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その14 そして現在…ITの時代

 長い間おつきあいありがとうございました。 こんどこそ、最終回です。

 読んだ方の半数位の方は、「sleeping catって馬鹿じゃないか!」と思ったのではないでしょうか。
「T社でもっとがんばれば、E社でこんな嫌な目には合わなかったのに」
「T社の何が不満なんだ。いい会社じゃないか。 これぐらいどこの会社でもあることだし、それを我慢するのが 大人ってものだろう」
と、思われることでしょう。そうかもしれませんが、「私は」我慢できなかったんです。

  それに、今ITが大騒ぎです。 私が自力で勉強したUNIXと、システム3課での仕事は、まさにIT関係でした。 不思議なものです。
「そのままT社にいたら、まさしく今頃役に経っていたのでは?」 という意見もあるでしょう。
  が、以前私にUNIXを教えてくれた堺君。 いまだに堺君とは交流があるので、いろいろT社のことを教えてくれます。 ITの時代に、IT技術を持つ彼はどうなったか。

 社内に他に技術のある人が少なく、社内教育ではなかなか育たないので、 彼はいつも、いろいろな部署から引っ張りだこ。 商談対応から、実作業、駄目社員のしりぬ ぐいまで、なんでも やらされてるそうです。連日出張、11時帰宅。土日の片方は出社。 仕事は増えたけど、評価もたいして良くない、給料が上がるわけでもない!
  堺君も「このままうちの会社いたら、体も家庭も壊れる。もう、転職したいと思っている」と話していました。

  私がやめてから、マルチは潰れてしまいました。もう、新技術の研究開発ができるところはありません。
  カオリさん、一ノ瀬さんや下山さんは、IT関係の部署に配属になり、堺君同様忙しい日々を送っているようです。 亜弥さんは、出産のあと育児休暇をとりましたが、そのまま退職してしまいました。 最初から辞めるつもりで育児休暇をとったのだそうです。私はそれを聞いて思わず 「そんなのずるいんじゃないの?」と口走ってしまいました。

  さて、私も、正社員ではありませんが、IT関係の仕事をしています。 日経新聞を見ていると一日に数百個「IT」という言葉が使われています。(数えたことがあるわけじゃないですが) たしかに、注目すべきことだとは思いますが、その影で、泣いている技術者は 多いんじゃないでしょうか。
  実力のある人間をきちんと評価し、彼等が能力を発揮できる環境を整備している企業が、 いまの日本にどれだけあるでしょうか。 相変わらず、残業、休日出勤で、増える仕事をむりやりやらせて、 技術者を疲れさせてしまう会社ばかりだと思います。
  システム関係の人は、残業時間や徹夜の回数を自慢することがよくあります。 「今月の残業80時間だぜ」「俺なんか100越えてるよ。家に帰るのも週一だけだぜ」そんなこと自慢にならないんです。自分の健康をいためつけてまで、仕事したいんでしょうか。
  ITが進めば進む程、人間のケアも重要だということに会社も、そしてその前に 働く人自身に、気付いてほしい。

 コンピュータ相手の仕事は、疲れます。疲れるけど、最新の技術に触れられるのは とてつもなく楽しい。知的刺激です。どんどん新しい技術が出てきます。 麻薬みたいなものかもしれません。
  夢中でのめり込んでいるうちに、健康やら家庭やらを気づかう時間がなくなってきていないでしょうか。

 かつて、私が通っていたA校の校長が、こんなことを言っていました。
「コンピュータ、ネットワークが発達したら、人は都会に収束する必要がないから、むしろ郊外へと 移るだろう。僕はそんな時代になったら、誰もいないような海のそばに住みたい。 朝、綺麗な海でひと泳ぎ。それからコンピュータに向かって仕事をする。 午後にもまたひと泳ぎして。そんな生活ができたらいいよね」

  この話をシステムエンジニア達にすると、例外なく「馬鹿な」と笑い飛ばします。 でも、本当にそんな時代が、来たらいいですね。
  コンピュータの技術者が、本当に幸せに仕事ができる時代が…

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