それではコードバッキングについて説明します。
 説明する、などと書きましたが、これは実はすでに「コード編」でやっています。
 そのほかにもサンプル曲を掲載した場合はたいがいコードバッキングを使っています。

 ではコードバッキングというのは何か、といいますと、これはその名のとおり「背後でコードを鳴らす」ということです。
 たとえば図1のようなメロディおよびベースがあった場合、サンプル1のようにコードを演奏するのがコードバッキングです。

 コードバッキングのメリットは、当然ではありますがコードがはっきりする、ということです。
 図1ならばベースがコードのルートを弾いていますからわかりやすいのですが、これが図2のようになると現在弾いているコードが何なのかわかりづらくなります。
 そこで、サンプル2のようにコードを入れてやると、だいぶすっきりするわけです。

 さて、これまで実際に使用してきたコードバッキングは、オルガンやストリングスなどで有効な「白玉」という方法でした。
 実際に演奏している楽譜を見れば一目瞭然ですが、このコードバッキングには全音符と2分音符ばかりが使われています。
 そのため、こういった演奏法を「白玉」というわけです。
 この「白玉」は非常に簡単で効果も高いのですが、単純すぎるために面白味に欠ける、という欠点があります。
 そこで、同じコードバッキングですがもう少し細かく音符を割ってみましょう。

 図3はコードバッキングを4分音符で割ったものです(サンプル3)。
 この演奏法はピアノなどの鍵盤楽器にむいていますので(注1)、ロックなどの騒々しい曲にはあまり使えないでしょう。
 なお、この4分音符主体の演奏法はシャッフルにも使えます(サンプル4)。

 図4はコードバッキングを8分音符で割ったものです(サンプル5)。
 この演奏法も鍵盤楽器で演奏することが可能ですが、通常ギターのカッティングとして使われます(サンプル6)。

 このカッティングをもう少し詳しく見てみましょう。
 ただひたすら8分音符でコードを弾いているだけでは、あまりにも単調です。
 そこで、各8分音符に若干変化をつけます。
 図5を見てください。
 音がひとつだけの部分と、コードを弾いている部分があります。
 これはギターでしょっちゅう使われているカッティングのパターンで、実際にはサンプル7のような感じです。
 どうですか、聞いたことがありそうでしょう。
 ハードロックもしくはそれ以上に激しい音楽の場合、歪んだギターがこのようなフレーズを弾き続けているのが普通です。
 また、アコースティックギターでも同様のことができますが、コードを弾くときに若干ずらすのが一般的です(サンプル8)。

 さて、これまではコードの構成音すべてを同時に鳴らしてきました。
 今度は構成音をばらばらに鳴らしてみましょう。
 図6を見てください(サンプル9)。
 このように和音を分散して演奏する方法をアルペジオといいます。
 バラード風の曲などではかなり役立ちますので、ぜひ覚えておいてください。

 コードバッキングについてはこのくらいでよいでしょう。
 次節ではメロディラインを持ったバッキング、すなわち本物の「サブメロディ」について説明する予定です。


この節の注釈

注1……鍵盤楽器ではありますが、オルガンには向いていません。オルガンは音の自然な減退がないため、白玉を使った方が効果的です。
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