主任




 猫目から「そろそろ更新しろ」と催促された。
 仕方ないな

 たまには目先を変えた話だ

 これはツレから聞いた話

 そいつが働いているのは『ニューキラク』というビアホール。ここら辺じゃあ、ちっとは名の通った老舗。金曜の夜、ともなれば、客でごった返すくらいは日常茶飯事。そんな店で起こったことだ。

 二人連れのお客さんが来て、最初の料理を食べ終え、さて、次のオーダーという時だ、バイトが「御注文は?」と聞くと、
「ああ、それじゃ、生をもう2つと、ソーセージ、フライドポテト、オニオンサラダ、あと、チーフを」とのこと

 厨房に戻ったバイト君、オーダーそっちのけでチーフコックのもとへ

「チーフ、お客さんが呼んでます!」

 チーフコックの村岡氏、これは大変、何か料理に文句でもあるのかと、滅多にかぶらないコック帽までかぶって、多少緊張しつつ、その客の前に急いだ

 

「お待たせいたしました。私がチーフコックの村岡ですが、何がございましたか?」

 と、にこやかに言ったところ、何やら客の様子がおかしい
 ぽかん、としている

 村岡氏も何だかわけがわからないところに、客がようやく口を開いた

           ・・・・
「・・・あの、私たち、チーズを、って頼んだんですけども・・・」




「刈和ーー!!!」



 その夜、『ニューキラク』にチーフの叫びが響いた、とか

 嘘のような、ホントの話




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