転職失敗記その11

CG検定とマルチメディア検定

A校に行っていたとき、人材開発担当の人が何度も言っていた。
「とにかく資格!CG関係は、CG検定とマルチメディア検定、画像処理検定を 持っていれば就職に有利」
A校での模擬試験もいい成績だったので、私はZ市でCG検定とマルチメディア 検定を受験することにした。東京在住だったら、A校も会場となっていたので 学校の皆と一緒に受験できたのだが、仕方がない。

受験申込の冊子が面白い。まるで、怪しいペンダントやキーホルダーの広告の様に、
「この資格をとって、私はこんなに役に立ちました!」
「転職できました!」
「業務で役立ち昇進しました!」

など、顔写真とコメントが載っている。 ペンダントやキーホルダーの広告と同じように、鵜呑みにしてはいけないと思うが、経験もない 人脈もない転職希望者としては、こういう謳い文句に、ついフラフラとしてしまうのだろう。 申し込んだときはまだ就職が決まっておらず、私もすくなからず そういった気持ちがあったかもしれない。

受験日は、就職して一月ほどたったころだったと思う。
A校で使っていた教科書を復習し、時間に余裕をもって会場へ。 しかし、いくら探しても受験の教室はみあたらない。 しばらくして、会場の電子系専門学校、K校を別の専門学校と勘違いしていた ことがわかる。
あわててK校に向かい、机についたときは 試験開始から15分経っていた。

幸いにも、SEをやっていた知識と、仕事で使い始めた3DCGソフトの知識が 役に立ち、遅れていっても余裕だった。
昼休みに入ると、周りの若者達は友達同志が多いのか、仲良く談笑していた。 どうも受験しているのは、ほとんどがK校の生徒のようだ。教室の掲示などを見て喋っていた。

午後の試験が始まる。 ここからだ、生徒達がうるさくなってきたのは。
併願の関係上、(CG+マルチメディア、CGのみ、CG+画像処理、など、) 同じ階の違う教室では、別の科目が行われ、試験終了時間もまちまちだった。
すると、自分たちより先に試験が終わった若者たちが、廊下に出て友達たちと 喋る、笑う、叫ぶ、
…な、なにこれ。
ほかの教室では試験やってるの、わからないの?
私は大丈夫だったが、 この騒音で イライラして、問題が手に付かなくなった人もいたのではないだろうか。

そのうち、
ガラガラ…
「うるさいっ!!!静かにしろ!他の教室は試験中だっっ! 試験がおわったら静かにしているか別な場所に行きなさい!」
試験官をやっていたと思われる、K校の先生の怒号が廊下に響いた。
口調からして、やはり、騒いでいた連中はK校の生徒のようだ。 先生に怒鳴られ、一瞬静まる廊下。
しかし、しばらくすると、ふたたびガヤガヤ し始め、とうとう治まることはなかった。

なんだか見覚えのある光景…そうだ、まるで、全校集会をする中学生だ。 先生の言うことをきかず、がやがや、うるさくって、大声で注意され… この生徒達、二十くらいのはずなのに、まだ中学生レベル?
こんな人たちが受験するような資格が、転職に有利な資格だなんて、 ちょっと信じられない。

後日、合格通知が来たが、CG関係の試験ってこの程度のものなのだろうか。
日本人は肩書きに弱い。履歴書に書く項目が増えたのは、喜ぶべきなのだろう。

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