マスター・ディスクは1993年に"Peter Sellers tape"と"Sessions"でデビューした、
日本の誇る海賊版業者である(笑).

特徴を述べると
・とにかく高音質.(デジタル処理している)
・ジャケットが素晴らしい.(コーティングされた厚紙)
・収録時間が短い.(だいたい40分以内.でも音が素晴らしいので許される)
・手に入りにくい.(初回版は限定番号入りで1000部プレスされたが、すぐ売り切れる.
もっとプレスしたら良いと思うが、それはしないらしい.なお、500枚売れたらベストセラーと
言われるこの業界で、1000枚売れるのは快挙ということだ)
・Vigotoneにコピー盤を作られる(笑).(まあ、そのころには手に入りにくくなっ
ているからマニアには喜ばれる.とはいえ、両方買う人も多いみたいだ(笑).
Sessionsなんかは豪華ブックレット付きでコピーされた)

ジャケット、CDの背には統一して"ORIGINAL MASTER RECORDING"と書かれており
(表ジャケは限定SESSIONSと通常版GET BACK以外)、これがまた良い.特に、棚に並べたときに、
この文字は存在感がある.これをまねしたCDもいくつか見かけるが、皆もバカではなく、
そういうCDは売れ残っている.このORIGINAL MASTER RECORDINGという言葉は、
元々のマスターテープからの収録を思わせ、非常に魅力的だ.
(Secret Songs in Pepperlandは本当にマスターテープからの収録)
実際はそうでないにしても、デジタル処理などを得て、その名に恥じない高音質を獲得している.
これはまさに「マスターディスクによる、独創的な録音」だ(笑).

組織としては、音源マスタリング担当の人を中心に、ジャケット担当、プレス担当、
販売担当と分業されていて、マニアに受け入れられるCD作りをめざしたそうである.
この音源担当の人もビートルズマニアということで、この商売っ気が薄く、品質重視
なところがまた受けたのだろう.とにかく彼等はワカッテいる!!

マスターディスクはアウトテイクにつよいYellow DogやVigotoneと少し異なり、
アセテートや、異ミックスなどに強いようであり、それは現在の、姉妹レーベルである
masterfractionに受け継がれている.但し、インタビューを読むと、このマスターディスクの
中心人物はmasterfractionには参加していないようだ.その辺がレーベル名を
変えている原因かもしれない.一応、マスターディスク名義でのリリースは一段落したようだが、
またすごい音源が入手できればリリースしたいとのこと.それを楽しみにしていたい.
あと、ほんの少しではあるが、タイトルによっては再プレスもされている.
頑張って探してみては如何だろう.

個人的にマスターディスクのBEST3を発表したい.

まずマスタリング部門
1 Peter Sellers Tape
2 Backyard Spool
3 Sessions

1位は、元々のテープがYellow DogのUnsurpassed masters vol.4と
同じだったことを考えると、この音質は驚異である.マスタリング技術の勝利.
2位のBackyard Spoolはボックスセットのボーナスディスクなので、本来は番外だが、
なんせprimal colours収録のアセテートの音質向上にビックリした.マスターリール
からの収録と雑誌のレビューに書いてあったが、僕はこれはリマスタリングの成果と
考える.もしマスターリールからなら、同時に他の音源も出ていいはずだからである.
これについては僕の推論にすぎないので乞情報.
3位は、それまであった、Disc du mondeのSessionsもなかなか良い音質だと思って
いたが、それを越えるダイナミクスを獲得した決定版.Vigotoneがコピーしたのもう
なずける(笑).

音源部門
1 Secret Songs in Pepperland
2 Atlanta '65
3 Primal Colours

ここでは、どれだけ新音源を含んでいるかに注目した.
1位は文句なし.2位はShe's A Womanでポールの弦が切れたのが新音源確定のポイント.
3位はホワイトアルバム関連のアセテート収録.

ジャケット部門
1 Secret Songs in Pepperland
2 Deffinitive The Beatles 1966 Collection
3 Apple Corps Rooftop Concert

1位は表もさることながら、EMI TAPEボックスの写真、裏にはアニメの
コマ送りまで載せて盛りだくさんの内容.
2位のBeatles in Japanは、日本公演パンフをもとにしたもので、
このジャケットだけで、数ある日本公演CDではベストである.

ということで、堂々の総合1位は
Secret Songs in Pepperland
となりました.拍手.