店員のテクニック


商品スキャン
 POS機では、殆どの商品をバーコードをスキャンする事によってレジに登録するが、ハンドスキャナ(手に持つタイプのスキャナ)のタイプは一般にそのスキャン面よりも焦点が遠い事が多い。その為、スキャン面にバーコードを密着させてしまうとかえって読み取れない事も多い。
 そこで、スキャン面の上か下をバーコードに対して少し浮かせるような感じで斜めに当てるようにすると、スキャン面からバーコードまでの距離が近い所から遠い所まで一度に作れるので、読み取り易くなる。(螢)

レジ打ち
 レジ打ちは何と言っても、基本に忠実なのが一番速くて確実だ。大抵は「5」キーがホームポジションになっている(キーにホームポジションマークがある)ので、ここに右手中指の先を置いておくようにする。そして、「1」、「4」、「7」キーを人差し指、「2」、「5」、「8」キーを中指、「3」、「6」、「9」キーを薬指で打つようにする。これはテンキーの打ち方と同じなので、普段パソコン等のキーを打っている人には問題無いだろう。「0」、キーは親指、「00」キーは薬指で打つことが多いが、これは状況によって変わることも多い。例えば、1000と打つ場合は、「1」、「0」と人差し指で打った後に「00」キーを薬指で打ったほうが速くて正確な人もいるので、その人の打ち方次第という事になる。いずれにせよ、ここまでのキーならブラインドタッチ(キーボードを見ないで打つ事)が出来る事が第一条件になる。
 「万券」キーは必ずしも使う必要は無いが、後に続く千以下の数に関係無く入力が出来るので、使えるようになっておくと便利だ。ただ、12030と打つ場合等、万券キーを使わない方が速かったりするので、必ずしもどちらが速いとも言えない。いずれにせよ、どっちで打つかを考えていたりする方が遅くなるので、反射的に打てるようにならなければいけない。
 一部のレジでは「000」キーという物もある。これも使えるようになっておくと便利なのだが、実際には「0」、「00」を続けて打つのに比べて殆ど速さは変わらないので、無理に使う必要は無い。
 一般にPOS機はバーコードをスキャンした後、一定時間は同一コードをスキャン出来ないようになっている。これはチャタリング(同一コードの複数回読み込みによる誤作動)を防ぐ為の仕様なのだが、古いPOS機では、この時間中は特定のキーボードの入力を受け付けないようになっている物もあるので、注意が必要だ。(螢)

釣り銭出し
 釣り銭出しの内、紙幣を出す場合は事前の準備が重要になる。千円札を1〜4枚出す場合は慣れてしまえば1枚ずつ連続で取り出すほうが速くて正確だが、7〜9枚ぐらいになると話は別だ。この場合はあらかじめ10枚の束を作っておき、そこから抜くという方が速くて正確だ。とはいえ、いずれの場合にも一回取り出した紙幣の枚数を、もう一度確かめる事が必要だ。
 紙幣の向き(表裏、上下)は揃えておいた方が良い。紙の目の問題で滑りが比較的安定するし、紙幣の模様が揃うので数え間違いが少なくなるからだ。一般に紙幣は表を向けて揃えるが、上下の向きは好みによる。私個人としては紙幣の上がレジの右側に来るように揃えるのを勧めたい(大した理由は無いが……)。10枚で束を作るときは10枚重ねたその一番上か下の紙幣を右手で取り、そのまま親指を軸にして折り畳むようにしながら帯とする。前出の揃え方をしていれば、自分から見て鶴が逆さになった格好で帯になるはずだ。帯にした紙幣は束の手前半分に巻いておく。こうしないと、取り出すときに帯に指が掛からずにばらけてしまう事があるからだ。
 紙幣の数え方自体は色々有るが、速くて正確な方法を使うに越した事はない。何種類かの方法で数えられるようになっているとなお良いだろう。一般的な方法は、左手の小指と薬指の間に手の平側から重ねた紙幣の方端を挟み、その紙幣を反らせて反対側の端の左側を左手の人差し指と親指、右側を右手の人差し指と親指で挟み持ち、左手親指の押さえを緩める(もしくは紙幣を送る)と同時に、右手親指で一番上の紙幣も滑り出させて左手親指の押さえから外すようにして、その紙幣の反発力を利用して手前側に弾くようにして数えるという方法だろう。これ(もしくは似た方法)で一回数え、折り返してもう一度確かめるという方法が、一般的に多く使われているだろう(でも、私は違う方法を使っているのだが……)。
 硬貨を取り出す場合は、釣り銭が単一種類の硬貨のみの場合を除いて、両手で別々の種類の硬貨を取り出せることが望ましい。これが出来ると、2種類の硬貨までの釣り銭なら一瞬で揃える事が出来るし、そうでない場合でも最初の2種類までは素早く揃えられるので、かなり釣り銭出しが速くなるはずだ。
 各種類1枚なら問題無いが、2枚以上取り出す場合はそれなりの技術が必要になる。2枚の場合は、人差し指と中指をやや広げ加減で硬貨ピットに差し入れ、そのままそれぞれの指の腹で1枚ずつ硬貨を掬い取り、最後に親指を添えて掴み取るようにすると、ほぼ確実に取る事が出来る。
 3枚以上を取る場合には、かなりの慣れが必要だし確実に取るのは難しい。人差し指と親指で少し多めに取るぐらいのつもりで掴むのがコツだ。実際に多く取ってしまった場合は、そこから弾き落とすようにしてピットへと戻すようにする。慣れるにつれて、3〜4枚でもかなりの確率で丁度の数を拾えるようになるはずだ。
 紙幣と硬貨が混ざっているお釣りの場合は、それぞれを別々に渡した方が良い場合も多い。その場合、「お先に〜千円」「お後、〜円のお返しです」となる訳だ。紙幣か硬貨のどちらかが少ない場合は、まとめて渡してしまっても良いのだが、特に客の財布が札入れ(紙幣と小銭の入れる場所が別になっている財布)の場合は、別々に渡した方が良いし速い場合も多い。(螢)

預り金入れ
 大原則として、会計が終了するまで預り金はカウンターの上に置いておくかレジのクリップに止めておく(紙幣の場合)ようにして、決してレジに入れない事だ。これは会計ミスを防ぐために重要な事だ。カウンターの上に預り金を置いておき、釣り銭を出す時にももう一度確認するように心がけておくのだ。
 よく手渡しで預り金を渡す客がいるが、硬貨が多い場合等は一度カウンター上に置いて確認した方が良い。手の上では数枚以上の硬貨の確認はかなり遅くなってしまうし、間違いも増える。
 会計が終了したら紙幣、硬貨の順にレジ内に納める。硬貨が多い場合は、片手でカウンター上からもう片方の手の平の上に落とし込むようにして集めるが、この時、一度に集めるのは1〜2種類程度にしておき、集める度にピットへと納める方が良い。全部まとめるように集めて、それからピットに振り分けていたのではかえって遅くなってしまう。また、カウンターの縁が少し高くなっているような作りの場合、硬貨を集める際にそれによって跳ねて落とさないように注意しよう。
 ピット内の硬貨が多くなると取り出し辛くなるので、硬貨が増えてきたらコインカウンター等で50枚を数えてポリ袋等に入れ、空気を良く抜いて口を縛り、余った部分を切り落とし、レジ内の別の場所(普通は左奥の予備硬貨置き)に置いておく。50枚以外の半端な枚数でまとめるのは間違いの元なので、まとめるときは必ず50枚で行うようにしよう。(螢)

硬貨束割り
 銀行から下ろしてきた状態の硬貨は、普通フィルムか紙に包まれた円筒状の50枚束になっている。
 釣り銭の硬貨が足りなくなってきて、ポリ袋詰めしてある硬貨も無い場合にはこれを開けるのだが、迅速に開けるためにカウンターの角に当てて筒を折るようにする。筒の片方の端を握って中央辺りをカウンターの角に当てる訳だが、この時、人差し指だけは伸ばして筒に添えておくと良い。勢い良く折れて中の硬貨が飛び散るのを防ぐためだ。
 但し、一円玉だけはこの方法で開けない方が良い。硬貨が軽くて筒が折れにくい上に、アルミ製で比較的柔らかいために硬貨が歪んだりする事があるからだ。一円玉の場合だけは、素直に鋏やカッター等で傷を付けてから折った方が良いだろう。(螢)

袋詰め
 コンビニエンスストアには少なくとも数種類の包装用袋が置いてある。ビニール袋は8、12、25、45号(数が大きいほど容量が大きい)および、弁当用袋大、小は大抵どんな店でも置いてあるし、店によっては20号、35号、70号、あるいは瓶用の細長い袋各種とかも置いてある。この他に、紙袋(大、小:コンドームや生理用品等の内包装に良く使われる)、手提げ袋(進物用)、ポリ袋(生鮮水物用)等もある。
 この中で最も良く使うのはビニール袋だが、最近は炭酸カルシウム入りの袋になってしまった所が多く、開けにくくなってしまった。慣れない店員が意外と戸惑うのがどれぐらいの買上品に対してどの袋を使えば良いかだろう。おおよその目安としては以下の通りになるだろう。
 350mlの缶ジュースか500mlペットボトル3本程度までなら8号に十分に入る。
 1lパック等は8号でも入るが、12号に入れた方が持ち易い。12号の底の広さは、食パン一斤と1lパックぐらいだと覚えておくと良い。
 20号の底の広さは12号と殆ど同じだが、袋の背が高く、1.5〜2lのPETボトルや雑誌を入れるのに良く使われる。
 25号だと、4ロールパックのトイレットペーパーがかなり余裕を持って入る。
 35号以上はもはや慣れの世界だが、これに限らず、急ぐ必要がある場合や使う袋の判断が難しい場合は、やや大き目の袋を使うようにした方が良いだろう。とは言っても、実際には大き過ぎる袋に入れると、持ちにくかったり中で買上品が遊んでしまって破損したりする原因になるのだが……。(螢)

段ボール抜き
 コンビニエンスストアの店員は、菓子や加工食品等の搬入で段ボール箱を扱う機会が多いが、用済みの箱は邪魔なので降り畳むことになる。しかし、いちいち箱の底を剥したり止めてあるクラフトテープを切って開いていたりしては遅いし危険(段ボールを開くとき、手を切り易いのだ)だ。そこで、箱の底を殴って開ける方法を使う。
 拳を握り、その小指側(空手で言う「拳槌」の要領)で箱の底の中央を殴る。大抵の箱はこれで底が開くはずだ。但し、力を入れ過ぎて箱の向こう側(笑)を殴ってしまわないように注意しよう。また、底を金具止めしてある箱は危険なので、この方法は使わないように。フィルムテープで止めてある場合は開けにくいので、素直に鋏やカッターで切れ目を入れて手で開いたほうが良い。(螢)

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