『相談役』




 これは、麻雀をしたことのない人にはわからないかもしれないな
 そんな人は、遠慮なくこのページを飛ばしてくれ

 以前、インターネット麻雀『東風荘』で打ったときのことだ
 この『東風荘』のシステムは、簡単に言うとチャットを交えた
 ネット上での麻雀、だろうか
 ここの利点は、面子の心配がいらない、ということだろう
 日本全国、麻雀好きの暇人は自分のほかにも3人はいる
 ってことだな

 そんな感じだから、当然、相手の顔は見えないし
 声だって聞こえない
 わかっているのはハンドルネームと発する文字列だけ

 そんなところで、ある日、俺が打ったわけだ
 相手は全員初対面
「よろしく」ではじめるのは礼儀だ

 打ち始めた東一局、俺は北家
 親のリーチが入っている状況下
 牌の残りはあと3枚、というところで
 俺は手元の二ゾーをカンした

 その瞬間だ

「なにカンしてんだ、へたくそ」

 対面の『相談役』とかいうやつの一言だ

 キレた
 いや、キレそうになったね、数年ぶりに

 結局、その局は流れ、誰もあがれずに終わったが
 その一言は画面上に残る

 とりあえず、俺は次のように尋ねてみた

「だれにもの言ってる?」

「おめーだよ」

 即座の返答 by『相談役』

 もう、ダメだね、これは

 その後は、「そいつからだけあがり続けてトップを取る」を
 目標にして打った
 久しぶりに俺をマジにしてくれた礼だと思って、丁重に打った
 
 かくして、そいつだけから、というのは無理だったものの
 なるべくの狙い打ちの末、トップをゲット
 当然、『相談役』はラス

 ゲーム終了後の得点&順位表示画面にて
 そいつがまだ残っているのを確認しての俺の一言

「へたくそ」

 言って(いや、打って)やったね

 多分、俺がもう少しだけ若かったりしたら
 最初の瞬間に回線を断ち切ったり
 チャット画面上で口論などを始めていたりしていたんだろうけど
 幸いなことにそうはならずにすみ
 なおかつ、自分としては理想の処理法だったように思える

 そこで結論だ

 相手の身になって考える想像力を欠いたものが多い
(いや、時折見かける、くらいにしておくか)

 上記の『相談役』は極端な例だろうが
 自分がこういった行動を取った結果
 あるいは、こういった発言を行った結果
 相手はどのように感じるかくらいの
 想像力も持てないやつなど現代人ではない
 
 猿以下だ

 そんな最低限の常識がわかっているのならば
 自分の取るべき行動、というのは
 自然に決まってこよう

 自分を貫く、というのは、確かに大事なことかもしれない
 だが、他人の感情を害してまで行うそれはただの愚行に過ぎない

 孔子も言っている

『己の欲せざるところ 人に施すことなかれ』
 (=自分のして欲しくないことは人にするなってことだ)

 常識だね


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(おそらく、もう少し若い頃の俺だったら発言したであろう『相談役』に対する文句 )

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