楽譜を一度も見たことがない、という人はあまりいないでしょう。
5本の線が引かれていて、そこにおたまじゃくしみたいなものを書いてドレミを表現する、というやつです(注1)。
まず、図1を見てください。
左端に何だかよくわからない記号がありますね。
何だかよくわからないので、無視してもかまいません(注2)。
ただ、この記号が左端についている場合、5本の線の下から2番めがソになる、ということだけ覚えておいてください。
次に、数字の4がふたつ書かれていますね。
下の数字は基本となる音符が何分音符なのか(あとで説明します)、上の数字は1小節(あとで説明します)に基本となる音符がいくつ入るのか、ということを意味しています。
でもまあ、この「基本となる音符」というのはあまり重要じゃないので(注3)、要は「1小節はどれだけの長さか」を表すものだと思ってください。
この例ですと、1小節には4分音符が4つ入る、ということになります(注4)。
さて、いよいよ音符の見かたを説明します。
5本線の下から2番めがソということを先ほど言いました。
そこからちょっとだけ下に降りて、下から2番めと一番下の線の間が、ソのひとつ下のファになります。
一番下の線はさらにひとつ下のミになります。
逆に、下から2番めと3番めの間はラ、ちょうど真ん中の線はシということになります。
つまり、線→間→線→間の順番で、ド→レ→ミというように並んでいるということです(注5)。
上のほうが高い音、下のほうが低い音、というのは直感的に理解できますよね。
では、5本の線で表現できない部分はどうするのでしょう。
一番下の線がミだから、ドはもっと下にあるはずです。
この場合、5本の線の下にさらに短い線を引き、そこに音符を書くことになります。
図1をもう一度見てください。
とりあえず音の高さはもうわかるはずですね。
左から順に、ドレミファソラシド、となっているわけです。
最後のドだけ、おたまじゃくしの向きが違いますね。
これはただ、上に線が伸びるかたちだと5本の線から大きくはみだしてしまうため、見栄えを考えて向きを逆にしているだけです。
高い音がたくさん続くときにはおたまじゃくしはずっとさかさまだったりします。
ですが、音の高さは黒い玉の部分で表すので、線の向きは気にしなくてよいでしょう。
ちなみに音ではない音、つまり無音部分の表記もあるのですが、それはこれから説明します。
次に、音の長さです。
楽譜では、音の長さを「何分音符か」で表現します。
図2を見てください。
まず上の段を見てみましょう。
とりあえずミの音になっていますが、音の高さは気にしなくて結構です。
左から順に、全音符、2分音符、4分音符、8分音符、16分音符といいます。
この「〜分音符」というのは「〜ぶおんぷ」と読みます。
2分音符は「にぶおんぷ」、4分音符は「しぶおんぷ」というわけです。
ではそれぞれの意味を説明しましょう。
全音符は「1小節全部の長さの音符」という意味です。
2分音符は「全音符の2分の1の長さの音符」という意味です。
以下同様に、「4分の1」「8分の1」「16分の1」という長さになっています。
もちろん、さらに32分音符、64分音符などというものもあるわけですが、実際に使うことはめったにないのでここでは割愛します。
もう一度図1を見てください。
4つめの音符「ファ」と5つめの音符「ソ」の間に縦線が引いてありますね。
これが小節の区切りです。
最初に「1小節には4分音符が4つ入る」と決めたわけですから、ここに線を引くことは正しいことです。
さて、ちょっと変なことに気づきましたか?
全音符は「1小節全部の長さの音符」、1小節の長さは「4分音符が4つ入る長さ」、4分音符は「全音符の4分の1の長さの音符」。
これでは何を基準に小節の長さや全音符の長さを決めていいのかわかりません(注6)。
まるで鶏と卵の寓話のようです。
ここでは単純な解決方法をお教えしましょう。
ちょっと口に出して「タンタンタンタン」と言ってみてください。
この「タン」の長さを4分音符の長さに決めてしまうのです。
4分音符は「全音符の4分の1の長さの音符」ですから、裏を返せば全音符は「4分音符4つ分の長さの音符」です。
これで1小節の長さが決められます。
あ、4分音符はちゃんと「タンタンタンタン」で決めてくださいね。
8分音符が「タタタタタタタタ」、16分音符が「タカタカタカタカタカタカタカタカ」なので、
もし4分音符が「タンタン」よりも速いと、16分音符は人間が口で言える速度ではなくなってしまいますから。
では図2の下の段を見てください。
これらは休符と呼ばれる記号で、音符と違い音は表しません。
文字どおり「休んでいるところ」、つまり無音状態を意味しています。
左から順に、全休符、2分休符、4分休符、8分休符、16分休符といいます。
長さは先ほどの音符とまったく同じです。
4分休符よりも細かい休符については注意するところはありません。
ただし、全休符は3番めの線の下、2分休符は3番めの線の上、ということだけは注意してください。
最後に、これまで触れなかったことについてまとめてみましょう。
まず左端の記号が違いますね(注8)。
この記号の場合、上から2番めの線がファになる、というのが決まりです。
このファの高さについては注意が必要です。
これまで使っていた記号の場合、低いドは5本線の下に1本線を追加した位置でした。
この記号の場合、同じドを表現しようとすると、5本線の上に1本線を追加した位置になります。
つまり、最初の記号のときよりも全体的にずっと低い音なのです。
この記号はベースの音を表すとき、およびドラム譜に使います。
ベースの意味やドラム譜の意味は後で説明します。
次に数字が違いますね。
これは「1小節の長さは4分音符3つ分」という意味です。
いわゆる3拍子ですね。
このとき、もし1小節全体がひとつの音符、あるいは休符の場合は、できれば全音符、全休符は使わないでください(注9)。
では音符を見てみましょう。
最初の音符の右側に、小さな点がついています。
この場合の4分音符を「付点4分音符」といいます。そのままですね。
付点の意味は、「音符の長さを1.5倍する」です。
つまり付点4分音符の長さは、4分音符+8分音符(4分音符の半分)となります。
さらに、点が複数つく場合もあります。
この場合の長さは、たとえば付点4分音符にさらに点をつけたとすると、4分音符+8分音符+16分音符(8分音符の半分)になります。
4分音符+8分音符+付点8分音符(付点4分音符の半分)ではないので注意してください。
ただ、点が複数つくとわかりにくくなるばかりか譜面がみづらくなるため、できれば付点はひとつまでにしたほうがよいでしょう。
どうしても半端な長さの音符が必要な場合は、あとで解決方法をお教えします。
さて、1小節めの3番めと4番めの音符を見てください。
つながってしまっていますね。
これは両方とも8分音符です。
1小節めの2番めの音符は、すでに学んだかたちの8分音符です。
この8分音符のヒゲの部分が隣の8分音符のヒゲとつながっているのです。
このように表記する理由は単純で、ただ見やすくするためです。
なぜ2番目の音符もいっしょにつなげないのかというと、この楽譜の拍子が4分音符を基本にしているため、できるだけ4分音符の長さごとにまとめようと考えたからです。
ただつなげればいいというものではないので、気をつけてください。
同じ理由で、2小節めの最初の3つの音符はひとまとまりになっています。
1番めは8分音符、2番めと3番めは16分音符ですが、このようにまとめることができます。
当たり前ですが、もし拍子が2分音符を基本にしていて、4分音符がふたつ連続していてもつながりませんよ。
4分音符よりも細かい、ヒゲのついた音符だけです。
次に、2小節めの最後の3つの音符を見てください。
8分音符が3つ、ではありませんよ。
もしそうだったら、小節の区切りが間違っていることになってしまいます。
音符の上に「3」という数字が書いてありますね。
これは「3連符」と呼ばれるもので、ひとつの音符をちょうど3等分したものと考えてください。
普遍的な説明がちょっと難しいので、具体例をあげてみます。
まず、4分音符を3等分したい場合、その3等分した長さよりもちょっとだけ長い「(公比2の幾何級数)分音符」を考えます(注10)。
この場合は8分音符がそうですね。
次にその音符で3つの音を書きます。
つなげられるのならつなげたほうがよいでしょう。
8分音符ならつなげられるので、つなげて書きます。
最後に、どこからどこまでが3連符なのかを明確にして、上に「3」と書きます。
これでできあがりです。
ちなみに、音がふたつだけの3連符というのもできます。
この場合は最初のふたつ、もしくは最後のふたつがひとまとまりになります。
ひとまとまりになったものは以前の2倍の長さですから、8分音符で表記しているのなら4分音符に変わります。
あとは同じです(注11)。
さて、1小節めの3番めの音符をもう一度見てください。
「#」という記号がついています。
読み方は普通に「シャープ」です。
この場合はレのシャープですね。
これは「レよりも半分だけ音を上げる」という意味です。
そうです、ドレミのそれぞれの間にはまだ音があったのです。黙っててごめんなさい。
レのシャープは「レとミの中間の高さ」です。
ちょっと注意してほしいのは、間の音がないものもある、ということです。
ミとファ、シとドの間には音はありません。
したがって、ミのシャープ、シのシャープというものはありません(注12)。
また、2小節めの7番目の音符を見てください。
「b」という記号がついています。
「ビー」ではありません。「フラット」と読みます。
この場合はラのフラットです。
これは「ラよりも半分だけ音を下げる」という意味です。
ちょうどシャープの逆ですね。
シャープと同様の理由で、ファのフラット、ドのフラットはありません。
それから、2小節めの最後の音符を見てください。
これまた変な記号がついています。
これは「ナチュラル」と読みます。
意味は「シャープやフラットで変更した音を元に戻す」という意味です。
シャープやフラットは、一度使ったらそれ以降その小節の中ではずっと有効です。
放っておくと、変えたくない音まで半分だけずれた音になってしまいます。
元に戻したい場合は、このようにナチュラルを入れておけば大丈夫です。
最後に、3小節めの2番めと3番めの音符を見てください。
ヒゲの部分ではなく、玉の部分のそばに線が書かれています。
付点で解決できなかった、半端な長さを表現するのが、この線です。
これは「タイ」と呼ばれ、とぎれずにそのまま音を伸ばすときに使います。
この場合、8分音符+2分音符という、付点ではできなかった表現が可能になります。
当たり前ですが、タイで結ばれる音符の高さは同じでなければいけません(注13)。
さあ、これで楽譜の読み方は一通り学び終わりました。
覚えなければならないことはこれだけです。
場合によっては覚えなくてもいいことまで書いてしまったかもしれません。
よくわからなかったり明らかに間違えている部分がありましたら、どうぞメールでお知らせください。
注1……便宜上「ドレミ」と書きましたが、後述する調の概念を正式に用いれば「ドレミ」は相対的なものでしかなく、絶対的な音階を表現するのならば「ハニホヘトイロ」という表記をしなければなりません。しかしここでは基本的にハ長調およびイ短調(詳細は後述)しか使いませんので、より一般的な「ドレミファソラシ」という表記で統一することにします。
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注2……これは「ト音記号」と呼ばれ、5本の線の下から2番めが「ト」の音になる、ということを意味します。「ド」じゃありませんよ。「ハニホヘト」の「ト」です。このコーナーに限れば、「ソ」ということと同じです。
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注3……実際に、16ビートの曲でも4分の4という表記が使われています。また、8分の6と8分の12の区別も、聴いただけではよくわからないことが多いものです。
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注4……ここに数字でなく、「C」などの文字が入ることがあります。「C」は4分の4、「C」に縦線を重ねたものは2分の2を表す記号です。
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注5……正式には、それぞれの線を下から第1線〜第5線、線と線の間を下から第1間〜第4間と呼ぶようです。
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注6……多くの音楽関連の本では、何の断りもなく基準を4分音符にしています。結果的にはぼくの説明と似たようなことが書いてあるのですが、それではなぜ「全音符」「4分音符」という名称なのか説明がつきません。若干混乱するであろうことを承知の上で、このような説明をさせていただきました。
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注7……この楽譜は一瞬ちゃんと曲になっているように見えます。しかしそれは間違いです:-) あくまで表記の説明をするためのサンプルなので、実際に演奏したら気持ちの悪い旋律になっているでしょう(実際気持ち悪かった;_;)。
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注8……これは「ヘ音記号」と呼ばれます。上から2番めの線が「ヘ」の音(このコーナーに限れば「ファ」の音)になります。
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注9……全音符の長さは1小節分だとすると使ってもいい、と考えられます。しかし、あくまで4分音符は全音符の4分の1だと考えるならば、使わないほうがいいでしょう。そのほうが音符の長さを計算するときに迷わなくてすみます。
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注10……「幾何級数」なんて言葉を初めて使った(^^; 要するに、1、2、4、8、16、……という数字です。
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注11……さらに追い討ちをかけるように、「5連符」「7連符」などというものもあります。ぼくの知っているかぎり、「23連符」なんていうものもありました。基本的な考え方は同じなので詳しくは言いませんが、そんな連符はギターソロなどでしか使わないでしょう。
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注12……本当はあります。しかし、ミのシャープはファと同じ、シのシャープはドと同じ意味なので、ここでは「ない」と言っておきましょう。
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注13……音の高さを変えた場合、それは「スラー」と呼ばれます。当然ひとつの音になるわけではありませんが、音の切れ目のない滑らかな表現になります。
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