THE COMPLETE DECCA AUDITION

masterdisc MDCD005 


1 LIKE DREAMERS DO  2'29" 2'38" Paul
2 MONEY  2'18" 2'25" John
3 TO KNOW HER IS TO LOVE HER  2'30" 2'37" John
4 MEMPHIS  2'16" 2'22" John
5 TILL THERE WAS YOU  2'53" 3'01" Paul
6 SURE TO FALL  1'59" 2'04" Paul&John
7 BESAME MUCHO  2'35" 2'41" Paul
8 LOVE OF THE LOVED  1'48" 1'53" Paul
9 HELLO LITTLE GIRL  1'36" 1'41" John&Paul
10 THREE COOL CATS  2'19" 2'26" George
11 SEPTEMBER IN THE RAIN  1'50" 1'57" Paul
12 TAKE GOOD CARE OF MY BABY  2'22" 2'29" George
13 CRYING, WAITING, HOPING  1'59" 2'04" George
14 THE SHIEK OF ARABY  1'38" 1'43" George
15 SEARCHIN'  3'00" 3'05" Paul&John

右はYellow Dogの"Decca tapes Revised, Right Speed" (Ultimate Collection Box 1より) 収録の同曲の時間.
その右はメイン・ヴォーカル.Paulが多くの曲のメインをとっている.


<ライナー・ノーツ>

もしDecca Auditionなら.....

Decca Audition...このテープは、30年以上も前に録音された物である.現在でもミステリアスであり、真実が語られたことは一度もない.

我々はこのテープを注意深く聞き、元々の音質を正確に再現することに成功した.
よってこれは間違いなく、master discによる、priginal master recordingだ.

この録音については、多くのビートルズ愛好家によって議論の的となってきた.また、これはBrian Epsteinや他の人々が言ってきたことと多くの点で違いがある.これら15曲を聞いた我々について言えば、これら15曲は、場所・時間とも別々に録音されたものだと決定することができる.今まで、ビートルズは、EMIやBBCのために、2、3回のオーディションを受けたと言われてきた.しかしながら我々は、これらの事実から真実を知ることはできない.

しかし、オーディションはデッカによる1962年の1月1日だけで、後の録音はデビューのために作られたでもテープからだとするとどうだろうか?

にもかかわらず、この15曲は契約をもたらさなかった.最終的に、この15曲はデッカ・オーディションテープとして生き残ったのだ.これはピートベストの回顧とも一致する(注).明らかに、彼らは異なる複数の場所、もしくは時間に演奏をしたのだ.4月か6月のオーディションは、よく議論されるが、はじめからそうのようなものはなかったのかもしれない.これは単なる仮説に過ぎないが、この録音はそのような話を連想させる.

これは1月1日に行われた、セミプロによる、失敗のほとんどない優秀な演奏であり、この驚異的な録音は、
1962年の熱狂を唯一感じることのできるものである.

最後に、この音質を蘇らせることに自分を捧げてくれた全ての人に感謝します.この音が誤用されませんように.

注:調査中(訳者)



<レビュー>

デッカ・オーディションテープ.これはピッチ早めバージョンである.
関係者によると、これが当時本人達も聴いていたスピードということで、
あえてピッチ調整しなかったそうである.
ピート・ベスト本人所有のテープから入手したらしく、マスターテープに限りなく近く、
音質は問題無しの決定版である.これはここのCD全てに言えるのだが.

ここからが本題.マスターディスク関係者は、ライナーにも書いてあるように、
これは1962年のデッカ・オーディションのときに録音されたテープではないと
言っている.根拠をまとめると以下の通りである(GW no.48を参照した).
1)15曲は、実は音の違いにより、3または4つのグループに分けられる.
よってそれぞれ別のスタジオで録音された物であろう.
2)聴いたこともないグループのオーディションで15曲も演奏させるはずがない.
3)ミスの多いはずのジョージに、失敗がない(笑).
よって、レコード会社に売り込むために、何カ所かで録音されたデモ・テープというのが正解のはずである.

以上のことは、たしかに納得できる.これに対する反論は、マーク・ルイソンの全記録を根拠
にしているかもしれないが、これとてどれだけの証拠を有しているかは不明だ.
音を実際に聴いて判断した、関係者の方の意見は、非常に説得力がある.

実際の演奏は、これはもう素晴らしい.
特に、Hello Little Girlでのハーモニーは、今後の爆発を予感させる.
また、Money, Menphis Tenessieでのジョンや、Till There Was You, Besame Muchoでの
ポールのヴォーカルはとても魅力的だ.歌っている歌のせいかもしれないが、ポールの方が魅力的に聞こえる.
ジュージ・マーティンが、オーディションを聴いて、一瞬ポールをメインにしたグループを
作ろうと思ったというのも少し理解できる.もしそうなっていたら、歴史は変わっていただろう.
僕の予想だが、マーティンは、Hello Little GirlとSure to Fallのハモリを聴いて、メインヴォーカルを
作らない形にしようと思ったのではないか?
そのようなことを思いながら聴くのも愉しい.

 

(追加 99/8/20)
上の表に、Yellow Dogから出ているDecca Tapesのスピード修正版の時間も載せた.
1曲あたり、6、7秒ずつ長くなっているが、修正率を計算してみると、なんと曲ごとに
違う.ということは、単にテープスピードを遅くしただけではないのだ.
何を元にYellow Dogは修正版を作ったのであろうか?勘で行ったのか、それとも
曲か、ヴォーカルのキーを元に計算して決めたのか?興味あるところである.