曲の速さを設定するといっても、基本的には何も考える必要はありません。
なぜなら、メロディを思いついた時点で曲の速さはすでに決まっているからです。
ここでは、途中で曲のテンポを変えることについて考えましょう。
図1を見てください。
拙作「Die Schattenseite der Seele」の一節ですが、テンポの設定をしていません(サンプル1)。
この部分だけだとわかりづらいと思うので、若干前後の小節やメロディ以外の音も入っています。
このサンプルでは、楽譜で二重の線を引かれている前後のテンポは同じです。
ですが、本当はこの後半部分に入るときに、少しテンポをゆっくりにしたいと思っています。
実際に作った曲ではバッキングにハープなどを使っており、スローテンポのほうが似合うのです。
そこで、後半部分直前からテンポを少し遅くしてみることにします。
後半部分開始からはもとのテンポに戻します(サンプル2)。
戻りかたが急激であまり好きではない、という人は、テンポを戻すときも段階をつけるとよいでしょう(サンプル3)。
この「次第にゆっくりにする」手法をリタルダントといい、「元のテンポに戻す」ことをア・テンポといいます。
と、用語を説明してしまいましたが、別に「タメる」などの言葉で表現してもかまいません。
この手法を使うことにより、「ここは聴いてほしい」というところを簡単に強調することができます。
ですが、この手法はありきたりなので、あまり多用するとただうっとうしいだけです。
「ここぞ」というときだけ使うようにしましょう。
さて、実は説明すべきことはこれだけです。
ヘヴィメタル風の曲であればテンポが速く、バラード風の曲であればテンポが遅い、というのは、サンプルをあげるまでもなく当たり前のことですからね(^^;
あ、テンポが同じでもビートが細かくなればなるほどせわしなく聞こえる、というのも自明です。
あとは実際に自分で曲を書いてみて、「もう少し速いほうがいい」などの感覚を身につけてください。