椎名 林檎

[17]

now i'm seventeen
my school is in the country
students wear trainers
read the same magazins
now i'm seventeen
my school is getting tiresome
teachers-they're so young
singling me out
only like philosophy & after school the time
that's what i call my own time
nice girls meet nice boys end of school day
while other girls go strait home
talking 'bout soaps'n' that
i go home alone
like it watching the nameless people
surfing subways, travelling somewhere
"・・・nowhere・・・"
now i'm seventeen
i do not have a title
depend on no one else
busy being kind (to myself)
i go home alone
and have dinner in my sweet home
praying again, again & again
"・・・peace・・・"
i see the same faces in school & they say that i am different
i think it's an honour to B different
i can't go their way
now i'm seventeen
"・・・seventeen・・・"

[Σ]

you say i betray you
that i'm always changing
when all i really do
is not stay true to your illusions

you phone & talk marriage
cover up the mouthpiece
cursing at your mother
grumbling 'bout your dinner

i am not your possition
not another toy for the boy
weary of your direction
tired of your desire to control

honey, i've got tell you
it's like walkin' tightrope
i'm leaving your island
built a ship of my own
i just want simple peace
so i say good bye, tatty bye

sure i cook lunch for you
if you are pure & spotless
i'm leaving your island
built a ship of my own
i just want simple peace
so i say good bye, tatty bye


[アイデンティティ]

是程多くの眼がバラバラに
何かを探すとなりゃあ其れなり
様々な言葉で各々の全てを
見極めなくちゃあならない
正しいとか 間違いとか
黒だとか 白だとか

何処に行けば良いのですか
君を信じて良いのですか
愛してくれるのですか
あたしは誰なのですか
怖くて仕方が無いだけなのに…

是迄多くの眼がちやほやと
ひたすらあたしを肯定した
様々な合図でてきぱきと
姿を見破られなくちゃあならない
優れていて 劣っていて
数だとか レヴェルとか

此処に居れば良いのですか
誰が真実なのですか
お金が欲しいのですか
あたしは誰なのですか
何処に行けば良いのですか
君を信じて良いのですか
愛してくれるのですか
あたしは誰なのですか
此の先も現在(いま)も無いだけなのに…

[あおぞら]

片付いた部屋が温かくて 曇り窓の外コントラスト
独りで居るのに慣れないまま ジャニスを聴いているセンチメンタル

この世で一番輝いている人は努力しているって教えてくれたね

ねえ 見ている?
ほら 星が光っているのを
明日は心も空も素敵な青

堅苦しい言葉懐かしくて 貴方は小さなモンテスキュー

本当の自分に正直で飾らないあたしで良いのだって教えてくれたね

ねえ 見ている?
此の 星が光っているのを
貴方の心の様な空を見ている

ねえ 云える?
いま 星が光っている理由
貴方の心を映しているからだよ

明日は心も空も素敵な青

[茜さす 帰路照らされど…]

何時もの交差点で彼は頬にキスする
また約束も無く今日が海の彼方に沈む

ヘッドフォンを耳に充てる
アイルランドの少女が歌う
夕暮れには切な過ぎる
涙を誘い出しているの?

振り返る通りを渡るひとに見蕩れる
また約束も無く彼がビルの彼方に消える

ヘッドフォンを耳に充てる
ファズの利いたベースが走る
夕焼けには切な過ぎる
涙を誘い出しているの?

今の二人には確かなものなど何も無い
偶には怖がらず明日を迎えてみたいのに

I PLACE THE HEADPHONES ON MY EARS AND LISTEN
SOMEONE SINGS A SONG. I FEEL SO BLUE
NOW DARLIN' PROMISE ME
PLEASE TELL ME SOMETHING WORDS TO SOOTHE
I DON'T WANNA CRY

[unconditional love]

i wanna fall into you
and i wanna be everything you want me to
but i'm not sure i know how
i lose faith and i lose ground

when i see you i remenber
unconditional love

it dosen't matter what i say
cause it always seems you're taking
me the wrong way
but if you could read my mind
you'd see,i fight myself all the time

when i see you i surrender
unconditional love

standing on a wilder shore
i got my head up in the clouds
i ain't got no sense of direction now

i wanna lie next to you
and i wanna do everything you want me to
but i'm not sure i know how
put your arms around me now

when i feel you i surrender
unconditional love

all you need is

what the world needs
now the word is love

[依存症]

急に只 寝息が欲しくなって
冷凍庫にキーを隠したのです
夢の隙に現を殺し
戦う不条理なレッグカフ
…今朝の二時

シャーベッツのロゴが溶けている
黄色い車の名は「     」
明け立ての夜を強請(ねだ)る
品川埠頭に似合うのです
…今朝の五時

あたしが此のまヽ海に沈んでも
何一つ汚されることはありませぬ
其れすら知りながらあなたは相槌だけ
望んでいるあたしは病気なのでしょう

甲州街道からの渋滞が激化して
日本の朝を見ました
覚醒を要する今日と云う
厳しい矛盾に惑うのです
…つい先も

どれ程 若さの上に丸で雲切れの
笑顔を並べど変わりませぬ
孤独を知る毎に
あなたの相槌だけ望んでいるあたしは

あなたの其の瞳が頷く瞬間に
初めて生命の音を聴くのです
天鵞絨(ビロード)の海にも
仕方のないことしか無かったら
あたしはあたしはあたしはどう致しましょう

翻弄されているということは
状態として美しいでしょうか
いいえ 綺麗な花は枯れ
醜い過程が嘲笑(わら)うのです
…何時の日にも

[同じ夜]

飛交う人の批評に自己実現を図り戸惑うこれの根源に尋ねる行為を忘れ
此の日々が訪れた窓の外には誤魔化しの無い夏 描かれている

吹き荒れる風に涙することも 幸せな君を只願うことも 同じ
空は明日を始めてしまう
例え君が此処に居なくても

彷徨う夢の天神に生温さを望み行交う人の大半に素早く注目をさせ
其の欲が満たされたあたしの眼にも果てることない夢 映されるのか

泣き喚く海に立ち止まることも 触れられない君を只想うことも 同じ
空は明日を始めてしまう
例えあたしが息を止めても

吹き荒れる風に涙することも 幸せな君を只願うことも
泣き喚く海に立ち止まることも 触れられない君を只想うことも 同じ
空は明日を始めてしまう
例えあたしが息を止めても

[歌舞伎町の女王]

蝉の声を聞く度に 目に浮かぶ九十九里浜
皺々の祖母の手を離れ 独りで訪れた歓楽街

ママは此処の女王様 生き映しの様なあたし
誰しもが手を伸べて 子供ながらに魅せられた歓楽街

十五に成ったあたしを 置いて女王は消えた
毎週金曜日に来ていた男と暮らすのだろう

「一度栄えし者でも必ずや衰えゆく」
その意味を知る時を迎え足を踏み入れたは歓楽街

消えていった女を憎めど夏は今
女王と云う肩書きを誇らしげに掲げる

女に成ったあたしが売るのは自分だけで
同情を欲した時に全てを失うだろう

JR新宿駅の東口を出たら
其処はあたしの庭 大遊戯場歌舞伎町

今夜から此の町で娘のあたしが女王

[ギブス]

あなたはすぐに写真を撮りたがる
あたしは何時も其れを厭がるの
だって写真になっちゃえば あたしが古くなるじゃない

あなたはすぐに絶対などと云う
あたしは何時も其れを厭がるの
だって冷めてしまっちゃえば 其れすら嘘になるじゃない

don't U θink? i 罠 B wiθ U

此処に居て
ずっと
明日のことは判らない
だからぎゅっとしていてね ダーリン

あなたはすぐにいじけて見せたがる
あたしは何時も其れを喜ぶの
だってカートみたいだから あたしがコートニーじゃない

don't U θink? i 罠 B wiθ U

傍に来て
もっと
昨日のことは忘れちゃおう
そしてぎゅっとしていてね ダーリン

また四月が 来たよ
同じ日のことを思い出して

[君ノ瞳ニ恋シテル]

you're just too good to be true
can't take my eyes of you
you'd be like heaven to touch
i want to hold you so much
at long last love has arrived
and i thank god i'm alive
you're just too good to be true
can't take my eyes of you
pardon the way that i stare
there's nothing else to compare
the sight of you leaves me weak
there are no words left to speak
but if you feel like i feel
please let me know that it's real
you're just too good to be true
can't take my eyes of you
i love you baby, and if it's quite all right
i need you baby, to warm the lonely night
i love you baby, trust in me when i say
oh pretty baby, don't bring me down, i pray
oh pretty baby, now that i'm bound to stay
and let me love you baby, let me love you

[虚言症]

しかし何故にこんなにも
眼が乾く気がするのかしらね
黄色の手一杯に
広げられた地図には 何も無い

そして何故に
雨や人波にも傷付くのかしらね
魚の目をしているクラスメイトが
敵では 決して決して無い
線路上に寝転んでみたりしないで大丈夫
いま君の為に歌うことだって出来る
あたしは何時も何時もボロボロで生きてる

例えば少女が
あたしを憎む様な事があっても
摩れた瞳(め)の行く先を
探り当てる気など 丸で丸で無い

徒(いたずら)に疑ってみたりしないで大丈夫
いま君が独りで生きているなんて云えるの
君は常に常にギリギリで生きる
あたしは何時も君を想っているのに

髪の毛を誘う風を何ともすんなりと受け入れる
眩しい日に身を委せることこそ悪いこととは云わない
無理矢理に繕ってみたいしないで大丈夫
いま君の為に歌うことだって出来る
あたしは何時も何時もボロボロで生きる

徒(いたずら)に疑ってみたりしないで大丈夫
いま君が独りで生きているなんて云えるの
君は常に常にギリギリで生きる
あたしは何時も君を想っているのに

[警告]

朝の訪れを微塵も感じない夜
闇がこの先の日本を考えるのか
TVも溜息も時計を滅多に止めない
何がこれ程迄に虚しさを呼ぶのだ?

あなたの部屋の留守番電話が近頃まめに働いているの 何故か少しも気にならないのよ
伸ばした髪も意味ないから

言葉で穴を埋めても 満たされる筈など無い
日の出を待ち切れぬまま 鋏を探し出す
あなたは全てをあたしが切っちゃっても効かない…

夏に見たのは実在しない人だった
寒くなる迄知らないで愛してしまった
今頃になってから「全部演じていた」なんて
受話器越しに泣かれたってこっちが泣きそう

あなたがあたしだけ呼んで居ても幾ら素敵に気を引いていても 時は既に遅過ぎるのよ
応える努力もしないから

この海を又訪れ 思い出そうと歩く
波を止めることよりは た易いと感じるのに
あたしの気持ちは何処に行ったって戻らない…

「嘘はつき つかれるもの」あなたはそう笑うが
間抜けなあたしをはじめ 不可能な人種も居る
上手く前に進めずに不器用に倒れるなら
起き上がる道具ひとつ 持たないで死んで行くわ
殺意だけ仕舞ったら あたしは最後のいま
「機械の様に余り馬鹿にしないで」って云いたい…

[幸福論]

本当のしあわせを探したときに
愛し愛せれたいと考えるようになりました
そしてあたしは君の強さも隠しがちな弱さも汲んで
時の流れと空の色に
何も望みはしない様に
素顔で泣いて笑う君にエナジイを燃やすだけなのです

本当のしあわせは目に映らずに
案外傍にあって気付かずにいたのですが
かじかむ指の求めるものが見慣れたその手だったと知って
あたしは君のメロディーやその
哲学や言葉 全てを
守る為なら少し位する苦労もいとわないのです

時の流れと空の色に
何も望みはしない様に
素顔で泣いて笑う君のそのままを愛している故に
あたしは君のメロディーやその
哲学や言葉 全てを守り通します
君が其処に生きているという真実だけで幸福なのです

[ここでキスして。]

あたしは絶対あなたの前じゃ さめざめ泣いたりしないでしょ
これはつまり常に自分がアナーキーなあなたに似合う為
現代のシド・ヴィシャスに手錠かけられるのは只あたしだけ

行かないでね
何処にだってあたしと一緒じゃなきゃ厭よ
あなたしか見て無いのよ
今すぐに此処でキスして

違う制服の女子高生を眼で追っているの、知っているのよ
斜め後ろ頭ら辺に痛い程視線感じないかしら
そりゃ あたしは綺麗とか美人なタイプではないけれどこっち向いて

行かないでね
どんな時もあたしの思想を見抜いてよ
あなたの長い睫毛も其の華奢で大きな手も全部大好きなの
何処にだってあなた程のひとなんて居ないよ
あなたしか見て無いのよ
今すぐに此処でキスして ねぇ

I feel so nice 'cause you are with me now
It is certain I love you so much baby
I'll never be able to give up on you
So never say good bye and kiss me once again

[サカナ]

ちっぽけで汚らしい動物 雌
一体生まれてから二十年弱
生きて来たのだろうか 其の上
只 易々と 泳いで行くのかしら

たった今頂戴した言葉 其れ
一体どういう意味を持つのですか
「愛してる」と云う腕の中で
只 易々と 泳いで行くのかしら

あたしが足の指五本 踵一個
不思議も無く此処にへばりつける
此のことを詳しく説明して下さいな
唇ばかりをそう見つめる前に

はっきりしないあたしの生態 雌
一体 生まれる迄歴史などが
少しでも動いたと 云えるの
只 安々と 泳ぐだけなら

あたしが届かない雲の彼方に
不思議も無く厳かに構える
日のことを詳しく説明して下さいな
手を取り優しくそう補える前に

あたしが足の指五本 踵一個
不思議も無く此処にへばりつける
此のことを詳しく説明して下さいな
唇ばかりをそう見つめる前に

[シドと白昼夢]

昔 描いた夢で あたしは別の人間で
ジャニス・イアンを自らと思い込んでいた
現実には本物が居ると理解っていた

此処の所描く夢の あたしはあたしだから
欲望も何も区別がつかなくなっていた
現実でもほとんど不確かだ

あなたの髪を切らなきゃ
真っ黒な其の眼があたしの眼に光を射てば呼吸が出来る
いまは還らない影など全く厭だけれど
あなたには殺されても良いわ

手錠をされたままであたしに跪いた
独り切りじゃ泣いてばかりになる為
誰かにそっと寄り掛かるのであろう

あなたはあたしじゃなくちゃ
真っ白なほっぺたに透き通る小さな雨垂れを落としてしまう
でも泣かないで 今すぐ鍵を開けてあげる
あなたには全て許しちゃうわ

[ストイシズム]
作詞作曲:椎名林檎

あなた
きれい
すてき
きらい
つよい
よわい

[すべりだい]

あなたが八度七分の声を使うときは
必ずあたしに後ろめたいことがあるとき

汗ばんだって恥らったって
理由もなく触れたがったりした
凍えたって甘えたって
只の刹那に変わった二人

その時全て流れ落ちた
冷たい秋はたった二度目でも
砂場の砂も気持ちも全部
二人の手で滑り落とした

あなたが脈絡も無くキスをくれるときは
必ずあたしの機嫌を損ねた様なとき

その時全て壊れ落ちた
激しい雨には慣れていたけど
お得意の嘘や詮索ごっこが
最後の遊びへ導いていた

このところ悔やんでばかり居る
口には決して出せないけど
今のあたしだったらあなたと
退らずに済む様な気がする
許されるなら本当はせめて
すぐにでも泣き喚きたいけど
こだわっていると思われない様に
右眼で滑り台を見送って
記憶が薄れるのを待っている

[正しい街]

あの日飛び出した此の街と君が正しかったのにね

不愉快な笑みを向け長い沈黙の後態度を更に悪くしたら
冷たいアスファルトに額を擦らせて期待はずれのあたしを攻めた
君が周りを無くした
あたしはそれを無視した
さよならを告げたあの日の唇が一年後
どういう気持ちでいまあたしにキスをしてくれたのかな

短い嘘を繋げ赤いものに替えて疎外されゆく本音を伏せた
足らない言葉よりも近い距離を好み理解出来ていた様に思うが
君に涙を教えた
あたしはそれも無視した
可愛いひとなら捨てる程居るなんて云うくせに
どうして未だに君の横には誰一人居ないのかな

なんて大それたことを夢見てしまったんだろう
あんな傲慢な類の愛を押し付けたり
都会では冬の匂いも正しくない
百道浜も君も室見川もない

もう我が儘など云えないことは分かっているから
明日の空港に最後でも来てなんてとても云えない
忠告は全ていま罰として現実になった

あの日飛び出した此の街と君が正しかったのにね

[月に負け犬]

好きな人や物が多過ぎて
見放されてしまいそうだ
虚勢を張る気は無いのだけれど
取分け怖いこと等ない
此の河は絶えず流れゆき
一つでも浮かべてはならない
花などが在るだろうか
無い筈だ 僕を認めてよ

明日 くたばるかも知れない
だから今すぐ振り絞る
只 伝わるものならば
僕に後悔はない

何時も身体を冷やし続けて
無言の季節に立ち竦む
浴びせる罵倒に耳を澄まし
数字ばかりの世に埋まる
上手いこと橋を渡れども
行く先の似た様な途(みち)を
未だ走り続けている
其れだけの 僕を許してよ

逢いたい人に逢うこともない
だから手の中の全てを
選べない 日の出よりも先に
僕が空に投げよう

吐く息が熱くなってゆく

明日 くたばるかも知れない
だから今すぐ振り絞る
只 伝わるものならば
僕に後悔はない

逢いたい人に逢うこともない
だから手の中の全てを
選べない 日の出よりも先に
僕が空に投げよう

[積木遊び]

あなたはいつもそうやって丸い四角を選ぶ
あたしも特に気にせず 三角をのせてしまう

嗚呼 しくじった しくじった まただわ
 YOU KNOW HOW MUCH I CARE IT.
嗚呼 やられたり やられたり ようやく
 愛妻 某ジャクソン夫人

あなたはいつもそうやって長い間悩んで
あたしを上手く丸める全くの積木くろうと

嗚呼 しくじった しくじった まただわ
 YOU KNOW HOW MUCH I LOVE IT.
嗚呼 くやしけり くやしけり ようやく
 友好 傍若孫婦人

  ののしるなんぢ飽かずやあらむ
  輒ち お相手つかまつりませう
  I REALLY REALLY DO

[罪と罰]

頬を刺す朝の山手通り
煙草の空き箱を捨てる
今日もまた足の踏み場は無い
小部屋が孤独を甘やかす
「不穏な悲鳴を愛さないで
未来等 見ないで
確信できる 現在だけ 重ねて
あたしの名前をちゃんと呼んで
身体を触って
必要なのは 是だけ 認めて」
愛している―独り泣き喚いて
夜道を弄れど虚しい
改札の安蛍光灯は
貴方の影すら落とさない
歪んだ無常の遠き日もセヴンスターの香り
味わう如く季節を呼び起こす
あたしが望んだこと自体 矛盾を優に超えて
一番愛しい貴方の声迄 掠れさせて居たのだろう
静寂を破るドイツ車とパトカー
サイレン
爆音
現実界
或る浮遊

[東京の女]

おばかさんなの私
あの日別れた人
今夜も逢えそな気がして
ひとり待つ待つ 銀座よ

悪い人でもいいの
つらくされてもいい
愛してもう一度 私を
霧に泣く泣く 赤坂

夢で終った恋を
今も探してるの
あなたがいないまま灯りが
消えてゆくゆく 青山

恋を失くした日から
影もうすいみたい
ひとりで踊ってもはかない
夢が散る散る 新宿

どこに行ったらいいの
夜が更けゆく街
私のため息が流れて
霧になるなる 東京

[時が暴走する]

デジタルの示す文字があたしを疲れさせる
髪も濡れたまゝ震えて居るのに
開け放たれた窓は何を期待しているの

受話器は沈黙を破ってはくれない

何度も空耳のベルが鳴り身体を起こすけど
無神経に朝は訪れる
時が暴走する

開け放たれた窓を閉めつつ外を覗く

受話器は沈黙を破ってはくれない

何度もうとうとと船に乗り悪夢に魘される
許可無く月が白くなる
時が暴走する

何度もぐるぐる同じことが頭を巡るけど
無神経に朝は訪れる
時が暴走する

[病床パブリック]

ドイツ色のタクシーなら
新橋目指す 外苑東
レスポールは 絶対 黒
対向車線 快感ジャガー

巧妙 自制 白血球
片や妄想に生命を揺らし
消化した筈の汚物まで
戻して失う

噛んだ爪を吐いて捨てた
四丁目は呑気過ぎる
感情共 燃焼さす
Y染色 減少気味

頽廃 裸体 安全圏
既にもう女として生まれた才能は
発揮しているのだけど
脱がせて欲しい

巧妙 自制 白血球
片や妄想に生命を揺らし
消化した筈の汚物まで
戻して失う

倦怠 虚勢 優等生

変わらないかな

[弁解ドビュッシー]

言いたいことを探し疲れて結果
無駄口吐いてばかり
どうせあたしの人生
語呂合わせなんだもん
どうして価値に理由を付けて
ポーズを執らされているのかな
だって淀んだ水が薫るピアノなんだもん

あんたは仕様が無いと云うし
現実にあたしも判らぬ
泣いて惑う位なら
もう 全部無かったことにしよう

甲斐性が無く向かい風のみ専門に出来る
雄じゃなくちゃ
どうせあたしの人生
語呂合わせなんだもん
チョーキングだけに支配されて変化する
莫迦な女で宜し
云々で誤魔化して好い加減に飛んで居たい

何でも買ってあげるから
買えるだなんて巳(や)めなさい
真の慈愛等恐らく
最初から欲しくなかった

本当は全部大事である
本当は全部ラピッシュであろう
本当は全部真理である
本当は全部トリックであろう

[本能]

どうして 歴史の上に言葉が生まれたのか
太陽 酸素 海 風
もう充分だった筈でしょう

寂しいのはお互い様で
正しく舐め合う傷は誰も何も 咎められない
紐 解いて 生命に 擬う

気紛れを 許して
今更なんて思わずに急かしてよ
もっと中迄入って
あたしの衝動を 突き動かしてよ

全部どうでもいいと云っていたい様な月の灯
劣等感 カテゴライズ
そういうの 忘れてみましょう

終わりにはどうせ独りだし
此の際虚の真実を押し通して絶えてゆくのが良い
鋭い其の目線が 好き

約束は 要らないわ
果たされないことなど 大嫌いなの
ずっと繋がれて 居たいわ
朝が来ない窓辺を 求めているの

[丸ノ内サディスティック]

報酬は入社後並行線で
東京は愛せど何にも無い

 リッケン620頂戴
 19万も持って居ない 御茶の水

マーシャルの匂いで飛んじゃって大変さ
毎晩絶頂に達して居るだけ
ラット1つを商売道具にしているさ
そしたらベンジーが肺に映ってトリップ

最近は銀座で警官ごっこ
国境は越えても盛者必衰

 領収書を書いて頂戴
 税理士なんて就いて居ない 後楽園

将来僧に成って結婚して欲しい
毎晩寝具で遊戯するだけ
ピザ屋の彼女になってみたい
そしたらベンジー、あたしをグレッチで殴って

 青 噛んで熟って頂戴
 終電で帰るってば 池袋

[眩暈]

あたしがこんなメロディを口ずさむのはさてどうしてでしょう?
ねぇ、じっくり考えてみて
あたしがこんな言葉を口走るのはさてどうしてでしょう?
ねぇ、ちょっぴり考えてみて

何処迄 堕ちて行っちゃうの
此の身体は
灰色に遠くなる遠くなる空

其の日は確かに地面が音も立てず
あたしの歩みを妨げ揺れて居た

あたしがこんな涙を流して居るのはさてどうしてでしょう?
ねぇ、さっぱり考えてみて

何処迄 堕ちて行っちゃうの
此の身体は
灰色に遠くなる遠くなる空

其の日は確かに地面が容赦すらせず
車の暴走を受け入れ騒いで居た

[モルヒネ]

家にはひとりで帰ります
あたしには鳥が4羽ついてるので
家には納豆が有ります
あたしにはグリコゲンがあるし 驚きなのは地下鉄のレール

素敵な貴方をたたえます
あたしにはとりえなんて無いですので
素敵な赤色のボトムス
あたしには少し似合わないし 驚きなのは空色のカーテン

あたしの脳のなかで麻薬物質は
とめどなくとめどなく排出されゆき
あたしはひたすら、だ液を吐き捨てる
密やかな密やかな行為に専念していました

あたしの頬が赤く染まりゆく中で
高らかな高らかな貴方の声を聞き
あたしはひたすら目をつぶって昔の
密やかな密やかな夢を見続け
あたしの脳のなかで麻薬物質は
とめどなくとめどなく排出されゆき
あたしはひたすら、だ液を吐き捨てる
密やかな密やかな行為に専念していました

[闇に降る雨]

余りの暑さに目を醒まし
さっき迄見ていた夢の中
東西線はあたしを乗せても
新宿に降ろしてくれなくて
辿り着けない
此処に欲しい腕や髪や首筋
貴方の嫌う生温い雨に濡らされてゆく

貴方に降り注ぐものが譬え
雨だろうが運命だろうが
許すことなど出来る訳がない
此の手で必ず守る
側に置いていて

天気予報が外れてばかりの
毎日が見させた嘘の闇
高揚も時めきも溜め息も消耗し
やがて失くなりそうで
招きたくない
空々しい土の香や向日葵の
すぐにお迎う馨(かぐわ)しい
絵画と化する日など

貴方を知り尽くすことが譬え
可能だろうが不可能だろうが
満たされる日が来る筈もない
身体が生きている限り
側に置いていて

貴方に身を委(まか)すことが譬え
危険だろうが安全だろうが
留め金など在る筈もない
全て惜しみなく挙げる
貴方に降り注ぐものが譬え
雨だろうが運命だろうが
許すことなど出来る訳ない
此の手で必ず守る
側に側に置いていて

[浴室]

新宿のカメラ屋さんの階段を降りた茶店は
ジッポの油とクリーム あんたの台詞が香った
云ったでしょ? 「俺を殺して」

今日は特別に笑ってばかりのあたしは丁度
さっき一度夢で死んだあんたを仕方なく愛す
どうか 見捨てたりしないで

洗って 切って 水の中
呼吸器官は冒される
あたしが完全に乾くのいまきちんと見届けて
磨いて 裂いて 水の中
無重力に委される
あたしが完全に溶けたら
すぐきちんと召し上がれ

あんたが目の前で
絶えて嗚咽を止められなかった
何だか浮世の全て
恋しくて堪らなかった
あんな夢を見させないで

甘い匂いに汚された
御留守になっていた守備部隊
あたしが完全に乾くのいまきちんと見届けて
赤い嘘に汚された
自分で吐いて傷を見た
あたしが完全に溶けたら
すぐきちんと召し上がれ

云ったでしょ?「俺を殺して」

洗って 切って 水の中
呼吸器官は冒される
あたしが完全に乾くのいまきちんと見届けて
磨いて 裂いて 水の中
無重力に委される
あたしが完全に溶けたら
すぐきちんと召し上がれ

退屈なんか怖れていない
どうして二人は出逢った?

[リモートコントローラー]

あんなにも大切だったブラウスも
こんなにも可愛らしい帽子すら
床に散らばって居る
一人で呟く「汚いな」

そんなにも大変な顔で見ないでよ
こんなにもやり切れない気持ちすら
窓に貼りついて居る
一人で呟く「危ないな」

あたしのリモコンは何処?
あの日のカツァリスをいま
あたしはひたすらに只求め続けるのに

どんなにも考えたって見つからない
こんなにもリフレインがしつこくも
耳を支配したがる
一人で呟く「騒さいな」

あたしのリモコンは何処?
アコギのイントロをいま
あたしはひたすらに只求め続けるのに

[輪廻ハイライト]

愛に罵倒 夕日で皺
ツアー位逢わず 没頭左派

「吾ハ駝鳥捕ヘツ・・・」
そう云う敵がデトロイト2ラヴァー
油捨てライター誘惑
そっくり編む女子多忙
鬼よ無心

さあ 耐えざる理に十円大
跋語なる"ミ" "ファ"
美肌辛い

飛び利売を問う柳眉
仏徒寝坊
受難バッハどう?タイプ?

・・・廃忘・・・

I never thought, you thought this wayat 2 o'clock,
I was born to suffer what would that try to sayyou take it
'cause I try to love her you step right and you are so clear
I'm just a voice on your machine so it finds I believe me with
youand I found to go and left me far behind I try to believe you,
oughta leave youbut you never, you never you never have the time
for me