あーちすと



 いよいよ年の瀬も押し迫ってきた感がある。
 が、今年は、全く「年末」という感じがしない。
 今日はただの水曜日でしかない。

 それはそうとして、俺は「アーティスト」という言葉が好きではない。
 その言葉を喜んで使うやつも、使われて喜んでいるやつも許せない。

 アーティスト、という言葉を辞書で調べてみた。

 アーチスト:芸術家。特に、美術家・演奏家。アーティスト。
 [岩波国語辞典第五版]

 artist:《名》[C]
 1 a 芸術家. b 美術家; (特に)画家.
 2 (その道の)達人, 名人 〔at, in〕.
 3 =artiste.
 [研究社新英和中辞典第6版]

 artiste:《名》[C] 芸能人 (俳優・歌手・ダンサー,
 時には理髪師・料理人などの自称で, ややもったいぶった感じを人に与える
 ; 呼称として用いることもある.
 &フランス語 `artist' の意'
 [研究社新英和中辞典第6版]

 なるほど、最後の使い方が興味深いね。
 飽くまで「自称」なわけだ。

 結局、そこら辺で歌を歌ったり、絵を描いたりしているやつが
「芸術家」とは片腹痛い。
 芸術、なんてものは、生きているうちに評価されるものではないし、
 そんなものは芸術とは言わん。
 没後30年以上を経てから「偉大なる芸術家」と賞賛すべきだろ?

 アート、という言葉自体、和製英語に属するものだと感じる。
 芸術って、何だ?
 大衆歌か?
 漫画やイラストか?
「芸術」って褒め言葉なのか?

 まぁ、これは俺の捉え方によるものだとは思うが、
 あーちすと、という単語、「せいじや」の次くらいに胡散臭い気がする。

「ご職業は?」と尋ねられて、
アーティストです!」と答える馬鹿もおるまい。

 歌を歌うやつは「歌手」。
 絵描きは「画家」。
 それじゃいけないのかね。




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