかSFXがものすごくちゃちだ)、人間模様を楽しむ作品だ。登場人物(ほぼ全員軍人)のファッションがなかなかアナクロでかっこいい。脚本はテーマが絞られていてなかなかいいと思う。 (上の下)

録音レベルが低いためか聞き取りにくい。特に老兵士はなかなか苦労する。


『アビス(完全版)』

これもカルト的な扱いを受けている作品で(『ブレードランナー』等に比べるとやや地味だが)、以前から気になっていたので、いい機会だと思って見てみた。全体に何か色々起こり過ぎて特に前半は何が中心なのか今一つ分かりにくい。もうちょっと絞った方がよかったのではないかと思う。最後に説教臭くなるのもどうかと思う。まぁ感動的な内容ではあるけれども。水棲UMAマニアの筆者はなかなか楽しんだが(笑)。 (上の中)

エキサイトする場面が多く結構速いので聞き取りには結構難しい。無音や音楽のみ、会話なしのアクション部分などが結構多い。 


『裸の銃をもつ男』

あちらのコメディーというのは今まであまり好きではなかったのだが、たまたまテレビで最後30分くらいだけ見た映画が面白かったので(確か『二つの頭脳をもつ男』だったか…)借りに行ったところ見つからなかったので、似た感じのを借りてみた。何かどこかにちょっとブラックなところが常に漂っているのはやっぱりあまり好きになれないが、ドリフとかああいう雰囲気でなかなか笑える。やることがいちいち大袈裟で細かい。こんなバカ映画にこんなに手間かけて…と思うがそれが「アメリカ」でもあるんだろう…

まさかアフレコではないと思うが、レスリー=ニールセンはじめ出演者全員とても聴きやすい。喜劇俳優ということもあってみんな発音が明瞭だ。最初のそっくりさんショーの面々の英語が何か変なのが可笑しい。 (バカシブ)


『ロボコップ』

笑いたければ笑え。自分にとっては「最高のSF映画は」ときかれれば、いまだにこれだ。脚本・演出・キャスト・演技・音楽、どれをとっても申し分ないと思う。やっぱりラストのオチは何度見ても最高だ。続編・続続編のトホホさと比べるとえも言われない。

何と、ヒアリング練習素材としても最高だ。SFかつ警察ものかつ企業ものなので、色んな種類の色んな英語が出てくる。黒人や非ネイティブの英語まで出てくる。しかし全体としてはそんなに難しくはない。「スシ」はともかく「サヨナラ」が英語になっているというのを発見した。 (上の上)


『スクリーマーズ』

今更こんなものを見ているようではアレだが、いまだに「一番好きなSF作家は」ときかれれば「P.K.ディック」だから、まぁ嫌いなはずはない。(とはいえ、がっかりするのが恐かったりもして、それで『トータルリコール』はいまだに見ていない)主役が何と「ロボコップ」なので「ひょっとしたら…」と恐る恐る見たが、かなり楽しめた。原作はもっと救いのない後味の悪い終わり方だったのに、ちょっとハッピーエンドっぽくなっているのが少々興醒めだし、説教っぽさがあるのもアレだが、かなり好きだ。監督はディックっぽい半未来感覚を分っているみたいだ。

自然な感じの会話が多いのでヒアリング練習素材にも向いている。ピーター=ウェラーは結構聞き取りにくいが、あとは語彙・スピードともそこそこ。 (上の上)


『ブレードランナー』

好きな映画は繰り返し見たくなるものだな。今回は「完全版」を見たが、色々あるエディションは実質そんなに違うものかなという観想は今も消えない(最後に絵コンテがおまけでついているのは面白い)。さすがに何度も見るとアレだが、SF映画の最高峰の一つであることは間違いないだろう(とか言うと「『ブレードランナー』ごときが最高とは…(藁」とか言う連中も多いんだろうな…嗚呼)。日本趣味が全く訳分からないのは見る度に笑えて面白い。ディックらしさをよく醸し出していると思う。

日本語はちょっとだけなので気にならないが、「俗語」が邪魔でヒアリング練習素材としては今一つだな。ルドガー=ハウワーがとてもゆっくりしゃべるので聴きやすい。導入としてはいいかもしれない。 (上の上)


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