「音色の選び方」なんて大胆なタイトルをつけてますけど、別に大したことを書くわけではありません。
 だいたいどういう音色が好きか、なんていうのは、完全に個人の趣味の範疇ですから、ぼくがどうこういう筋合いのものではありません(注1)。
 ただ、聴いてみたときにどういう音の組み合わせがきれいに聞こえるか、というくらいのことなら書くことはできるかもしれません。

 以下の用語はいずれきちんと説明しますので、ここではとりあえず読み流す程度で結構です。

 まずドラムの音色ですが、これは書くまでもありませんね。
 打楽器ですから、歯切れのよい音にすることが一番です。
 もちろん、妙にエコーのかかった音にしてもそれなりに面白いかもしれません。
 ただ、あまりドラムの音を派手にすると、他の音が聞こえなくなってしまい、しかたなく他の音も派手にしなければならなくなり、
 結局曲全体が派手でやかましいものになってしまいがちです(注2)。
 もし風変わりなドラムの音色を使いたい場合でも、スネアドラム以外はできるだけ地味に押さえたほうがよいでしょう。

 次にベースの音ですが、これは曲調によって扱いが違います。
 たとえばポップミュージックやオーソドックスなロックでは、ベースは決して主役になることはありません。
 当然、一番目立つ音はボーカルやギターになるわけです。
 こういうような曲の場合、ベースはできるだけこもったような音を使い、「何となく音が鳴っているな」と気づかせるくらいで充分です。
 逆に、ダンスミュージックやプログレッシブロック、あるいはゲームミュージックなどでは、どんなに他の音を派手にしたところで、ベースが目立たないと非常に単調な曲になりがちです。
 こういう場合は、高音部分のはっきりとした固い音を選ぶとよいでしょう。
 前者は指やピックで「弾く」ときの音、後者は親指で「叩いたり」人差し指で弦をひきちぎるように「ひっかける」ときの音(注3)です。
 なお、それぞれに適したフレーズはいずれまとめて紹介します。

 メロディ部分は基本的に何を使っても構いません。
 ピアノでもいいですし、バイオリンでもいいでしょう。
 ただし、メロディが「歌」である場合、あるいは「歌」を意識している場合は、「声」に近い楽器である管楽器を選ぶのが無難だと思います。

 サブメロディもまた、基本的に何でも構いません。
 もちろん、「サブ」メロディである以上、メロディよりも目立つ音にしてはいけません(注4)。
 メロディがオルゴールの音を使っているのに、サブメロディがディストーションギターの音を使っていては、メロディなんてまるで聞こえなくなってしまいます。
 ボリューム調整でどうにかなるかもしれませんが、曲全体に漂うアンバランスさはぬぐえません。
 サブメロディの音色は、メロディの音色が決定してから決めたほうがいいかもしれません。

 最後に、全体を通してひとついっておきます。
 それは「音の広がり」ということです。
 通常、音の広がりというのは楽器の左右への分散(注5)を指しますが、ここでは音域の上下の分散も含めます。
 音色の話題とは離れますが、他に適当なところがないため、ここで書きます。
 左右の広がりも上下の広がりも、言うべきことは同じです。
 全部の音が同じ方向から聞こえてきたり、あるいは似たような高さの音ばかり聞こえてきたりすると、それぞれの音を聞き取りにくい、という当たり前のことです。
 ヘッドホンなどで曲を聞いたことのある人は、左右のひろがりについてはそれなりに注意を払うだろうと思います。
 スペアナ付きコンポを持っている人は、容易に上下の広がりに気を配ることができるでしょう。
 どちらも大変重要ですので、実際に曲を作るときはぜひ注意してください。


この節の注釈

注1……そんなこといったら曲作りだってそうなんですけどね。
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注2……ダンスミュージックなどでわざとそういう音を使う人もいるかもしれません。ですが、ドラムとオーケストラヒット以外何も聞こえないようなダンスミュージックは、もうそろそろ卒業してもいいころだと思いませんか?>心当たり あ、もうみんな卒業しましたね(^-^;
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注3……スラッピング、和風にいえばチョッパーのことです。しかし何で「チョッパー」なんだろう?
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注4……メロディ←→サブメロディの曲中での交換は可能ですから、あまり厳密に考える必要はありません。
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注5……左右の音の広がりのことを「パン」といいます。「パンを振る」「パニング」などのように使います。
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