さて、曲の長さです。
これもたいして書くべきことはありません。
たとえばAm→F→G→Amでゴリ押ししまくるパンク調の曲があるとします。
もしこの曲が5分くらいあったら、どんなにいいメロディが使われていてもうんざりしてしまいますね。
逆に、非常に起伏に富んだ交響曲が3分で終わってしまったら拍子抜けしてしまいます。
つまり、曲の長さはその曲の構成に深くかかわっているわけです。
ここで、曲の構成要素について考えてみましょう。
とりあえずは手近なところで歌謡曲を取り上げてみます。
この「歌謡曲」は、ドラムが8ビートを刻むテンポ120くらいの曲を想定しています。
いきなり歌から入る歌謡曲はあまりないでしょう。普通は歌のない部分が存在するはずです。
この部分をイントロと呼びます。
イントロ部分のコード進行は、後述するサビと同じ場合があります。
リスナーを惹きつけるために最も一般受けする部分を使うのは当然のことと言えるでしょう。
続いて、歌の出だしの部分があります。この部分をAメロディ、あるいはAメロと呼びます。
Aメロは多くの場合あまり面白いメロディではなく、この後に続くメロディを引き立たせるための平坦なものが多いようです(注1)。
Aメロがしばらく続くと、歌の雰囲気が少し変わる部分があります。
この部分をBメロディ、あるいはBメロと呼びます。
BメロはAメロと比較してよりいいメロディを持ってくる場合が多いです。
後述するサビへのつなぎの部分なのですが、場合によってはサビよりもいいメロディを使っても構いません。
AメロとサビがメジャースケールであればBメロはマイナースケール、というように、Bメロだけ他と違うスケールを使うのが一般的でしょう。
通常、ここで歌のない部分が入り、再びAメロとBメロを繰り返します。
2回目のBメロが終わると、曲は最も盛り上がるところにさしかかります。
この部分のメロディは非常に覚えやすく、曲の紹介をする場合などはこの部分だけを流すこともあります。
この部分をサビと呼びます。
サビが終わると、多くの場合ギターソロが入ります。
ギターソロのコード進行は、Aメロと同じ場合がよくありますので、この後に曲をつなげるとなればBメロから始まったほうが自然です。
そしてBメロの後再びサビになり、場合によってはサビをもう1回繰り返し、最後に曲を終えるための部分になるわけです。
ここまでの流れをまとめると、次のようになります。
イントロ→Aメロ→Bメロ→Aメロ→Bメロ→サビ→ギターソロ→Bメロ→サビ(→サビ)→終わり
この構成だと、だいたい3〜5分の曲が出来上がります。
2回目のBメロを省略したり、ギターソロの後にAメロから始まるような曲もありますが、それでも3〜5分の枠に収まるはずです。
最後のサビ前のBメロの代わりに、これまで登場していない新しいメロディ(Cメロ)を使ってもよいでしょう。
さて、これがハードコアパンクな曲だったりすると、全体の構成は次のようになります。
イントロ→Aメロ→Bメロ→サビ→ギターソロ→サビ→終わり
場合によってはBメロすらないこともあります。
この構成で2〜3分くらいの長さになるでしょう。
Cメロだけではなく、DメロやEメロまで使うプログレ風の曲になると、だいたい5〜7分くらいでしょうか。
いずれにせよ、同じメロディの繰り返しでやたら長い曲を書いても、
リスナーのみならず作曲している自分すら飽きてしまうので注意しましょう(注2)。
注1……いわゆるビジュアル系のバンドなどでは、まるで念仏のようなAメロまであります。サビで爆発的に盛り上がる曲が多いため、必要以上にAメロを抑えているのかもしれません。
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注2……長い曲が書けなくなって、たまに書くと「Die Schattenseite der Seele」みたいなめちゃくちゃな曲になってしまう場合があります;_;
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